内と外。(とんがり通信から再録)
私たちの遠い先祖は海の中で生まれました。生命のはじまりです。それはとてもシンプルなもので、「細胞膜」によって海水を、「内」と「外」とに分けるだけのものでした。そこから生命の形はどんどん複雑なものになっていきますが、今の私たちのような人間の身体にもその仕組みが働いています。それは「皮膚」という膜であったり、「免疫」というシステムであったりして、そうやって外である「他者」と、内である「私」とを隔てています。そんな人間が集まると、それらが集団を作り、それが大きなものになると「国家」というものになります。そこにも生命のはじまりのきっかけであった、「内と外とを区別する働き」を見ることができます。今、目に見える「壁」を国の間に作ろうとする話を聞くこともありますが、それは生命としての人間の宿命なのでしょうか。もしも人間そもそもの起源からはじまった問題であるならば、人間の身体が細胞レベルで変化したら、そういったものも良い方向に変化するのでは、と人の身体を触れながら想像したりします。
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