中小企業でも大手に勝てる!採用マーケティングのABC戦略
「大手が強くて、ウチみたいな中小企業では採用で勝てない・・・」
そんな話を聞くことは多い。たしかに、安定と高い給与、充実した福利厚生を求めて大手企業を志向する求職者は一定の割合で存在する。
しかし、どんな時代・どんなジャンルにおいても、小が大に勝つ"ジャイアントキリング"は起こっている。それなら当然、採用においても中小企業が大手企業に勝つ方法はあるはず。
ということで、この記事では小が大に勝つ採用戦略について考えてみる。
まず戦っている場所を知る
採用には、仕事を探している求職者を、求人募集をしている他の競合企業と取りあう、マーケティング的な側面があります。"採用マーケティング"という言葉も最近では普通に使われるようになった。
ただ、採用マーケティングでは、一般的な商品のマーケティングとは決定的に違うことがひとつある。
それは市場シェア。
たとえば、チョコレート菓子などで見ると、meiji、ロッテ、グリコ、森永の大手4社で国内シェアの半分以上を占めている。もし、自社が新しいチョコレート菓子を販売しようと思っても、非常に厳しい戦いになってしまう。
一方で、採用においてはどんなに大手が強いと言っても、求職者の半分以上を取られてしまう、なんてことは起こらない。そもそも、地方であれば大手企業と地元の求職者や学生を取りあう、ということも少ないかもしれない。
ということは、やり方によっては中小企業でも十分に勝てる可能性がある。
また、求職者の仕事探しも変わってきた。採用の主戦場は、ナビサイトや求人誌から、IndeedやSNSへと変わった。そして、予算のある会社が圧倒的な上位を独占することも難しくなっている。
採用のトレンドでは、実は予算の少ない、あるいは予算がほとんど無いような中小企業でも見てもらえるチャンスが生まれている。
では、具体的にどう戦えば良いのか?
そこでご紹介するのが採用マーケティングのABC戦略。
採用マーケティングのABC戦略とは?
採用マーケティングのABC戦略とは何か?
実はこちらの本からインスピレーションをいただいている。
著者の岩崎先生は、中小企業診断士の試験委員もされていたマーケティングの専門家。理論だけではなく、実際の調査結果から中小企業のマーケティング戦略について解説されている。
「全国」から「地域」、「総合」から「専門」、「画一性」から「個性」、「量」から「質」、「無難」から「本物」、「効率性」から「感性」──時代のトレンドは小さな企業の追い風。
というお話の中で、中小企業に必要だとされているのがこちらの3つ
Authenticityーほんもの力
Bondーきずな力
Communicationーコミュニケーション力
それぞれの頭文字をとって、ABC戦略というわけだ。
興味のある方は、本書を読んでいただきたい。ここでは、このABC戦略をどのように採用に活かすか考えてみる。
ほんもの力ーAuthenticity
ほんもの力とは何か?
Authenticityという言葉の意味からイメージしてもらうとわかりやすい。
つまり、「ウソではない」、ということ。
人的資本開示がさけばれる中、そんなの当たり前だと思うかもしれないが、本当に実践できている会社は驚くほど少ない。
最低限の条件だけ見せて募集をかけていないだろうか?
自社の良いところ、キラキラしたところだけ見せていないか?
課題やできていない部分も含めて応募者に説明しているか?
創業の理念や大切にしている価値観、ビジョンについて語っているか?
