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はしりがきのまとめーーi want icecreamの「アイ」が一番好き ほか

どんなお出かけにも持って行くものが2つある。1つはフィルムカメラ、もう1つは小さなノートだ。どちらもほとんど取り出さないくせに鞄を変えるたびに放り込んでいるから、御守りのような存在だと言っていい。

手のひらに収まる灰色のノートには付属の鉛筆があり、鉛筆を使うのはいいものだなぁと書くたびにしみじみする。

おもむろにノートを取り出すのは、たいてい楽しかった飲み会の帰り道か、旅行終わりに友人と解散して1人になったとき。このシチュエーションが鉛筆にも趣を感じさせるスパイスなのかもしれない。

今日も小岩で飲んだ帰り道、京王線に揺られながらノートを見返している。祝前日の終電とは思えないくらい人がいない。2人で1つの画面を覗き込んでいる美男美女カップルと、第2ボタンまで開け放ったホスト風のお兄さんと自分。

孤独な酔っ払いの恥ずかしい記録とも言うべきノートを開くのにふさわしい状況にいる気がしてくる。ふさわしいタイミングなどというものがあるのかは知らないけれど。

いずれにせよ、御守りのノートには本音やそのときだけの感性が転がっていて、見るたびに新鮮に驚けるからおもしろい。

noteを再開したタイミングで久々に開いたのも何かの縁だろうとよくわからない理由で、はしりがきを世に出してみることにした。こんな言い訳を置いているあたり、きっといつか公開したかったにちがいない。

まっとうに書けている気配をまとっているものもあれば、「鉛筆のなめらかさ プリン」のように本当に本当のはしりがきもある。10個選んでみたので、この上なくひまなときに適当に眺めてもらえたら嬉しい。

ーー 1リットルの涙をメスシリンダーで測る

ーー 電車打つ雨に見る中華鍋

ーー 井戸がないのに井戸端会議 スタバのサンドイッチ

ーー てんとう虫だったら飛び立ってる家々の光

ーー キャンバスの大海原 ヨットを浮かべたくなる自分がキライ

ーー 菜の花が見たくて菜の花に見えた ホームに立つ40代女性

ーー 香りって消えないんだって 香水をあげる彼 ファブリーズかける私

ーー 帽子と靴のワインレッド 黒ジャケットに黒パンツ オセロができそう

ーー i want icecreamの「アイ」が一番好き

ーー 電線の野球ボール とれそうと思う夜 でもジャンプはしない

きっとこれからも不可思議な言葉を生み出していくのだろう。あたたかい目でお付き合いいただけたら。

もしもしも良いかもと感じるものがあれば、こっそりと教えてくださいませ。

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