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映画「映画に愛をこめて アメリカの夜」をU-NEXTで見ました。映画作りって大変ですね。

映画「映画に愛をこめて アメリカの夜」を見ました。映画作りをテーマにした映画です。この作品自体は、フィクションだと思いますが、映画作りのドキュメンタリーを見ているように見ました。映画作りがテーマとわかってしまえば、なんのために映画かわかりやすいので、用意されたテーマに乗って視聴すればいいので見るのは楽です(エンターテイメント映画でない、映画としては)。

昔、心を病んでしまった女優。映画スタッフに恋して、映画に集中できていない俳優。演技がうまくいかないベテラン女優。主演俳優の一人の突然の死。おすスケジュール。関係者の家族など、映画スタッフでない人の邪魔。監督として、最高のカットが取れないので何度も撮り直す群衆場面。などなど、監督が経験しただろう映画作成がうまくいかない要素がこれでもかと入っています。主演女優の傷ついたために発した言葉を、映画のテーマと合っていたのでセリフとして使う、という残酷さ。映画のためなら、何でもするという態度は監督だけでなく、俳優さんにもありました(主演女優が、傷心で逃走しようとする俳優を引き止めるために一夜をともにするなど)。映画作りの楽しさ、苦しみ、映画に関わる人が何を考えているのか、などが描かれています。実際、全部同時に起こることはないのだとは思いますが、映画作りの大変さが伝わります。これで、映画作りに憧れる人もいるでしょう。わたしは「めんどくさそう」と思っちゃいましたが。監督役の人は、実際のこの映画の監督が演じているそうです(フランソワ・トリュフォー)。

ドラマチックに描こうと思えば描ける展開もありますが、それほどドラマチックな演出はしていません。映画内作品で劇的な音楽を使っていたと思いますが、この作品の展開には音楽で盛り上げてもいなかったような気がします(再見したら、そんなことはなかった。ラスト近い場面とか)。それがリアリティを増しているのでしょう。起伏が激しい物語(物語というのか?)ではありませんが、テーマ自体に興味がある人なら飽きずに見通せると思います。

いつもの日記だと物語の解析みたいなことを行ってますが、この作品は難しいですね。映画にまつわるエピソードを、ひとつの映画作りを中心に見せている、という形に映画は展開しています。前回見た「パリ、テキサス」も起伏はほぼありませんでしたが、それでも視聴者を飽きさせないようにドラマを作っていました。この映画にはドラマ作っているとは感じられませんでした(監督のうまさかもしれませんが。エピソードは相当意識して、事実から余計なものを排除や付け加えなどを行なっているは思います)。事実をそのまま映しているという印象です。各々の映画にまつわるエピソードをどこに配置するかに手腕を感じるというところでしょうか。映画が進めば、それぞれの人物をより深く知っていきます。深く知ったからこそ、そのエピソードに面白さを感じるといこともあるかと思います。そういう点を踏まえて、エピソードの配置が絶妙です(脚本の妙ですね)。それらエピソードによって、物語に起伏があるとは思います。

展開にドラマをそれほど感じないと書きましたが、映画作りがテーマの作品であり、この作品に手で来るのは映画俳優やその関係者が大部分となります。そういう人たちは、キャラクター性は高いですね。この映画を楽しむなら、映画作りに興味があることこそ一番ですが、そこにそれほど興味がなくとも、登場人物たちに興味を持って作品を見られると思います。

前述したように、物語について語るのが難しいです。書くとしたら膨大なエピソードをひとつひとつ書いていくことになりますが、ある程度は入れ替え可能でもありますし、エピソードひとつひとつに一つの流れがあるわけでもないので、大まかな記憶しか残ってないので難しいです。エンターテイメントには、一つの流れがあると考えます。それは、エンターテイメントは登場人物の変化がテーマとひとつとなるので、その成長(もしくは堕落)を描くには一人の人物の体験を一つの流れとして捉えるからでしょう。この作品のように、人物に焦点を当てず(全く当たってないわけではないですが)、人物たちが活動する枠組みをテーマとし、それを見せるときは、一つの流れという求心力をもつ中心が、人物からその枠組みになります。エンターテイメント(コメディとかはまた違うと思います)に、人物の変化を感じられないなら、映画を見終わった後「この映画は何のための映画か」と思ってしまうと思います。もちろん「パリ、テキサス」のように、テーマ自体を考えることを誘う映画もありますが。「人間が興味を持つのは人間となる」なのでどうしても、映画の初見では「人間の変化」をテーマとして見てしまう、ということかもしれません。もしその作品が「人間の変化」に興味がないなら、この映画のように最初からテーマをわかりやすい形で提示すると、見ている人にわかりやすいのだろうと考えました。そのテーマに則って、人間の変化に過度の期待をせず(この映画にも、人間関係の変化はあります。ただ、人物たちが成長したとは感じませんでした。もちろん、変化はあるのだろうとは思いますが)、見られるので。

ときたま監督の夢としてモノクロ映像が映されます。だんだんとその夢が何を示しているのかわかります。子供の頃の監督が映画のポスターを盗むのです。こんなに大変な映画作りに、なぜ監督は続けているのかわかります。

ラスト10分くらいで、「スタジオの時代は終わった」「今後の映画にはスターも脚本もない」と語られます。今の映画と、この映画の撮られれている時代の映画との違いはわたしにはわかりません。映画の制作者としては、古き良き時代は終わったと考えているのでしょう。この問いかけは、今と昔(この映画が撮られたのも、相当前ですが)の違いに言及しています。興味を持ったなら、調査することを誘っています。この映画だけでなく、映画自体に興味を持って欲しい制作者のメッセージかもしれません。


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