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刑務官が領置金をネコババか

 前記事〈刑務官の名前が黒塗りされた手紙〉で伝えたとおり、2020年12月5日、徳留隆成被告(覚せい剤取締法違反でさいたま地裁で公判中)から筆者に手紙が届いたが、不正をはたらいた刑務官の名前が全員、黒塗りされていた。

 その9日前、11月26日に届いた手紙では、刑務官の名前は黒塗りされていなかった。以下、一部引用する(原文ママ)。

〈この件で刑ム官(大友文晶こいつはオレが全てかばいます)が逮捕されます。不正・不当、チャカ一丁と借用書100枚以上、接禁中にでんわ2名さして手紙も2通もってかえらして外のポストへ投函さしてあります。オレとこの親父が肺ガンで死んだときお母にオレの名前で一万円の箱菓子送らしてます オレがさいたま拘にいてそんなことできないでしょう お母に確認とったら全てわかります 刑ム官大友とお母しゃべってますから――。お母の伝言もオレの耳に入ってます〉

2020年11月26日到着 手紙-10

 法務省が自分たちの不祥事を隠蔽するため、手紙の検閲を強化したことがわかる。

 12月7日、筆者は川越少年刑務所(タイトル画像)を訪れた。徳留被告と面会し、刑務官の不正の詳細を聞くためだ。

 通常、面会には刑務官1人が立ち会う。しかし、川越少年刑務所では刑務官2人が立ち会った。徳留被告と筆者との会話を子細漏らさず上司へ報告するためだろう。

 面会室の椅子に座るなり、徳留被告はこう言った。

「刑務官の名前を出したら、すぐに面会を中止するとのことです」

 しかたがないので、刑務官の名前が出ないよう話を進めた。

 筆者が「いちばん読者に伝えたいことは何ですか」と質問すると、徳留被告はこう答えた。

「さいたま拘置支所で刑務官が様々な物品を購入し、私に与えてくれました。その原資なんですが、収容者の領置金(所持金や差入金)なんです。収容者の中には、知的障害者や精神障害者がいます。そういう人たちは領置金をネコババされてもわかりません。刑務官は弱い者をいじめたり、食いものにしたりするのが日常茶飯事です」

 徳留被告の国選弁護人の村木一郎弁護士も同様の話を接見で聞いたという。

「ひどい話です。刑務官の行為は業務上横領や窃盗にあたります」

 法務省矯正局に刑務官の領置金のネコババについて真偽を問いただしたが、「個別の事案につきましては回答を差し控えさせていただきます」とのことだった。

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