自信を持って「ウチはできている」と言えるのか今一度見直したい。
そもそも、そんな事まで伝える必要があるのか?と疑問に感じた方は、ぜひ考えてみてほしい。面接の際に、応募者に対して質問しているはず。
「当社へ応募した志望動機は何ですか?」
「あなたの長所と短所を教えてください」
「将来目指しているキャリアは何ですか?」
応募者に質問するのと同じように、応募者が質問したいであろうことを先回りして自社のありのままを伝える。それによって、自社らしさが伝わる。
他社と給与や条件で競い合うのではなく、「アナタの会社だから応募しました」と言ってもらえる状態を目指す。つまり、差別化ではなく差異化。
(でも、ありのままをを伝えたら、全く応募が集まらないかもしれない…)
そんな心配もあるかもしれない。でも、大丈夫。
われわれのような中小企業は、採用するために何百人、何千人も応募者を集める必要はない。そもそも、そんなに応募があっても対応しきれない。
中小企業の採用では1応募1採用を目指すべきだではないか。
興味を持ってほしい求職者にだけ、振り向いてもらえれば良い。
たとえ、大手を志向する人が多かったとしても、必ず中小企業・ベンチャー企業を志望する人はいる。その人たちは、会社や仕事に何を求めているのか?自社の個性に魅力を感じてくれる人に、ホンモノを伝えていこう。
きずな力ーBond
2つめがきずな力。
これは、なんとなくイメージしやすいかもしれない。
求職者とのつながり=きずなを築けるか?が重要。
でも、実は難しく考えることはない。
マーケティングでも自社のファンをつくることが重要だ、という話はある。
「あの会社って、なんか良いよね。」
「がんばって欲しいな。応援したい。」
そんな風に感じてもらうことが大切。
(ウチみたいな中小企業にファンができるなんて想像つかない…)
絶望してしまう気持ちはわからなくはないけれど、大丈夫。
ファンは会社の何を応援するのか?
ファンは会社ではなく、人につくもの。お気に入りのスポーツチームの選手、推し活しているアイドルグループ、行きつけのお店の店員さん、こだわりの製品をつくる職人さん。目標に向かってがんばる人には少なくとも必ずファンがいる。
自社らしさ=ほんものを支えるスタッフの姿、声を求職者に届けよう。
「ありのままを伝えてくれるこの会社は信頼できる。」
「自分もこんな人たちと一緒に仕事したい!」
そう思ってもらえるような発信をしていこう。
今は、SNSやブログなど無料で発信できるツールも色々とある。以前のブログで紹介したnoteであれば、今日からでも始めることができる。
(えっ…でも、どうやってウチのメンバーのことを伝えれば良いの。。。)(そんなものつくる時間も経験もないよ。。。ムリだ…)
そう感じる方はプロにお任せするという方法もある。当社でも新聞社さんと協同で運営しているダシマスというメディアを運営している。
コミュニケーション力ーCommunication
自社のスタッフのほんものを発信してきずなをつくりファンになってもらう。言うのは簡単だけど、実現するのはなかなか大変。
そこで重要になってくるのが、3つめのコミュニケーション力。
具体的に、求職者とどうコミュニケーションをとるか?ということを考える必要がある。
ファンになってもらいたい、ほんものを求める求職者にはどんなコミュニケーションの取り方が効果的か?
もちろん、SNSやブログでの発信を見て興味を持ってくれる人もいるかもしれない。だけど、それだけだと大手企業に簡単にマネされてしまう。
中小企業である私たちが、採用で大手企業に勝つためのコミュニケーションとは何か?
それは人的コミュニケーション。
人的コミュニケーションとは、簡単に言うと対面で人を介して直接行われるコミュニケーションのこと。では、誰がコミュニケーションを行うのか?
もうおわかりですね?
自社の"ほんもの"を支える一人ひとりのスタッフ。
たとえば、OB・OG訪問、職場見学、インターン、職場体験などなど、先輩スタッフと求職者が接する機会はないだろうか?
中小企業は、スタッフひとりひとりが自社の魅力を伝える採用媒体となっている状態が理想。スタッフと求職者の間にきずなをつくるための機会を設ける。いわゆる社員紹介=リファラル採用を制度として整えることも効果的。
もちろん、このようなコミュニケーションを進めるためには、スタッフひとりひとりが仕事に満足し、進んで協力してもらえるような関係性があることが前提となる。
まずは社内の一人ひとりのスタッフとのコミュニケーションから始めよう。
日本の採用を支えているのは中小企業
さいごに、中小企業の採用に関わる方に知っておいていただきたい事実を1つご紹介。
現在、日本にある会社のうち99.7%が中小企業。諸外国に比べても圧倒的に多い。一方で、100年以上続く老舗企業の数は世界一。つまり、日本は昔から中小企業で活躍する人は多い国だといえる。
大手企業には、知名度も募集条件も福利厚生でもかなわないかもしれない。
しかし、小さい会社には小さいなりのメリットを活かした戦い方がある。
採用マーケティングのABC戦略で、自社に合った求職者を採用しよう!
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