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映画「ウエスタン」をDVDで見ました。時間はゆっくり流れる。しかし、退屈させない。

原題は「Once Upon a Time in the West」です。

作中内の時間がすごくゆっくり流れているんですよ。他の作品と比べれば何が違うのかわかるのだろうけど、これ一作だけだとよくわからないです(DVDに解説が入っていたのですが、サム・ペキンパー監督作品と比べると時間の流れが違うと言ってました。「ワイルドバンチ」と比べればわかるかも)。劇的に心を動かすような音楽を使ってないたか、ひとつ場面に時間かけてとっているからかなと思います。特に冒頭場面、三人のガンマンが現れるのですがすごくゆっくり三人を写します。ハエにたかられながらもなかなか手を出さないで男。水漏れで落ちてきた水を帽子にためて飲む男、など「細かいところで人物造形しているな」なんて思い、こういう細かいところでも緊張感を出させ「どういう人物か説明しているんだな」なんて思いながら見ていると、主人公であるハーモニカ(名前でない、ハーモニカを吹いて現れるから愛称みたいなもの)が現れて、あっさり殺されます。オープニングクレジットと同時に映していたとはいえ、あんなに時間かけて映していたのにあっさり死んで、少しキョトンとしてしまいました。冒頭の戦いでハーモニカは左肩を撃たれていると思うのですが、その怪我がその後に影響している様子はないです。ここだけは最後まで謎でした。

ハーモニカと三人のガンマンの戦いもすごくあっさりしています。ハーモニカが撃つ場面なんて、ほんの一瞬の場面だったので巻き戻して確認してしまいました。映像解説では「サム・ペキンパーだったら、スロモーションで見せる」と言ってました。最初の場面だからでしょう、撃ち合いが始まる前のためも短かったです。

物語は単純です。ハーモニカのフランクという男に対する復讐劇。その直線の物語に、鉄道の駅予定地所有者のマクベイン家をフランクが虐殺した物語が絡みます。その家族には、新たにジル(Wikipediaを見るとこの人娼婦だったのね。そんな感じの描写はあったけど、はっきりとは劇中で明言されてなかったよね。当時の人にはわかる何かがあったのかな? 最初から駅の資産目当てで結婚したのだろうか?)という女性が嫁ぐ予定でした。ジルはすぐに未亡人に。しかし、土地所有の権利はジルにあります。

物語はマクベイン家がなぜ殺されたのか? ハーモニカはなぜマクベインを狙うのかという謎で引っ張ります。捕まったのに逃亡したシャイアンという男が個性的で、この人の人物造形も興味を惹きつけます。ジルは色気があって、男性なら惹きつけられるでしょう。私はジルを見て「物語の役割としての女性」みたいな感情を少し抱いてしまいました(昔の作品ですからね)。ラストを見るとジルが自分の意思で動いていこうという意思を見せるので、考えは多少変わりますが、劇中では男性に翻弄されていて、あまり意思がないように見えました。Wikipediaを見ると、「はっきりと独立した意思を持った物語の中心人物として描かれている」とありました。私が昔の作品だという色眼鏡で見てしまったので、「物語の役割としての女性」なんて思ったのかもしれません。

上記のように、物語を引っ張る、見せる要素はもちろんあります。私は家で映画作品を見ていると、映画館で見るほど集中していません。たまに少し気が逸れます。しかし、この映画ではほぼ、どんな場面でも飽きが来なかったです。ずっと映像に緊張がはらんでいるように見え、全く退屈を感じませんでした。決して派手な映像があるわけでも、ぽんぽんとテンポよく映像が切り替わるわけでもないのにです。劇中に流れるゆっくりとした時間が、次への期待を高めます。映像がポンポンと変わることで飽きさせないようにしているのでしょうが、逆に一つ一つのカットへの集中度を減退させているかもしれません。ひとつのカットに時間かけることで間を作流ことによって、視聴者に余裕を与え、その余裕から映像に集中できるのかもしれません。テンポよく映像が変わると、余裕ができないので、期待感も抱けないのかもしれません。テンポよく映像を切り替えて見せていても、カットの繋ぎ方で間を作ることは可能かもしれませんが。映像の力とは、どれだけ映像に緊張感をはらめるかということなのかもしれません。

ラストはハーモニカとフランクの対決で終わります。銃での対決なので一瞬で終わります(それまでのやりとりはまあまああります)。なのでラストがすごく盛り上がる、わけではありません。シャイアンはフランクの仕事のパートナーの列車を襲います。しかし、それは映像で一切流れないです。映像で流れれば盛り上がったのにと、思いました。尺の問題なのかな?

劇中の時間の流れは遅いですが、私はこの作品を見ていて時間を忘れました。とても、素晴らしい作品でした。


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