【BL小説】Finder #1
#1
「やっぱり、柊とは付き合えない…
気持ちはうれしいけど」
そんなことはわかってた。
だって蓮はノーマルだから。
わかってたよ。
わかってたけど…
実際に目の前で言われたら
「うん…わかった…」
と、絞り出すように言うのが精一杯だった。
堪えきれなくなった涙が溢れてくる。
見られたくなくて、ベッドの中に潜り込んだ。
声を殺して泣いた。
…どれぐらいの時間が経ったんだろ?
永遠に出るかと思われた涙もやっとおさまってきた。
蓮は何も言わずにそばにいてくれた。
…そういうとこなんだよ。
オレなんか放って帰ればいいのにさ。
やさしさは、時に人をもっと深く傷つける。
やっと布団から顔を出したものの、どんな顔していいのかわからなかった。
別に聞きたくもない質問が口から出てくる。
「あのさ、、、
オレが蓮に会ったら、身体を求めるって…
もう途中からわかってただろ?
なのに、なんで会ってくれてた?」
今さらそんなこと聞いても、どうしようもないんだけど。
でもちょっとだけ気になってたんだ。
蓮にとっては、オレが初めてだって、後から知ったから。
初めてって、やっぱり、
記憶に、、残るよな…
それがオレってさ…
しかもこいつはノーマルなのに。
なんだかそれは申し訳ないなと思っていた。
「え?なんでって…
柊のこと嫌いじゃないし、
別にいいかなって…気持ちよかったし」
蓮は照れくさそうに言った。
もう、なんなんだよ、
人の気遣いを返せ!
「あのさ、
気持ちよかったのはオレもそうだけど、
でも、それだけじゃなかったよ…」
「どういうこと?」
うまくは言えないけど、、
大嫌いな自分とか
何しても晴れない不安とか
ぶつけようのないやるせなさとか、、
蓮とセックスしたら全部救われるような気がした。
まるで自分の奥底に溜まっている澱んだ何かが浄化されるみたいだった。
だから、、ないと苦しかったんだ。
「それは、、わかってたよ。
だからシてたのもある。」
全部お見通しだったのか…
「そっか…ゴメン。ありがとな」
「いいよ、変なとこ気にすんなって。
ほんとに嫌なら拒否だってできたんだし」
そう言って蓮はオレの背中をポンと叩いた。
「もし今後、蓮のこと襲おうとしたら、
そのときは突き飛ばすなり
蹴り倒すなりしていいからさ、
全力で抵抗してくれ…約束な」
そう言って笑うと、蓮も微笑んで言った。
「柊は自分で言ったことは
絶対に守るから大丈夫」
…to be continued
★推奨BGM
音小さめでかけながら読んでもらえると
なんとなくせつない感じが合うかなって。
読んでいただいてありがとうございました。
気が向いたら更新していきます。
感想とかもらえたら泣いて喜びます。
では、また。
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