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父が筋萎縮性側索硬化症(ALS)と診断されました/介護も必要

父が筋萎縮性側索硬化症(ALS)と診断されました。
私の備忘録のためこの記事を執筆したいと思います。発信視点ではあまりないですが、誰かの役に立つのでは?と思い執筆しております。
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かなりの長文ですので目次から飛ぶことをおすすめします。


筋萎縮性側索硬化症(ALS)とは

簡単にいうと神経の進行性の病気です。筋肉を動かすのも神経ですから運動や物の飲み込みなどに影響があり、筋肉が痩せていったり、話す力・飲み込む力が衰えていきます。

筋萎縮性側索硬化症(ALS)とは、手足・のど・舌の筋肉や呼吸に必要な筋肉がだんだんやせて力がなくなっていく病気です。しかし、筋肉そのものの病気ではなく、筋肉を動かし、かつ運動をつかさどる神経(運動ニューロン)が主に障害をうけます。その結果、脳から「手足を動かせ」という命令が伝わらなくなることにより、力が弱くなり、筋肉がやせていきます。その一方で、体の感覚、視力や聴力、内臓機能などはすべて保たれることが普通です。

出典:難病情報センター

発症率は国内約10万人に2人で国指定難病の一つ。
原因は不明のようで、高齢に伴い増加していく様子、父も70歳半ばですので発症のピークの世代のようです。遺伝はほぼしないとのことでした。

一般社団法人<日本ALS協会>によれば2022年度末で9765名の患者がいるようです。

一般的な経過について

この病気は常に進行性のようで、症状が軽くなるということはありません。体のどの部分の筋肉から始まってもやがては全身の筋肉が侵され、最後は呼吸の筋肉(呼吸筋)も働かなくなって大多数の方は自力で呼吸をすることが困難となります。

※人工呼吸器を使わない場合、病気になってから死亡までの期間はおおよそ2~5年なかには人工呼吸器を使わずにゆっくり10数年にわたって進行する経過をたどる例もある一方、1年ほどの速い経過で呼吸不全となる例もあります。

特に高齢での発症、話しにくい・のみ込みにくい症状や呼吸の筋肉からの発症、そして早い時期に体重が大きく減ったり首の筋力が弱ったりする患者さんでは、進行が速いことがわかっています。

ALSの治療法

完治することはなく、進行を遅らせる治療法しかありません。

治療

リルゾールやエダラボンという薬の投薬治療や、高カロリー栄養療法が大切です。

対症療法

  • 筋肉や関節の痛みに対しては早期のリハビリ

  • 病気不安による不眠には睡眠薬や安定剤

  • 呼吸困難に対しては鼻マスクによる非侵襲的な呼吸の補助(NIV)、気管切開による侵襲的な呼吸の補助

  • 飲み込みにくさについては食物の形態(原則として柔らかく水気の多いもの、味の淡泊なもの、冷たいものが嚥下しやすい)の工夫や、姿勢(少量ずつ口に入れて嚥下する、顎を引いて嚥下するなど)が重要

  • 飲み込みにくさが進行した場合はお腹から胃に管を通したり(胃ろう)する方法も

  • コミュニケーション不調にはボードなどの利用

※出典:難病情報センター

合併症

最近、前頭側頭葉型認知症との関連が明らかになったようです。

【前頭側頭葉型認知症】
前頭側頭型認知症(FTD)は、脳の前頭葉と側頭葉が萎縮し、血流が低下することによって、様々な症状が引き起こされる病気です。他の認知症と違い、指定難病に認定されています。
前頭葉と側頭葉は脳の4割を占める重要な器官。前頭葉は思考や感情の表現、判断をコントロールするため、人格や理性的な行動、社会性に大きく関ります。一方側頭葉は、言葉の理解、聴覚、味覚のほか、記憶や感情をつかさどります。どちらも大変重要な働きを担っているので、機能低下による影響は甚大です。
前頭側頭型認知症の初期には物忘れや失語はあまりみられず、人格の変化や非常識な行動などが目立ちます。そのため、精神疾患と診断されてしまう場合があるので、鑑別診断が重要となってきます。
10年前後で寝たきり状態になると言われており、筋萎縮や筋力低下がある場合は、その進行がさらに早いとされています。

出典:認知症ねっと

ALSの国や地方自治体からの支援

ALSについて、国や地方自治体からの支援を以下にまとめます。

難病医療費助成制度

ALSのように指定難病に認定されると、医療費助成が受けられます。患者は、治療費の自己負担分が軽減され、経済的負担が減ります。

【対象】
難病医療費助成制度の対象となる疾病に罹患している方(2024年4月時点:341
疾病)

