Indeedは求人のGoogleというより、人材業界のAmazonを目指している
「今後、Indeedってどうなっていくんですかね?」
みたいな話をお客さん先ですることが多くなった。
きっかけは、リクルートの決算説明会で発表されたこちらの資料
▼2023年3月期 通期決算説明会
https://recruit-holdings.com/ja/newsroom/20230414_1000/
えっ!?全てのHR関連事業が連携するの?
なるほど、複数のマッチングプラットフォームを使い分けるのではなく、AIが最適なプラットフォームに求人広告を掲載する世界観を目指しているのか。たしかに、Simplfy Hiringだな
販促マッチングプラットフォーム→Airワーク、Airレジ、Airペイ、Airキャッシュ、Airインボイス・・・Airビジネスツールズで業務効率化して、人材の部分までカバーしてLTVを上げる戦略か~
20年近くリクルートメディアを提案してきた身として色々気になることはありますが、お客さんとIndeedの話をする中で出てきたお話を4つほどピックアップしてみた。
■Indeedの今後について個人的に想うこと
①Indeed flexは正式リリースされるのか?
②そろそろglassdoorは日本でもリリースされるのか?
③既存の求人メディアやIndeedのプランは変わるのか?
④リクルート以外のメディアも「マッチングプラットフォーム」に参画する可能性はあるのか?
①Indeed flexは正式リリースされるのか?
アメリカとイギリスでテスト展開されているIndeedFlexは、派遣スタッフさんのマッチングから給与振り込みまでの管理機能をまるっと提供している。なんだか、タイミーのようなギグワーク、副業マッチングプラットフォームも兼ねているような感じなんだろうか。
で、このIndeed flexは日本でも正式リリースされるのだろうか?
まあ、普通に考えたらメチャクチャ難易度高そう。
Indeedと既に連携している派遣スタッフの管理システムもたくさんある。それに、派遣会社さんは他の求人メディアも基本的に使っているわけで、Indeedのプラットフォームの中で全部管理するというのは現実的じゃない。
そもそも、Indeed flexのサービス自体が派遣会社さんと競合しそう。
派遣会社さんの中には
『Indeedさんは当社の最大の採用パートナーですが、将来的には当社にとって最大の競合になると考えています。』
と、ハッキリ名言されている方も多い。
なんか、ジャンプの人気マンガにありそうなストーリーだ。どうなるのか、不安でもあり楽しみでもある。
(最近、派遣会社さんのIndeed掲載審査が通りづらくなっているのは偶然だろうか。。)
②そろそろglassdoorは日本でもリリースされるのか?
そういえば、リクルートってIndeedだけじゃなくglassdoorも買収していた。そっちはどうなったんだ?
▼glassdoor
https://www.glassdoor.com/index.htm
世界No.1転職クチコミサイト。というより、今や採用ブランディングプラットフォーム的なものになっている。
リクルートがglassdoorの株式を取得ことを発表したのが2018年の5月。
その後アメリカの方では、Indeedの求人機能とglassdoorの求人機能が連携したりと、シナジーが生まれているようですが、2023年8月時点で日本版はまだリリースすらされていない状況。
なぜなのか?
なんとなく想像すると、日本だとクチコミサイトがあまり健全に機能していない現状があるからなのかなと。
日本のクチコミサイトの特徴として、現状に満足している人はわざわざ書き込まない。逆に、不満を持っている人はメッチャ書き込む。(場合によっては、誹謗中傷に近い内容も含まれていたりする)
となると、サイトには偏った情報が集まってしまい、リクルートとしても掲載企業としてもサービスとしてどうなんだろう?という話になってしまう。
ただ、現状Indeedにもクチコミや企業ページはあるし、Openworkなども浸透してきたので、そろそろ日本でリリースしても良いのにな~と個人的には思っている。
しれっと、「マッチングプラットフォーム」にglassdoorのロゴが入っているのも、なんだか意味深。
③既存の求人メディアやIndeedのプランは変わるのか?
リクルートの「マッチングプラットフォーム」構想が進んでいくと、今の求人メディアやIndeedのプランはどのように変わっていくのだろうか?
欲しい人材の条件と予算を設定すれば、AIが最適な媒体に求人を掲載してマッチングしてくれる。リクルーティングクラウドやengageプレミアム、HRアドプラットフォームみたいな感じだろうか。
プラットフォーム型のメディアだと、仕様によっては企業や代理店はほぼやることなかったりする。求人を掲載したら、あとは『AIさんお願いします!』みたいな。また、配信先メディアをどこまでコントロールできるんだろうとか(ホワイトリスト?ブラックリスト?)、メディア別のレポートは見られるのだろうか?などいろいろと気になる。
さらに、もっと考えると、マッチングプラットフォーム=メディアであるとは限らない。Simplfy Hiringを実現するのであれば、もっとダイレクトに求人と求職者をつないだ方が早いわけで。ビズリーチのようなダイレクトスカウト的なものになっていく可能性も高い。実際、2023年10月以降で、Indeedにスカウト機能が実装されるという広報も出ている。
なんだか面白そうな展開になりそう。
④リクルート以外のメディアも「マッチングプラットフォーム」に参画する可能性はあるのか?
あると思う。
Googleが大きく成長したことで他の検索エンジンがなくなったように。そして、yahooもGoogleの検索エンジンを使うようになったように。
Indeed、Airworkを利用する会社が増え、登録ユーザーが増えてくれば、マッチングプラットフォームに参画するメディアは出てくるかもしれない。
自社メディアの集客を結局Indeedに頼っているのであれば、「もう一緒にやりましょうよ」、というのは妥当な判断であると言える。
Indeed=求人のGoogleです、なんて説明していた時代は今は昔。もはや、全く別のサービスへと進化しようとしているIndeedは、求人のGoogleというより、人材業界のAmazonを目指していると思う。
そうなると、いわば卸問屋としての求人広告代理店や、人材派遣・紹介会社は必要なくなる。なぜなら「1クリックで採用」できる世界をIndeedさんが作ってくれるのだから。
そんなことを考えてる時に、D2C企業の方々のお話を思い出した。Direct to Customerということで、プラットフォームに頼らず、自らのブランドストーリーを発信して、直接顧客とつながろうという会社が最近増えている。
EC業界で起こったことは、だいたい数年後にHR業界に導入されるので(あくまで個人の見解)、きっとIndeedが人材業界を席巻した後、プラットフォームに頼らず直接求職者とつながろう、という企業が出てくるはず。
Direct to Candidateですね。既に、リファラル採用やオウンドメディアリクルーティングというトレンドもあるし。
その時、企業がとる採用戦略は大きく2つの道がある。
ひとつは、圧倒的なプラットフォーマーであるIndeedをフルに活用すること。
そしてもうひとつは、自社コンテンツ・発信を強化して直接候補者につながること。
どちらが良い悪いではありませんが、皆さんはどちらの道を歩みたいか?
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