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【読書メモ】「Learn or Die 死ぬ気で学べ プリファードネットワークスの挑戦」を読んで

「Learn or Die 死ぬ気で学べ プリファードネットワークスの挑戦」
という本を読んでおもしろかったので、備忘録も兼ねてまとめてみました。

コロナの影響で人と会う機会も少なく、読んだ本について語れる機会があまりないので試しにやってみたのですが...
いざ書いてみると冗長な感じになってしまいました。
(書籍なのに論文まとめたみたいになった。笑)

次になにか読んでまとめるときはもっと簡潔に書けるようにしたいなぁ。

この本を手にとった理由

Preferred Networks(プリファードネットワークス/PFN)
この名前はAIや最新のテクノロジーについて興味がある人なら誰もが聞いたことがあるだろう。多くの企業とのAI関連の共同研究が有名で、ディープラーニングのフレームワーク(Chainer)も自社開発をしていたことで知られている。僕自身もAI関連の研究記事で何度も目にする機会があり、AI研究が盛んな企業として名前は知っていた。

さらに、日本経済新聞社が2019年におこなった「NEXTユニコーン調査」によるとPFNの企業価値は3515億円。2位の1218億円から2000億以上の差をつけ、創業20年内の未上場企業のなかで最も価値のあるユニコーン企業とされている。

つまり、いま超イケイケの会社だ。

しかし、実際には何をやっている会社なのか。何で稼いでいる会社なのか。なぜ優秀な研究者が集まっていくのか。なぜこんなに市場の評価が高いのか。全てが謎に包まれている技術者集団

「こんなにかっこいいPFNについてもっと詳しく知りたい。」そんな思いからこの本を手にとって読んでみることにした。


この本で学べること

・PFNとはどんな会社なのか?
 - どのように生まれたのか。
 - いまなにをしているのか。
 - これからどこを目指していくのか。

・人工知能技術の現在とこれから
 - いまの技術でなにができ、なにができないのか。
 - 今後社会はどう変化していくのか。

・誰もやっていないことをやり、世界を変えるために必要なこと
 - どのようなマインドを持っているのか
 - どのように行動しているのか


内容をざっくりと

・PFNとはどんな会社なのか?

 Preferred Networksは、最先端の技術を最短路で実用化することで、これまで解決が困難であった実世界の課題解決を目指している。
 交通や製造、バイオヘルスケア、ロボット分野などの課題をコンピュータの力で解決する。具体的には、自動運転や、わずかな血液からがんを見つける技術の実用化などを進めている。

つまり、AIの研究開発をおこない、それを実社会に応用する会社だ。

創業は2014年と新しいが、前身のPreferred Infrastructureは2006年に設立されており、事業内容の変化とともにスピンアウトする形で設立された。

NTTやトヨタ、ファナックのような大企業が出資をうけ、高い技術力を武器に様々な企業と共同で研究開発をおこなう、現代のソフトウェア版町工場のような企業だ。

しかし、ただ受託開発をおこなうのではなく、徹底的に技術を突き詰め、価値ある技術を継続的に開発することで、自社の技術を高めていくことを重要視しており、単なる下請け企業ではない。
実際に自分たちでディープラーニングのフレームワークの開発や半導体の開発をおこなってきた。

そしてこれからは、これまでに培ってきた技術や資金力を元に、パーソナルロボットの開発に着目している。

パーソナルロボットが人の生活に溶け込むことで人の仕事や生活を変えることができる。人がやりたくないことや危険なことは全てロボットにやってもらい、開いた時間を人間は自由に使うことができ、他の仕事をすることができる。

そしてただロボットを作るだけではなく、プログラミングのあり方を変え、誰もが簡単に自分のロボットをプログラムし、パーソナルロボットを有効に利用できるプラットフォームを構築しようとしている。

