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映画「アラビアのロレンス」をU-NEXTで見ました。人の心の複雑さ。

映画「アラビアのロレンス」を見ました。ロレンスの心はわかりません。イギリス軍の将校でありながら、出来るだけアラブの部族間の対立を消し、独立させようと尽力しますが、物語の後半になると神がかっていた運もなくなり、アラブの国々を導くはずが、その責任を放棄し祖国に帰りたいと言います。祖国はそれを許さず、大掛かりの作戦(ダマスカス侵攻)にアラブの人々を率いて参加することを求められます。そこでも、アラブの人たちのために尽力はしますが、どこか上の空のところもあります。必要のない虐殺をおこなったりもします。アラブの人のための議会を開くところまでこぎつきますが、アラブの部族間の対立は避けられず、ほぼ瓦解してしまいます。失意の中、ロレンスはダマスカスを去ります。ロレンスの性格には一貫性がないように見受けられます(フィクションに出てくる人物という意味での一貫性のなさ。フィクションであれば、祖国に帰りたい気持ちがあっても、あそこまで責任放棄のようなことは言わないと思う。私のフィクションの登場人物への願いかもしれないが)。あそこまで熱心にアラブのために戦ってきたのに、周囲に人がいなくなり(アラブの部族の人たちの目的は必ずしも独立とかではないからね)、従者も失ったとしてもあそこまで変わるものでしょうか。この映画の制作者が直接モデルになった本人に聞いたわけではないでしょうが、責任放棄をする様にいったん国に戻ったのは史実でしょう。史実や、記録、伝聞などあらゆるロレンスの記録を辿る中での人物造形だと思います。この映画の中では、ロレンスの心を説明することはありません。見ている私たちは、彼の一貫性がないと思われる(これは私の主観だけれど)行動を見て、人の行動や、考え方の不思議を考えさせられます。史実ですからね(たぶんに制作者の主観が入っているとは思いますが)。説明されないが故に、色々考えさせます。ロレンスはダマスカス侵攻の際、本来の目的から考えたら余計な行動となる、非難する兵を虐殺したのでしょうか? 英雄的な行動も事実なら、虐殺もまた事実です。虐殺することことになる人間の心を考えて、英雄的行動のあとのロレンスを描いたのかもしれません。私には理解はできませんが、考えることはできます。考えることが人間への理解を高めるのかもしれません。英雄という事実と、虐殺の事実。二つの背反する行動をとった人間に対して、興味を持ったからこそこの映画は作られたのかもしれません。全く別の心が人間の中には同居する、という事実はテーマとしても魅力的です。人物の魅力でなく、歴史的事実を伝えたいという気持ちが、テーマかもしれませんが。英雄的な行動で、砂漠の中ラクダから落ちた人をロレンスが皆の反対を押し切って助けに行きます。人間としては素晴らしいですが、人を率いる人間としてはどうでしょうか? ロレンスは衝動的な人間でもあるように描かれているような気がします。

アラブの王子に会いにいくというのが、最初の目的です。目的が視聴者に知らされているので、砂漠の行軍もそれほど飽きずに見られますね。王子に会った後は、軍事作戦のため困難な道を進むことになります。映画内の話では困難と教えられるのですが、それどけでなくその困難を伝える演技をロレンスがしています。伝聞だけでなく、演技でその困難さを伝えるのは良いですね。序盤はこのように方向性を伝えてくれるのですが、後半、物語に惹きつけられてからはあまり先のことは教えてくれません。序盤の作戦(アカバの戦い)までは、じっくり描いているのですが、この作戦以後は断片的にロレンスが活躍している場面を切り取っていく描写になっていきます(年代記的)。序盤にじっくりロレンスの良い面を見せていきますが、後半は断片的な部分を見せてロレンスが責任放棄の心を持つまでを描きます。そこらへんで少し説明不足を感じて、性格の変化に唐突さを感じたのかも知れません(かと言って、クドクド説明されたら映画ではないような気がしますが)。

映像はとにかく美しい。特に砂漠の場面は、どの場面を切り取っても一枚絵のように映えている感じすらします。顔のアップはあまりないですね。50分あたりで、ロレンスと王子が話す場面はアップです。首から胸のはじまりくらいまでは映ってますね。その場面の後、ロレンスと王子が別れた後、それぞれ10秒くらい静止している姿を映します。何を考えているかの説明はないです。何かを考えているということはわかります。こういう場面いいですよね。ロレンスがアラブの人たちに認められて、一人になって喜ぶ場面はいい場面です。2:08:00あた、ロレンスがアカバの戦いに勝ったことをイギリスに伝えに行く行軍で、表情の異常さを伝えるようにアップに見せています。その前の、動くドアと対比されるように動かないロレンスの姿も印象的ですね。映像の素晴らしさは、広大な砂漠によっているところもありますね。アップ少なく、遠景の広大の風景を含んだ映像が沢山あると大作感ありますね。大作感って大切ですね。

映像、音楽が素晴らしい作品でした。物語も良かったです。デイヴィッド・リーン監督作品は「これぞ映画」という感じでいいですね。説明的な部分は極力はぶき、映像で表現しているのが素晴らしい。


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