製品やサービスのリリースに関する仕事の成果

業務や役割が細分化していく中で、従業員の成果はどのように定義されるのか。
特に、生成AIといったテクノロジーが普及する中で、知的労働者の位置付けはどのようなものになるか。
この記事では、製品やサービスのリリースにあたってはどうかを取り上げる。

売り上げを高めるか、コストを下げるか

多くの人は規模はさておき、株式会社で勤めている。株式会社のKPIは、以下のようなものがある。

  • 売り上げを上げる
    物やサービスを準備し、それを売ることで得られる。

  • 利益を上げる
    売り上げを前提に十分に低いコストで物やサービスを準備することで得られる。

  • 株価を上げる
    投資家に対し、売り上げや利益の実績や今後の展望を見せることで得られる。
    最近流行りのサステナビリティやESGへの対応もこちらになる。

成果はどれだけ企業に貢献したか

当然ながら、従業員は会社の役に立つことで報酬が得られる。特にアメリカでは業務が厳密に定義され、成果が弱いと解雇が起こるということだ。Googleで一時期にあった解雇は記憶に新しい。

では、「企業に貢献したか」が何かというと、以下の要素に分解できる。

  • 売り上げを高めること
    物やサービスを多く売る、契約を取り付ける
    売れる製品を市場に出す

  • コストを下げること
    効率的に物やサービスを売る、契約を取り付ける
    上記の仕組みを整える
    売れる製品やサービスを安く作る

  • 投資家に訴求すること
    市場に関心を与えるプレスリリースを出す
    各種、投資トレンドに対応する
    スタートアップの場合、エンジェルへのプレゼンテーションにより資金調達をするという場合もあるかもしれない

この記事では、以降、売り上げやコストを下げるにあたって、「製品を市場に出す」という観点で述べる。

製品は簡単に作れないし、出せばいいというわけではない

当たり前のことであるが、売れる製品を市場に出さないといけない。
では、市場に出すまでのプロセスを分解していくとどうなるか。

  • コンセプトを定める
    自社の資源や国内または世界の状況を踏まえ、ターゲットとする分野や顧客課題の仮説を立てる。また、課題に対して「何をどのように提供するか」すなわち提供価値をコンセプトとして設定する。
    このタイミングでコンセプトは仮説程度となる。次の市場を調べるにあたって、何を調べたら良いかを定義できる程度には記述できると良い。

  • 市場を調べる
    顧客への定量調査、定性調査を行い、特に自社が入り込む余地があるかを分析する。

  • コンセプトを修正する
    市場を調べ、分析した結果を踏まえて、仮説として設定したコンセプトを修正する。
    どうにもならないほど乖離していたら捨てざるを得ない。
    しかし、多くの場合コンセプトは大きく変わらず、顧客像の絞り込みやそれに伴う市場規模の推定を経て、どれくらいの販売価格が妥当かを見極めるくらいになるではないか。
    コンセプトをずらし過ぎるともはや何を提供したいのか分からなくなる。
    参考:コンセプトは貫くもの【仕事の姿勢】

  • 製品・サービスを設計する
    コンセプトに合う製品に必要な要素を要件として定義する。
    物である場合とサービスである場合は変わってくる。

  • 製品・サービスを開発する
    定義された要件を元に、具現化する。
    例えば、サービスの場合は、
    情報システムの準備、自社の他商材とのインテグレーション、
    契約方法の準備、販売体制の準備、
    といった具合になる。この辺りは、企業によって異なってくるはず。

  • リリースする
    プレスリリースを行う、パイロットケースを作る、営業担当者に説明会を開く、法人向けであれば一緒に提案同行を行うし、一般消費者向けであれば魅力を伝える宣伝を行うといった感じかもしれない。

自身がどの役割で何が求められているか

製品を作る、というプロセスの中に自身が関わっているとしたら、上記のプロセスのどこかに貢献できていないといけない。
例えば、「製品・サービスを設計する」という役割であれば、製品またはサービスに対する要件定義書がアウトプットになるし、その精度が高ければ売れるものが作れるので成果になる。
また、その時にコストを留意することで、コスト削減にも寄与する。

つまり、企業が求める成果に対して、自身がどのプロセスを担っているかを理解できれば、自ずと成果物が定義できるはずだ。

時には成果物が役に立たない場合も

ただし、いくら精度が高くても、企業にとっては何の役にも立たない場合もある。

製品にそもそも価値がない場合がそれに当たる。
具体的には、定めたコンセプトの仮説に対して大した市場調査もされず、実際に売り出してみたら全く受け入れられないということは起こり得る。

もちろん、先進的すぎるサービスや製品は、市場調査を行なってもそれが受け入れられるかどうかの精度は高まらない可能性はある。
とはいえ、最低限、自分たちが作るものがどういった対象の顧客を想定していて、それらが何人または何社程度の規模や予算を有しているかは把握した方が良い。

すなわち、自身がプロセスの後段の工程にいる場合、コンセプトや市場性に対しては極力の疑問を持った方が良い。
疑問の解消には時間を要するが、何も考えずに先に進めてしまった場合、意味のない製品やサービスのリリースに加担することにもなり得る。
そうすると、企業に対して貢献するどころか足を引っ張ることになる。

また、疑問の解消はコンセプトを正しく理解することに繋がる。
これは、設計や開発に際して、コンセプトに沿った具現化を円滑にする効果がある。
戸建て住宅を作る場合と高層ビルを作る場合の資材は異なる。
同じように、製品やサービスを思い通りにリリースするためには、コンセプトに合わせた設計や開発が必要になる。

まとめ

規模の大きな企業に勤めるほど、プロセスは細分化されやすい。
この時、自分がどのプロセスを担っているかを理解し、成果を定義することが重要になる。
また前段のプロセスの精度や自身の理解の甘さにより、自分たちの仕事が徒労に終わる事もある。
何事にも疑問を持って取り組むことが大事である。

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