【申請先】
お住まいの市町村を管轄する保健所、その他の地域の方は各保健福祉(環境)事務所
<リンク福岡県:難病医療費助成制度>。

【自己負担上限額】
認定されれば医療受給者証を交付され、自己負担上限は以下の通り。

福岡県:難病医療費助成制度より

※月当たり上限に達したらそれ以上の負担は不要。なお対象の医療行為や介護については別途確認が必要

その他医療費助成

国の支援に加えて、地方自治体独自の医療費助成制度がある場合があります。
例としてが「家族介護慰労金」 (本人の希望など、家族で介護している場合に出る支給金)などがあります。
自治体により支援はさまざまですので、各自治体でご確認ください。

介護保険制度

ALS患者は、要介護認定を受けることができ、介護サービスを利用できる可能性が高いです。自宅での介護が難しい場合、特別養護老人ホームや介護老人保健施設などの施設サービスも利用できます。
ALSは要介護認定とか関わりある16分類ある特定疾病に入っています。

特定疾病とは「3~6ヶ月以上継続して要介護状態又は要支援状態となる割合が高いと考えられる疾病。」のこと

出典:「特定疾病の選定基準の考え方」厚生労働省


この特定疾病に入っていれば要介護状態に認定されやすくなります。

厚生労働省HPより

ただし、ALSに罹患した段階で認定されるわけではなく、介護審査において有利になりやすいというのみ。ただ、ALSについては進行が早いものもあるため現在は支援が必要なくても認定は通るだろうとのことでした。病気の恐ろしさが私にも伝わってきます。
いずれにしても市町村や地域包括支援センターとは繋がっていた方が安心だと思います。

【地域包括支援センターとは】
全国に5000箇所以上ある、在宅看護のケアを行う施設。主に役割は「総合相談支援業務」「権利擁護業務」「介護予防ケアマネジメント」「包括的・継続的ケアマネジメント」の4つ

出典:介護のほんねHP

話を戻しますが、基本的には各市町村や地域包括支援センターによる要介護(要支援)認定が必要です。そして判定に至るおおまかなフローは以下の通り。

出典:介護のほんね

上図のとおり、要支援1・2、要介護1〜5に段階分けされており、要支援1が軽度、要介護5が重度であり、認定されれば要介護5につれて支給限度基準額が大きくなり・・・要は介護に関する費用の上限が大きくなり手出しが少なくなる仕組みです。
なお、この介護費用負担の上限というのは保険適用前の大元ではなく、適用後の費用になるとのこと。いわゆる手出し分ですね。

また、この介護状態区分により、どういったサービスが受けれるのかが決まりますし、地域包括支援センターやケアマネージャーがケアプランというものを作成してくれます。これらは金額や利用できるサービスが異なりますので、これ以上の説明については以下リンク先をご確認ください。高額療養費制度ならぬ「高額介護サービス費」「高額介護合算療養費制度」という制度もありますのでご参考までに。


障害者支援

ALS患者は、状況次第では身体障害者手帳と障害年金の対象になります。

【身体障害者手帳】
身体障害者手帳については以下の症状でクラス分けが行われます。

出典:障害者グループホームラボHPより

これら障害の度合いにより、以下の支援サービスが受けられます。

出典:みんなの障害HP

【障害年金】
障害年金についてもランク分けされています。障害者手帳とはリンクしておらず、別制度であると理解してください。
金額についても老齢年金と同様で、「障害基礎年金」と「障害厚生年金」があるため、人によります。概ね年間100万程度かな〜という基本理解で良いかと思います。障害年金ランク分けについては以下の通り。

出典:障害者グループホームラボHPより

福祉用具購入費

介護保険を活用した福祉用具は基本的にはレンタルになります。しかし、他人が購入したものに抵抗を感じる方もいると思います。そのため、「特定福祉用具」と呼ばれるものに関しては福祉用具購入費、約10万/年の支給が受けられます。
対象は要支援・要介護認定を受けた方です。
こちらも購入を検討する際にはケアマネージャーに相談しましょう。

特定福祉用具・・・腰掛便座・特殊尿器・入浴補助用具・簡易浴槽・移動用リフトのつり具の部分

居宅介護住宅改修費

要介護の認定を受ければ自宅の改修費用など最大20万円を限度に支給されます。
こちらはケアマネージャー(場合によっては理学療法士)に相談の上、進めましょう。
しかも、これも保険の考えと同様ですので大元の改修費用が100万かかっても手出しが1割であれば10万円、残りまだ10万円使える。
そう言った考え方になります。
本当に日本の社会保障は充実していると感じました。

