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今年の10曲(2021年)

毎年書いている、この1年で聴いた曲の個人的な備忘録。去年のはこれ

Moment Joon - TENO HIRA

韓国出身大阪在住の移民ラッパー。知ったのは去年なので厳密には「今年の曲」ではないけど、今年はほんとに、衝撃の引退宣言も含めて、Moment Joonの年だったと思うので一番に挙げたい。

Moment Joonは、「日本のラッパー」だ。それは、「これが日本だ」という内容の言葉を、日本の代表としてラップしていく、みたいな意味において。単純にフロウが好きというのもあるけど、「俺こそが日本だ、日本のヒップホップのど真ん中だ」というその硬質な叫びによって、自分が勝手に思い込んでいた「日本」という枠が吹っ飛ばされた気がして、そういう、自分の世界をぶっ壊してくれるものに久々に出会えて、痺れた。音楽が世界を変えられると信じさせてくれる、そういう種類の力がある。もちろん、音楽が変えてくれるわけではなくて、それは自分たちの手に委ねられているのだけど。

Moment Joonについては、語りたいことが山ほどあるけど、今はまだうまく言葉にできない。ちょっと前に書いた文章も貼っておきます。またいずれ、改めて。

SjQ - Torus

SjQとは、

「即興と設計」の狭間を結節する音楽プロジェクト。
プレイヤー同士の短いフレーズの遣り取りの連鎖から、<もつれ>による旋律とグルーヴを生み出し、楽曲を構築していく。

http://sjq.jp/contents/?page_id=2

らしい。即興は一定のルールに基づいて行われているらしく、その緊張感が不思議なグルーヴを生む。というのは↓の記事を読んで今初めて知った。

TorusはSjQの11年ぶりのアルバムで、リリースは去年。なんとなくリモートワークのBGMにちょうどよくてずっと流していた。(アルバム単位で聴いてたのでどれか一曲と言われても難しいので、これだけはアルバム名で…)

ヒグチアイ - 悲しい歌がある理由

武器だと言われて歯を食いしばり堪えた涙

という歌詞になんかぐっと来てしまった。武器とかどうとか、そういうことじゃないんだわこの感情は、みたいな感じのことあるなと思って。

ラジオから流れてきてたまたま知った曲だけど、ラジオから流れてきて知るという出会い方がよく似合っていた。悲しい歌はいつも不意に耳に飛び込んでくる。悲しいこと自体がそうであるように。

Hiatus Kaiyote - Chivalry Is Not Dead

Hiatus Kaiyoteはオーストラリアの4人組バンド。フューチャー・ソウル、というジャンルになるらしい。これもアルバムで流し聴いてたのでどの曲ということもないけど、適当に一曲選ぶならこれ。

こういうおしゃれな曲あんまり普段聴かないけど、Hiatus Kaiyoteはシンセの音使いとかいちいち面白くてなんか聴き入ってしまう。ジャンルを越えて色んな人に愛される不思議なミュージシャンだなと思う。アルバムのリリース日、あまりにもいろんな人がHiatus Kaiyoteの話をしていた。

食品まつり - Sanbashi

食品まつりは名古屋在住の音楽プロデューサー。アルバム全体的に、がっつりダンスミュージックとはまたちょっと違う、適度なグルーヴ感、ほどよい安らぎがある。インタビューでは「小躍り感」と表現されていて、なるほど言い得て妙。

坂東祐大 - ドレミのうた

『大豆田とわ子と三人の元夫』の音楽も担当していた作曲家。この、雑多な音階に「ドレミ」という言葉が割り振られるだけで生まれてくる、んっ?、という違和感と戯れる体験が新鮮だった。難解な現代音楽であるとも言えるし、一方で直感的に楽しめるポップさもある(ような気がする)。

にしても、この現代音楽が言わんとすることを2分18秒で表現し切るAC部の咀嚼力たるや...。解説を読んでからもう一度聴いてもおもしろかった。

CHAI - ACTION

名門Sub pop移籍後初のアルバム。正直、CHAIのハッピーな感じのバイブスは、個人的にはまったく相容れない、と思ってたけど、相容れないまま押し流されてしまうようで、恐れ入った。気迫を感じる。

諭吉佳作/men - ムーヴ

諭吉佳作/menがついにアルバム出したのでうれしい。いつもながら、面白い音がちりばめられていて好き。

マハラージャン - 示談

謎のターバン男。歌詞が全体的に最高で、特に「滅相もない」というサビに笑ってしまった。

なにかの拍子に見つけたけど、このカバーも好きなのでいつか音源出してほしい。

寺尾紗穂、青葉市子、小林エリカ - 『隅田川怒涛』「女の子たち 紡ぐと織る」

隅田川怒涛夏会期のパフォーマンス。この団地がある場所にかつて建っていた紡績工場で働いていた「女工」についての物語が奏でられる。

むかし団地に住んでたのもあるのか、団地で演奏しているという絵を見るだけでなんかぐっときてしまう。歴史に、実在した人に、生活に、思いを馳せてしまう。映像も演奏もすばらしすぎるのでみんな観てほしい。


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