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企業による「奨学金代理返還制度」は8%の手取りUP、企業には節税効果があるので、広げていきたい

とても、大切な話なので、まずこちらの4行で説明をします。
是非ここだけでも読んでほしいです。

【現状】
・今の日本では、大学生の半数が「奨学金」を借りて、約300万円を15年かけて返済している。

・若者は年収の6%が奨学金返済となっていて負担が大きい。

・社員には手取りが8%UP、企業には節税メリットのある「企業による奨学金の代理返還制度」ができたが、ほとんど知られておらず、北海道では57社が導入しているにすぎない。

【結論】
・「企業による奨学金の代理返還制度」の導入を、札幌市内で1000社目指すので協力してください。


1.日本の奨学金には、そもそも大きな問題がある

今の日本では、大学生の半数が「奨学金」を借りて、総額300万円を毎月1.5万円を15年かけて返済していると言われています。

でも、そもそも日本の「奨学金」は世界的にみると大変におかしな仕組みです。

世界では、奨学金はスカラシップ(Scholarship)と言われ、給付が当たり前です。つまり、返す必要はありません。返済が前提の場合は、学生ローン(Student loan)と言われていて、当然ながら、スカラシップと学生ローンは別物として認識されています。

一方、日本では、奨学金と言っても、「貸与型奨学金」という言い方がまかり通っていて、しかも全体の8割を占めています。

https://beyond-tomorrow.org/20249/ より

日本の「奨学金」がグローバルスタンダードからみると、いかにおかしいかを記載した、教育社会学者の舞田敏彦さんによる、ニューズウィークでの記事は一読に値します。

日本はなぜ公的支援で3割も学生ローンになってしまったのか

2.「男女の賃金格差」と「実質賃金マイナス」が問題を大きくしている

奨学金には男女差は無いけれど、賃金に男女差があるのは世界的に共通です。

ちなみに、日本の男女賃金格差は7割。これは、女性の非正規雇用が多いことによります。

厚労省の「令和4年の民間給与実態統計調査」によると、20代前半の大卒女性の平均年収は約278万円。

奨学金を借りている人は、平均月1.5万円を返済しているので、年間では18万円。これは年収の6%に当たります。

また、実際に銀行に振り込まれる手取額は税金や社会保険料が引かれることになります。

年収278万円の場合は、住民税は10.7万円、所得税は4.95万円、社会保険料は39.5万円になるので、手取り額は223万円

そこから18万円/年の奨学金を返済するので、実際の手取り額は205万円/年(=17万円/月)となります。

つまり、高校生の時に進学のために奨学金を借りた20代女性社会人は、税金や社会保険を払い、奨学金返済をしながら、毎月17万円で生活をしていることになります。

また、今の日本社会では、賃金は上昇傾向にありますが、物価高がそれを上回っていて、実質賃金は2年以上もマイナスです。

実質賃金が下がっても、奨学金が減ることはありません。若い社会人を取り巻く経済状況は苦しいばかりです。

そして、当事者である女性たちが、少子化の一番の原因としてあげているのが「お金」の問題でした。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000823.000003176.html


3.「企業による奨学金の代理返還制度」ができたのに、知られていない

日本で奨学金を借りている大学生や専門学校生のうち、3人に1人が独立行政法人 日本学生支援機構(JASSO)(旧日本育英会)からになります。

https://www.jasso.go.jp/shogakukin/oyakudachi/shogakukin_data/__icsFiles/afieldfile/2023/11/15/gorikai.pdf

その日本学生支援機構が、2021年から「企業による奨学金代理返還制度」を始めました。

この制度を導入すると企業が、返済残額の一部または全部を日本学生支援機構に直接送金することにより社員を支援することになります。

企業にとっては、人手不足で採用が大変な時代。

この制度を使うことで、採用時の福利厚生の良さをPRでき、また長期雇用につながるとして期待されています。

発電所などの電力設備工事を手掛ける東京エネシスは23年4月から代理返還を始めた。月2万円を上限とし、最長15年で計360万円まで支援する。

背景には人手不足への危機感がある。業容拡大で新卒採用に力を入れているが、直近の3年間は採用人数が計画未達となったこともあり、初任給の引き上げなどとあわせて奨学金の返済支援制度を取り入れた。