このようにPFNは、パーソナルロボットの開発を通じて、これまでに誰も成し遂げられていない、人間とロボットが共存する世の中の実現を目指している。


・人工知能技術の現在とこれから

これまではハードウェアとソフトウェアは別個に進化してきた。これからは、そうではない。ソフトウェアが進化することによってハードウェアができることが増える。それによって新しいハードウェアができる。そしてまた高度なソフトウェアができる。

ここ数年で計算機の計算能力が飛躍的に向上し、それに応じて深層学習(ディープラーニング)の研究も盛んにおこなわれるようになった。その結果、深層学習を利用することであらゆるデータに対して汎化性のあるモデルを作ることができるようになってきた。

しかし、現状ではまだ深層学習の社会応用はごく一部に止まっており、社会を変えるまでには至っていない。技術革新の進む自動運転技術でさえ、まだ公道で走るのが一般的にはなっていない。

実際、ロボットは形の決まったものを手に取ることはできるが、形や硬さの異なるものを自らの目でみて判別し、移動することはできない。また、人間の「そこの青いのとって」のようなあいまいな指示を聞いて、それを実現することもできない。

というのも、現段階ではロボットを動かすのに正確なプログラミングを要する。あらゆる可能性に対して細かい指示をプログラムする必要があるため開発コストが大きい。そんなコストをかけることができるのは、現状だと自動車業界のような限られた場所に限る。

そこで、ハードとソフトの両面の技術革新が必要になる。両面の進化により誰もが簡単にプログラムできるようになれば、あらゆる産業でロボットを活用できるようになる。


・誰もやっていないことをやり、世界を変えるために必要なこと

挑戦するための4つのバリュー
1 ) Motivation-Driven(熱意を元に)
2 ) Learn or Die(死ぬ気で学べ)
3 ) Proud, but Humble(誇りを持って、しかし謙虚に)
4 ) Boldly do what no one has done before(誰もしたことがないことを大胆に為せ) 

PFNには上記の4つのバリューがある。

特に2番目の「Learn or Die」は本書のタイトルにもなっており、PFNのマインドを知る上で非常に重要な項目だろう。本書ではこのように書かれており、常に学び続けることを重要視している。

エンジニアはマグロのようなものだ」マグロは泳ぐのをやめてしまうと酸素を取り込めなくなり、やがて死んでしまう。だから泳ぎ続ける。マグロと同じようにエンジニアも新技術を常に取り入れ続けなければ死んでしまう。

また、常に失敗を恐れず挑戦し続けることも重要だ。

PFNでは失敗することも推奨している。新しいこと、難しいことに挑戦して失敗がないなんてことはあり得ない。失敗で評価を下げることは絶対にない。むしろ失敗する覚悟を持って事に望まないのは嫌だ。失敗するくらい難しいことをやってほしい。

たとえできない可能性が9割りだったとしても挑戦し、自分たちでしかできないことを成し遂げようと努力する必要がある。

また、個人の技術力はもちろん、お互いをリスペクトし、チームの開発を重要視している。人と人との交流から新しいことが生まれる。
また、「何をやるか」と同じだけ「誰とやるか」を大切にしており、優秀な人材の獲得につなげている。


感想

この本は一見、PFNについて書いてある企業特集のビジネス書に思われるかもしれない。しかし、それだけではない。

PFNがどのような会社なのかを知ることができるのはもちろん、PFNの取り組みを通じて最新技術に触れることができ、今後の社会の展望を見渡すことができる。

さらに、PFNの世界を変えるための強い思いを通じて、勇気をもらい、自分自身の行動や考えを見直すきっかけにもなる。

つまり、企業について知り、最新のIT技術に触れ、マインドを鍛えることができる本だと感じた。


この本を読んで改めてPFNのファンになった。

謎のベールに包まれた技術者集団がどのような未来を見据えているのか、その未来が実現できるのか。今後のPFNが作り出す未来がとても楽しみだ。


オススメしたい人

・PFNについて知りたい人

・最新のAIの動向を知りたい人

・10年後、20年後の未来がどうなっているのか考えたい人



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