無職の日記1 無職に転生だった件
休暇が好きだ。
好きだから、少し前に全てを休暇にした。次の職を決めずに仕事を辞めたのだ。
特に嫌なことがあったとか、やりたいことができたという訳ではない。
退職する前には色々な人から理由を聞かれたから、ある程度会話が成り立つように最もらしい理由を捻り出しはしたものの、正直なところ休みが好きだからとしか言いようがない。
近年よく見かけるFIREのように、きちんとした考えがある訳でもない。
数ヶ月は食える程度の蓄えがあるだけで、今後の見通しなど立っていないのだ。
今の年齢が34歳で、30年以上は何らかの団体に属し、一定の決まり事の中で生きてきた。
そこから抜け出した事実に、やや躊躇うところもある。
一人暮らしを始めた時と似た感覚なのかもしれない。社会人になって一人暮らしを始めた私は、不安を抱えたり失敗することはあれど、非常に満足していた。
これもやはり、実家が嫌だったということではない。ただこちらの方が向いているなと思ったのだ。
だからこれから、今まで平日に対して少数派だった休日が革命を起こし、強大な皇帝として君臨した世界を体験してみようと思う。
無職に転生した俺が特殊スキル長期休暇で無双しまくる件、である。
さあどうなるか。丁と出るか半と出るか。張った張った。
昔から、ギャンブルはしないが人生を博打で決めるのは好きだったことを思い出した。
そうやって生きて行きたいと思っていたのだった。博打が外れて痛い目をみる事もあるが、私にとっては大切な考え方なのだろう。
今回は無謀な賭けになるかもしれない。
でもほら、トータルではたぶん勝ってるから。ほんとほんと。