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映画「終わらない週末」をNetflixで見ました。不安が生む人間の行動。

映画「終わらない週末」を見ました。Netflixオリジナル映画ですが、「映画」としましょう。
家族が週末の息抜きに借りた別荘行ったとき、世界? その場所だけ? とにかく異変が起きてほぼ別荘から出られなくなる。そのとき、家族はどんな行動を取るのか? という作品。
かなり面白く見ました。借りた別荘に、本当の持ち主が来て「住ませてくれ」と言います。白人の家族と黒人の家族が、同じ屋根の下に住みます。差別するような描写はこの作品にはないですが(私が気づいてないだけかもですが)、対立の予感が煽られてハラハラしますね。
とにかくずっと緊張感を感じさせる作品で、画面に釘付けにさせられました。

アイディアとしては、閉鎖空間に入った時に人々はどう動くかでしょう。それを通しての人間性のあぶり出しがテーマとなるのかな? 家族や人種問題、隣人、人間の行動。特に人間の行動は娘である一三歳のロージーから示される。世の中が終わりかけている予感を感じながらも、ドラマの続きが気になってしまう。皮肉なのか、若者への批判・警鐘なのかは見た人によって感じ方は違うと思う。

閉鎖空間に複数の人を配置して、人間の行動を見せる作品はたくさんあるだろう。閉鎖空間に至るアイディアが、新しいかどうかが作品を二番煎じと見せない理由となるだろう。と思ったが、この作品なぜ家族が閉鎖されなければならなかったのか明確な理由は示されないまま、終わる。物語も開いた形で終わり、いわゆるオチというものがない。ロージーが見たかったドラマをDVDで見つけて見始めるところで終わる(配信で見たいと思っていたけれど、ネットなしでは見られない。なんとなくNetflix含めた配信サイトの批判にもなってないだろうか。批判というより、DVDなど物理的に手元にある方が良い、と示しているような気もする)。
閉鎖空間を作り出す小道具として、電波が届かなくなる。ドローンを使ったビラがまかれる。自動運転自動車が道を塞ぐなど、現代的なものを使って閉鎖する。テクノロジーがなくなったとき(Wifiなど電波)人は動けなくなり、いきすぎたテクノロジーが人々の行動阻害し、不安を煽る(ドローン、自動運転車)。文明批判的なところもある。
三十年前に同じような作品を作ったら、電話が通じないとかで文明批判をテーマに作品は作れると思う(というかこのような作品があると思う)。そして、今見ても面白いかもしれない。と言って、今現在で同じようなテーマで、ただ電話が通じない作品は作れないだろう。たとえその舞台が三十年前だとしても。まあ二百年とか極端に昔なら作れるかもしれないけれど(昔を通して、今を批判できるので)。
その閉鎖をつくりだす要素が現代的であるかどうかは大切だと思う。アイディアも、テーマも同じだとしても。アイディアやテーマに至る過程をどう作るか、に「新しさ」があるかどうかは大切かもしれない。

主人公と思われる家族の妻アマンダは日々と仕事に疲れ、怒りっぽく、人間を嫌っている(広告の仕事をしているようだ)。夫クレイはそんなに存在感がないな(助けを求める人を見殺しにしている場面はある。極限状態の人間の行動を示している、とも言える)。息子のアーチは、黒人親子の娘を盗撮していたり、何かの異変で歯が抜ける(理由は語られない)などあるが、「歯が抜ける」という異変を感じさせるためにいる存在のようだ。娘のロージーはドラマの続きが見たいという欲望があり、現代の若者を象徴している(と言っても家族と過ごす間はドラマの続きを見ることを優先してはいないので、病的なまでに現代のテクノロジーに浸っているわけではない)。
黒人親子、G・Hとルース。G・Hは断片的に情報を見ている人に与え不安や緊張感を与える役割で、ルースはアマンダと対の存在であり、2人の対立と和解も作品の緊張感を高めている。
主にこの六名が主の登場人物となる。あと一人、隣人となる人物が出でくる。アーチの異変を治すために会うのだが、徹底的に他人を疑っている(最終的には薬を渡すけれど)。

登場人物の対立、船の座礁や飛行機の墜落、奇妙な音、動物たちの行動、そして都市部での爆発など、画面から不安を伝えその緊張感で作品を見せている。映像の写し方も、とても不安を煽るような取り方だった。「なんでこんな状況になったんだ」という謎を解明も楽しみにしながら見ていたので、それが解明されないまま終わるのは少し残念だったけれど、ドラマの続きを見られて満足そうなロージーで終わるラストは良かった。「家族よりもドラマの方が大切なんだ」とか「物理的なディスクの方が配信よりいいのか?」なんて思わせる、それが色々な現代への批判のように取れるラストだったので「謎の解明」というオチはなかったけれど、「文明批判」というオチがあり、物語の過程がとても面白かったので私はこの作品が面白く見られました。

とにかく映像の撮り方が特徴的でしたね。楽しめました。

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