総務・人事部の岩倉伸治部長は「返済への不安を気にせず、(浮いたお金を)自己啓発の費用などに充ててもらえれば」と話す。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC073A90X01C23A1000000/

また、今年からは、代理返還した分の費用が、賃上げ促進税制にも適用されることになりました。中小企業の場合は、最大45%が税額控除となり、政府もこの制度の活用促進に取り組んでます。


社員にとっては、年18万円の奨学金返済が不要になることで、手取りが実質的には8%増えることにもなります。

また、企業には、税額控除や採用などでメリットのある「企業による奨学金の代理返還制度」ですが、ほとんど知られておらず、北海道では2024年7月現在で57社が導入しているにすぎません。

https://www.jasso.go.jp/shogakukin/kigyoshien/result.html?prefecture%5B%5D=11&corp_name=&scholarship_repayment_support_submit=%E6%A4%9C%E7%B4%A2

57社の一覧はエクセルで開けるのですが、みなさんの知ってる会社はあるでしょうか?

都道府県別でしか地域の区分けがされていないので、「北海道」としか表示されておらず、札幌なのか、旭川なのか、函館なのか、他の地域なのか判別できず使い勝手が良いとはあまり言えません。

それにしても、57社は少ないと思います。札幌市内だけでも会社は7万社あると言われていますので。

2024年5月15日の経済産業委員会にて、「企業による奨学金の代理返還制度」をもっと広げていこう、という趣旨で経済産業大臣と文科副大臣に質問もしました。


4.札幌市内で「1000社の導入」を目標にご協力お願いします

そこで、「企業による奨学金の代理返還制度」の導入を、札幌市内で1000社目指そうと思います。

1000社とは、札幌市内の企業の0.1%の導入ですが、現在日本全国で約4000社が導入しているので、5社に1社が札幌の会社になったら、若者にとって働きやすい街と知られるようになり、全国から就業希望者がやってくるでしょう。

札幌の企業経営者や人事担当の皆さん、ぜひ、導入について一度、日本学生支援機構に電話をして相談してみてください。

日本学生支援機構の企業代理返還制度の説明ページより

電話またはFAXで制度の申請を受け付け、2週間以内に郵送でIDとパスワードが送られて来るとのことです。

初期の方にはご面倒をおかけしますが、申請がたくさんあれば、Dxをしていくことになると思いますので、どうぞよろしくお願いします。

そして、「札幌に負けてられない」と他の地域でも、この動きが広がっていくことを期待しています。

5.校長出身の衆議院議員としての個人的な想い

最後に、個人的な想いを述べておきます。

僕は、高校の校長をしていたので、高校の進路指導にとっては、卒業後の進みたい道があっても、それが家計が課題になって実現できないときには、「奨学金があるよ」と言って紹介をしている実態をよく知っています。

もちろん、貸与型奨学金の場合には、卒業後に返済が始まることも伝えていますが、高卒と大卒は男性でも女性でも5,000万円の生涯賃金が違うことが知られていることも説明し、お金を借りてでも大学に行くことの有利さを説いてきました。

しかし、卒業生からは「奨学金の返済が今でも大変」という声をよく聞きます。

「企業による奨学金の代理返還制度」はこの問題を解決する良い政策だと思うのですが、いかんせん、PR不足すぎて導入企業が少なすぎます。

ソフトバンク社長室でビジネスを、新陽高校校長として教育を、そして今、衆議院議員として政治の世界にいる身として、自分のできることを最大限やって世の中に普及していきたいと思ってます。

どうぞご協力をよろしくお願いします。








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