「キレイ」にもいろいろある

前回は人間が普通に生きていく上での、一般的な「キレイ」(衛生)について書きました。
今回はその続きとして、もう少し理系っぽい話をします。

クリーンルームとは

今まで生きていて一回くらいは「クリーンルーム」という単語を聞いたことがあると思いますが、イメージとしては、白い全身スーツを着てエアシャワーを浴びてから入室するみたいな、あの部屋です。


クリーンルームは一体どんな意味で「クリーン」かというと、原則としてホコリのない部屋というのが共通しています。

ホコリを部屋から排除する仕組み

まず超高性能な空気清浄機を準備して、部屋の天井に設置します。このとき空気はクリーンルームの外から吸気し、クリーンルームの中へ排気するようにします。こうすることで超高性能な空気清浄機で作った超キレイな空気を、天井から床方向に向かって流すことが出来ます。そして部屋の床の方には室外への空気の逃げ道があって、万が一ホコリがあったとしても、そこからホコリを一緒に逃がすようにできています。
※かなーりざっくりした説明なので詳しく知りたい方はWikiでも見てください。

クリーンルームはなぜ必要か

クリーンルーム(ホコリのない部屋)にする理由は主に2点あります。
①異物の混入を防ぐ
クリーンルームが必要な工場と一口に言っても、食品の工場もあれば電気製品とかの工場もあるので一概には言えないですが、基本的に異物(ホコリ)が製品に入るのは避けたい場合が多いです。食品工場の食品にホコリが入ってたらクレームにつながりますし、半導体分野では製造過程中の製品にホコリが混入してしまうと電気的に使い物にならなくなってしまいます。

②微生物(病原菌)の混入を防ぐ
こちらは食品系及び医療系が関係します。
クリーンルーム内は超キレイで、微生物が食べるエサもほとんどないため、そうそう微生物は居ません。が、完全にゼロではないので殺菌消毒にも気を遣う必要があります。

一体どのくらいキレイなのか

ここまで単純に「ホコリ」という表現をしてきましたが、クリーンルームで考えるホコリの大きさは、(これもまた一概には言えませんが)おおよそ0.5µm(マイクロメートル)程度の微粒子です。ちなみにマイクロメートルはミリメートルの1000分の1の大きさで、人間の髪の毛の太さが50~100µmですので、0.5μmは到底人間の目には見えない大きさです。

最高級クラスのクリーンルーム中では、空気1㎥あたりホコリ(微粒子)が1個あるかないかのレベル。ちなみに普通の室内では、空気1㎥あたり3000万個くらい微粒子があるとのことなので、私達が吸っている普通の空気には実際にはとんでもない数の微粒子が含まれていることになります。。

クリーンルームで一番キタナイものは...

勘の良い方はお気づきかも知れませんが、クリーンルームで一番キタナイのは人間です。そりゃそうじゃありませんか。人間の皮膚表面には目に見えない微生物がいますし、皮膚そのものも日々代謝(ターンオーバー)しているので目に見えないレベルで少しずつ剥がれ落ちていっています。あるいは髪の毛が抜けたりするかもしれませんし、うっかりクシャミでもしようものなら最悪です。このように、せっかく超キレイにした空間でも、人間が入室するとキタナクなってしまうのです。

それでも少しでも汚染を抑えるために工夫があります。
まずは専用のクリーンスーツ、マスク、手袋等を着用し皮膚の露出を極力抑えます。クリーンスーツそのものにも工夫があり、静電気を帯びないような布で出来ているのでホコリが付着しにくくなっています。そしてよく見るようなエアシャワーを浴びてホコリを極力落としてからクリーンルームに入るのです。

今回のまとめ

・クリーンルームは超キレイ
・人間は自分で思っているよりもキタナイ(のかもしれない)

次回につづく。

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