[雑記] Slackに対して思っていることとか代替ツールとか

Slackの無料版が、メッセージを遡れるのが90日前までになるということで、色んな方面から阿鼻叫喚が聞こえた。Slackは、あんなことからこんなことまで様々な用途に使われてるけど、「それほんとにSlackが向いてるの?」と思うことがあるので、このどさくさに紛れて吐き出しておきたい。大したことは書かないけど。


Slackが向いてそう、と思ってること

Slackは何よりもまずチャットツールなので、同期的なコミュニケーションに向いていると思っている。

botとか、他のサービスとの連携が充実している点もすばらしい。様々なワークフローを自動化できそうで、Digital HQ、とか標榜しているのもまあわかる。

あと、90日間で消えるというのも逆に利点になるかもしれない。ここはユースケースによりそう。

Slackが向いてないかもしれない、と思ってること

コミュニティSlack

個人的にSlackを使っている場面として、まずは、r-wakalangというR言語コミュニティのSlackの見守り係(管理者ともいうかもしれない)の一人をやっている、ということがある。Slackは、コミュニティでリアルタイムにワイワイするのには向いてると思ってるけど、r-wakalangはけっこう「Q&Aサービス」的な側面も強い。強いというか、むしろそのために生まれたはず。「わからん!」という困りごとを誰かが質問すると誰かが答えてくれる、というための場として始まった、はず。

質問に対して即レスで回答がつく、というのは感動するので、そこはSlackの利点だと思う。あと、質問内容が不明確な時にいろいろ確認しないといけなかったりするけど、そういう往復が同期的にできるのもSlackのいいところだろう。

一方で、Q&Aサービスに向いていないと思う点も多い。

  • 簡単な質問にはすぐに回答がつくけど、難しい質問にはすぐ回答がつくとも限らない。が、そういう難しい質問は、新しい投稿に押し流されて行ってしまいがち(非同期的なコミュニケーションがやりづらい

  • 質問にタイトルや要約、タグなどをつけることができない。質問を把握するためにはそのテキストを上から下まで読まないといけないことが多い(トピックの整理ができない

  • 昔の質問が参照できない。よくある質問は繰り返し投稿されてるけど、そのたびに同じことを答える必要がある(アーカイブ性が足りない

  • シンタックスハイライトが効かなかったり、画像をコメント中に貼れなかったり、表が使えなかったり、プログラミング言語について議論するための表現力が足りない。あとは数式とか書けなくて不満な人もいそう(テキストエディタの機能が貧弱

とはいえ、じゃあ他に移行するか?、というとたぶんしない気がする。いろいろ不満はあるけど、質問する側の心理的障壁を下げるというのが一番重要なので、それは「まあSlackでいいか」くらいな気持ちがちょうどよさそう、というか。

仕事

仕事でも Slack を使ってるけど、正直、仕事にはあんまり向いてないと思ってる。

なぜならば。

  • 投稿を別タブとか別ウィンドウで開けない。仕事では、往々にして、過去の複数の議論を調べたり引用したりしながら自分の主張を組み立てるけど、Slackでは「あのスレッドのあのコメントとこのスレッドのこのコメントを同時に開く」みたいなことができない(分割ビューである程度はがんばれるかもしれないけど、限界ありますよね)。これはけっこう致命的だと思ってるけど、みんなどうやってこのワーキングメモリ拷問を生き抜いてるの…?

  • 通知を見たら消える。メールとかだと既読を未読に戻したりできるけど、Slackはそれができない。同期的なコミュニケーションにはいいけど、非同期的にやるにはもうちょっとうまい通知のマネジメントないもんすかね…?といつも思ってる

全般的な話として、仕事のコミュニケーションは同期的なものばかりではないので、Slackに向いてないのがけっこう混じっている気がする。

代替ツール

じゃあSlackに代わるツールなにかあんの?、というと、正直ここまでに論った(「あげつらった」を漢字で書くとこうなのか、と今知った、どうでもいいけど)欠点に対するアンサーはよくわかってないけど、自分が使ったことあるやつと感想もついでにメモっておきます。

Discord

Discordは、海外だと特によく使われている。今のところ入っているサーバーをリストアップすると、

  • モジュラーシンセ系ユーチューバーのPatreon限定コミュニティ

  • Rust系のコミュニティ

    • extendr (RustからRを、RからRustを使えるようにするフレームワーク)

    • dimforge (nalgebraとかつくってるところ)

    • GeoRust (geo系のRustコミュニティ)

  • ニンジャスレイヤー・ダイハードテイルズ有料購読者限定コミュニティ

という感じ。Patreon限定コミュニティでは特によく使われている印象がある。

機能的には、ゲーマーコミュニティだと音声通話とかビデオ通話が便利なのかもしれないけど、今のところそのあたりの機能はあんまり活用したことはないです。Slack よりもさらに同期的なコミュニケーションに寄っていて、非同期的な用途にはあんまり向いてなさそう、というのが個人的な印象。

ネガティブな点をひとつあげておくと、人が加入すると出る「手を振って挨拶しましょう!」がうざい(笑)

Elements

Elementsが通常のチャットサービスと違うのは、

  • Matrixというオープンな規格のプロトコルを使っている

  • end-to-endで暗号化されている

という点。プロトコルからオープンでやってるので、今回のSlackのように特定のプラットフォームが課金の姿勢を強めてきても、同じプロトコルを実装した別のアプリに乗り換えればいいだけ、というのが強みだ。

オープンなプロトコルがもっと力を持ってほしい、とずっと思ってるので、個人的にはめちゃくちゃ応援してるけど、いかんせんセキュアすぎて、雑に使いたいユーザーにはちょっと重いかもしれない。

今入ってるところをリストアップすると、

  • wgpu (WebGPU の Rust 実装)

  • nannou (Rust のクリエイティブコーディングフレームワーク)

という感じで、Rust界隈で流行ってるのかもしれない(それ以外で見たことがない…)

Zulip

使ったことないけど、pandasの作者として有名なWes Mckinney(wesm)氏がずっと昔から推していて知った。実装はオープンソースで公開されている。

ちょっと脇道に逸れると、wesm氏は昔から「(特にインターナショナルな組織では)非同期的なコミュニケーションが重要」という信念を持っている人で、個人的にもそこに共感することがけっこう多い。実感としても、コミュニティでワイワイするためのSlackとか作られてるけど、そこまでの速度で英語を書けないしので障壁を感じてしまうので、非英語ネイティブにはもっと「遅い場」が大事な気がしてる。

で、そのwesm氏がZulipを推してる理由が、非同期的なコミュニケーションに向いているから、ということで個人的にはけっこう注目している。公式サイトの紹介文を見ても、「非同期(asynchronous)」というキーワードが何度も使われていて好感が持てる。

https://zulip.com/why-zulip/#asynchronous-communication-is-fundamental-to-productive-work

という感じでずっと注目してるけど、いかんせん使う機会がまだなかったという…

感想

サクッと書こうと思ったら意外と長くなってしまった。なんだかんだ、生きてるとコミュニケーションに対して思うこといろいろありますよね、と思いました。

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