介護休業制度

最後に書きましたが、介護が進むと「会社を辞めなきゃ」と考える方も出てくるかもしれません(その際にもケアマネージャーに相談しましょう)。

その際に、辞めなくても介護休業という形で本人が望めば”取らせないといけない制度”があります

年間最大93日の休業が取得でき、休業中は介護休業給付金(休業開始時賃金の67%相当)が国から支給されるため、企業も支払いが発生するわけではありません。

施設に入れる場合

在宅介護から施設に入れることももちろん可能ですが、この時に多くの人が入れていいのか悩むそうです。ただし、以下の項目に合致する場合は入れることを検討していいでしょう。

  • トイレが1人ではできなくなった

  • 火の始末が危なくなった

  • 食事をするのが大変になった

  • 介護人の体力が限界

特に最後の項目に合致しそうだと感じたら御自分の身を守るためにも施設に入れた方が良いでしょう。

なお、これまでは相談相手だったケアマネージャーですが、ケアマネージャー・地域包括支援センターは主に「在宅介護プラン」を立てる専門家です。
施設については所掌外となりますのでその点は注意しましょう(とはいえ人間ですから一度聞いてみるといいでしょう。経験上おすすめの施設は回答いただけると思います)。ただ、最後の判断は御自分になることは意識しましょう

住宅型か介護型か

施設を選択する場合ですが、大きく住宅型か介護型に分けられます。
住宅型はサービス付きの高齢者向けの住宅であり、介護度が比較的低めのかたやリハビリ不要な方向けです。
一方で介護型についてですが、リハビリや24時間対応ができたりと介護度が高めの方向けの施設になります。特定施設とあれば基本的にはこの介護型となりますが、施設によりサービス・料金は様々ですので、しっかりと内容確認しましょう。特に要介護度が上がった場合は退去する必要があったり、施設内不衛生であったり、しっかりとパンフレットや見学などを行い見定めていきましょう。

施設を見学する際には「どんなトラブルが多いか」を聞くといいようで、この回答に丁寧に答えれるようなところ(こんなトラブルがありますが、そんなときは〇〇のケアをします)は信頼できるとのこと。
その後体験入居なども利用可能ですが、これまでの流れの通り”複数の選択肢を用意しておく”ことが重要になります。

以上参考文献:マンガでわかる 介護入門

参考までに今後調べるにあたり、「有料老人ホーム」「特別養護老人ホーム」「老人保健施設」などなど様々なワードに触れると思いますので一覧にしたものを貼っておきます。

出典:みんなの介護HP

執筆者の感想

症状を聞いた直後

先ほど母が病院の先生から聞いたようで、最初わたしが聞いた時は「エーエスエル?」といった感じでした。全く聞いたことない症状ですので、「国の指定難病」であることを聞いたときに初めて重い病気なのかなといった印象を受けた程度でした。その後、ネットで症状について調べてみると

  • 急激な進行もありえること

  • 寝たきりになること

  • 死につながるような記事しかないこと

などが衝撃的でした。そして私よりも、おそらく似たような話を聞いている父の心理状態が気になっています。
今後の父がどうなるのか、うちの家族がどうなるのか、不安でいっぱいなのが正直なところです。

国や自治体の制度について調べた直後

国や各自治体の手厚い補償には本当に感謝です。また、それだけでなく現在日本で1万人程度の患者しかいませんが、各種情報を提供していただける団体・個人の方にも本当に感謝します。
おかげで症状を知った1日後にはほとんどこのブログは完成しました。

  • 高額療養費制度の介護版

  • ALSの患者の衝撃的な画像(寝たきり・人工呼吸器など)

  • 障害者扱い

この点が印象に残っている点です。

私は父とは離れたところにいますので、まだ会えてません近々会いにいきたいと思います。

父と会ってみて

現時点ではしっかり歩いており元気そうでしたが、早速稼働するベッドをケアマネさんが手配していただき(認定はまだですが、こんなこともできるんですね)、そこにほぼ寝たきりで過ごしています。
想像していた寝たきりの人だなと以前の父の姿はなく私自身も残念です。
体も痩せており、マットレスに骨があたり痛いとのことをケアマネさんに伝えるとその日のうちにマットレスも届きました。
本当に介護業界で働いている方は親切な方が多いです。本当に感謝です。

その後、父とは握手を交わして私は宮崎に戻ってきました。

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