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映画「ブルーサンダー」をNetflixで見ました。憎まれ役の作り方。

「ブルーサンダー」という古い映画を見ました。最近何を基準に映画を見ているかというと、「押井守の映画50年50本」という本を参考に、Netflixやアマゾンプライムにある映画を見ています。この本の中に「ブルーサンダー」もあったのです。

オリンピックを控えたロサンゼルス。テロ対策、警備強化を目的に秘密裏にロサンゼルス市警察に配備された攻撃ヘリコプター(通称「ブルーサンダー」)のテストパイロットに選ばれた、市警察航空隊(防犯などのためヘリコプターで街を周回する)勤務のフランク・マーフィーは、偶然知ってしまった州政府関係者の陰謀に巻き込まれる。無実の罪で追われることになったマーフィーはブルーサンダーを操り逃げ出す。潔白が証明されるまでの、逃走劇をヘリコプターのアクションで見せる。

物語は全然難しいこと考えなくても見れる娯楽作なんだけれど、いざあらすじを書こうとしたら「説明しないとわからないだろ」という前提とする言葉がありすぎて困った。ちゃんとしたあらすじはWikipediaからお願いします。

面白かった。アクション満載の娯楽作品だった。恋愛要素がほぼないのも良い(マーフィーの前妻? 恋人は出てくるけど)。前半はマーフィーの勤務から、市警察航空隊(この仕事、本当にあるのかな?)の仕事を見せ、その行動、コンビを組む新人航空観測員ライマングッドとの会話から、マーフィーの性格も描く。

冒頭、マーフィーとライマングッドがヘリコプターに乗り込むとき、上司らしき人が「俺なら同乗拒否だ。あんな奴と一緒に飛ぶのはごめんだね」と言う。マーフィーの運転が危険なものと思わせて、「何かあるのか」という期待を抱かせるうまい台詞。先が楽しみになる。他者から見た、人物の評価で人物造形をしている。本人の前で言ってないのも、良いのかもしれない。

マーフィーたちが空から見つけた、ナンバープレートをつけていない車。この車が、都市犯罪特別局局長殺害事件につながる。そして、この殺人(後々に病院で死亡)、州政府関係者の陰謀につながる。この殺人の一コマも描かれる。その際、マーフィーの過去の回想から(マーフィーはベトナム帰還兵)、トラウマがあることが知れる。冒頭15分でマーフィーの仕事、性格を見せ、後に良くないことが起こることを予感させる事件も描いている。物語の発端をこの15分で見せ、うまい構成だと感じた。上司との軋轢も描き、緊張感を高めている。

マーフィーは都市犯罪特別局局長のことを独自で調べる。調べて見つけた紙には「THOR」とあった。この場面は「誰かに見つかるのでは?」と緊張感が高まるが、誰にも見つからない。

中盤は、「ブルーサンダー」のテストパイロットに選ばれ、元上官コクランと出会う(ブルーサンダー登場時に、ブルーサンダーに乗っていた)。コクランとの出会いの時「俺を軍法会議に送りかけた」とマーフィーは言い、この台詞からもこのふたりが仲良くなく、対立を予感させる。事実対立する。ブルーサンダーの凄さをまざまざと見せる描写。機能紹介とかあって、男の人はこういうの好きそうである。

テストでコクランの乗るブルーサンダーに他のヘリコプターでついていく、マーフィーとライマングッド。この場面の前の場面で、コクランがマーフィーが搭乗するヘリコプターのネジを緩めるのである。これが元で後に事故になるのだが、この時私はコクランのことが嫌いになった。後で、コクランが敗北したら「スカッとするな」と思った。憎まれ役ってこう作られるんだね。最後のマーフィーの逃亡劇の中、コクランだけはマーフィーに殺されてしまう。「対立していても国家を守るという点では同じなのだから殺さなくても……」と多少は思わなくもない私だが、コクランの死の時はそんなことは思わなかった。後半盛り上げるために、さりげなく憎まれ役を作るのもうまいね。コクランがネジを緩めたことによって、ヘリコプターは落ちていく。ここら辺も緊張感あった。

マーフィーがブルーサンダーのテスト飛行を行う。ブルーサンダーのすごい機能を見せる。帰還の時、大急ぎで車を走らせるコクランを見つけ、気になったのかコクランを追う。ブルーサンダーの機能で、コクランたちの陰謀を知ることになる。「THOR」というワードも出てきて、全てが繋がる。

「ブルーサンダーの機能すごすぎだろ」という感想と、コクランは「ブルーサンダーに追われていて気づかなかったのか」と思ってしまう。ブルーサンダーは消音性能もすごいらしいから、バレなかったのかな?

陰謀のやりとりを撮った、ビデオテープを持っていたライマングッドは、一旦は逃げ出すが殺される。危機を乗り越えたから、生き残るかと思ったら殺されてしまった。

後半は、ライマングッド殺人の容疑を被されるマーフィーが、潔白を訴えるためにビデオテープをテレビ局に届けようとする。ここで初めて、マーフィーに具体的な目的ができたね。

ビデオテープ探しは恋人? に任せ、マーフィーは盗んだブルーサンダーで逃げ出す。ヘリコプターとヘリコプターの追いかけっこ、ミサイルを積む戦闘機まで出てきて、しかも街中でミサイルを飛ばす(80年代当時はそれが可能だったのか?)。地上ではマーフィーの恋人がビデオテープをテレビ局に届けるまでをカーチェイスで描く(恋人が運転が荒いが、上手いことは劇中で描かれている。行動に正当性を与える描写も過不足なくあって、上手いね)。アクション場面だ。

マーフィーは車の運転でコーンを左右に避けていく場面が前半にある。その技術で使って、追ってきたヘリコプターを橋桁にぶつけている。そして、コクランとのテスト前の時ライマングッドとのやり取りで「宙返りができる」なんて話をしていて(コクランは否定する)、その宙返りを行い、コクランのヘリコプターを爆破する場面も上手いと思った。きちんと布石を置いている。

警察に捕まりそうになった恋人を救うために、橋の下から出てくるブルーサンダーの場面はめちゃくちゃ格好良かった。

ブルーサンダーを列車に当て破壊し、音声でマーフィーの身の潔白を伝えたニュース流し、物語は終わるる。

昔の映画なので、今の映像に慣れてしまった自分には少し地味(街中て実際にヘリコプター飛ばしているので、今よりむしろ撮影は危険だと思うけど)に感じたが、面白い作品でした。物語構成がまるで教科書のような展開ですね。ただ、あまり女性に人気が出るとは思えないです。恋愛場面もないし……。私はなくてもいいけど


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