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対話と共話とドミニク・チェンさん

対話とは何でしょうか。対話とは、話し手と聞き手が互いに意見や情報を交換することで、理解や合意を深めようとするコミュニケーションの方法です。

対話では、話し手は自分の考えや感情を明確に伝えることが重視されます。聞き手は話し手の言葉を注意深く聞き、質問や反論などで応答します。対話は、相手の立場や視点を尊重しつつ、自分の主張や信念を表現することで、対立や課題に対処するための有効な手段です。

そして、共話とは何でしょうか。共話とは、話し手と聞き手が互いに協力して発話を作り上げようとするコミュニケーションの方法です。

共話では、話し手は自分の考えや感情を断定的に伝えることを避け、相手に配慮したり誘導したりすることが重視されます。聞き手は話し手の言葉を積極的に補完したり推測したりすることで応答します。共話は、相手との親密さや一体感を高めることで、友人関係や人間関係の構築・維持に役立つ手段です。

以上のように、対話と共話は、コミュニケーションの目的やスタイルが異なるものです。対話は自分と相手の違いを明らかにしながら理解しようとするものであり、共話は自分と相手の共通点を探しながら仲良くなろうとするものです。

したがって、場面や相手に応じて、適切な方法を選択することが大切です。
まず、対話から得られる効果としては、次のようなものが挙げられます。

• 対話は、相手の視点や感情を理解することで、共感や信頼を生み出します。
• 対話は、自分の考えや感情を明確に伝えることで、自己表現や自己肯定感を高めます。
• 対話は、相手の意見や情報を受け入れることで、知識や視野を広げます。
• 対話は、相手との違いや対立を認めることで、多様性や寛容性を育みます。
• 対話は、相手との合意や協力を目指すことで、問題解決や創造性を促進します。

次に、共話から得られる効果としては、次のようなものが挙げられます。
• 共話は、相手の言葉やリアクションに合わせることで、一体感や楽しさを生み出します。
• 共話は、自分の考えや感情を押し付けないことで、相手に配慮や尊重を示します。
• 共話は、相手の言おうとすることを察することで、関心や関係性を深めます。
• 共話は、相手と共同で発話を作り上げることで、協調性や協力性を育みます。
• 共話は、相手との共通点や一致点を探すことで、安心感や信頼感を高めます。

以上のように、対話と共話はそれぞれ異なる効果をもたらすことがわかります。では、対話と共話からより良い社会へ繋がる方法は何でしょうか。私の考えでは、次のようなことが必要だと思います。

• 対話と共話はどちらも大切なコミュニケーションの方法であることを認識し、場面や相手に応じて適切に使い分けることが重要です。
• 対話では自分と相手の違いに注目し、互いに尊重しながら理解し合おうとする姿勢が必要です。また、自分の考えや感情を正直に伝えるだけでなく、相手の考えや感情にも耳を傾けることが大切です。
• 共話では自分と相手の共通点に注目し、互いに協力しながら楽しみ合おうとする姿勢が必要です。また、自分の考えや感情を押し付けないだけでなく、相手の考えや感情にも気づくことが大切です。
• 対話も共話も一方的なものではなく、相手とのやりとりによって成り立つものです。そのため、相手の言葉や態度に注意を払い、自分の言葉や態度にも気を配ることが重要です。
• 対話と共話は、それぞれにメリットやデメリットがあります。対話は、理解や合意を深めることができますが、対立や衝突を招くこともあります。共話は、一体感や楽しさを生み出すことができますが、表層的や希薄な関係になることもあります。
• 対話と共話は、相補的な関係にあります。対話だけではなく、共話も行うことで、相手との関係性や信頼性を高めることができます。共話だけではなく、対話も行うことで、相手との理解度や合意度を高めることができます。
• 対話と共話からより良い社会へ繋がるためには、自分だけではなく、相手や周囲の人々も対話と共話の方法や効果を理解し、実践しようとすることが必要です。そのためには、対話と共話の重要性や意義を広めることが必要です。
• ポイントとしては、対話と共話を行う際に意識したいことは、「互いに尊重しあうこと」「個人の価値観を否定しないこと」「自分を客観的に見ること(外在化)」「社会的な価値観と個人的な価値観を切り離して考えること」などがあります

ドミニクチェンさんは、情報学研究者として、人間社会とテクノロジーのよりよい関係性のあり方を学際的に研究しています。
彼は、『未来をつくる言葉―わかりあえなさをつなぐために』という本の中で、共話という概念を紹介しています。
共話とは、「完結しない発話を発することによってコミュニケーションの過程が経過する中で話し相手からもやはり完結しない発話を引き出し,相互に補完しあうことによってコミュニケーションの目的が達成されることを期待した言語行動」と定義されるもので、日本語の会話に特徴的なものだと言われています。
ドミニクチェンさんは、共話によって生まれる「共在感覚」が、人間以外の存在との共生やケアにもつながる可能性があると指摘しています。
例えば、彼は『Nukabot(ヌカボット)』というぬか床とのコミュニケーション・インタフェースを開発し、微生物と一緒にいるという共在感覚の発生プロセスを研究しています。
また、彼はオンラインで「共話」を実現する音声通話システムを開発したNTTドコモのプロジェクトにも関わっており、対面ではごく自然に行われる「共話」をオンラインでも体験できるようにすることで、気軽で安心感のある直感的・共感的な会話が可能になると期待しています。

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