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【AISTS #9】 7週目 スポーツにおける重要な契約(2019/11/4-11/10)

今週は法律の講義が続きました。先週の記事で書いた全体像の中で言うと「Sub-module 2: Contracts in Sport」の内容にあたります。
具体的な事例以外の資料はアジェンダ程度で、口頭での説明が中心の講師だったので、ポイントが掴みづらいところもありましたが、印象に残ったトピックについて書いていきます。法律の分野はまだまだ理解が浅いですが、学んだことが繋がってくると面白いので、もう少し頑張ります。

Sub-module 1: Legal Entities in Sport
Sub-module 2: Contracts in Sport
Sub-module 3: Liabilities in Sports
Sub-module 4: Settlement of Conflicts

スポーツにおける重要な契約

重要な契約として、以下の3つが取り上げられました。

・ 選手の雇用契約
・ 放映権契約
・ スポンサー契約

中でも、長い時間をかけて事例も含めて解説されたのが選手の雇用契約に関連して、選手の権利を制限することはどのような根拠で認められるのか、という点でした。
細かい法律の適用やその背景までは理解しきれていない部分もありますが、頭の整理も兼ねて事例を紹介します。言葉の使い方などが法律的に正しくない点もあるかと思いますが、ご容赦ください。

スポーツ選手の権利に関する重要な判例

欧州においては、スポーツに関連する労働者(選手)の権利の制限に関して、以下の3つのパターンに分類されます。基本的には、欧州連合基本条約(EU条約)に基づいて判断されます。

A. EU条約の対象範囲外(→制限が認められる)
B. EU条約の対象となるが、その中で制限が認められる
C. EU条約の対象となり、制限が認められない

1958年発効の旧EC条約がベースで、直近は2009年にリスボン条約で修正が加えられました。ざっくり言うと、以下のような関連条項があげられます。

第2条:経済活動(economic activity)の発展を促進するものである
第12条:国籍に基づくあらゆる差別は禁止される
第39条:域内での労働者の移動の自由は保障される
第49条:域内でのサービス提供に関する制限は禁止される
第101条:競争制限的協定・協調的行為の規制(競争法
第102条:市場支配的地位の濫用行為の規制(競争法

最初にスポーツ界に大きな影響を与えた判決は、1974年のWalraveの判例です。
各国代表が出場する国際大会において、国際自転車競技連合(UCI)による、ペースメーカーは競技者と同じ国籍でなければならない、という規定は認められるかという点が欧州司法裁判所(ECJ)にかけられました。

判決は、代表チーム(national teams)の結成は純粋にスポーツを実施することが目的であり、経済活動にあたらないとされ、第2条に基づいてEU条約の各種規定は適用されない(国籍による制限をしてもよい)、というものでした。上記Aのパターンです。

・そもそも第2条には、経済活動以外を適用対象外とする意図が含まれているのか
・代表チームにおいても報酬が発生し、経済活動と認められるのではないか
という指摘はありますが、この判決がこの後のスポーツ界に影響を及ぼすこととなります。

その後の大きな動きが、有名なボスマン判決(1995年)です。
こちらについては日本語でも多くの解説があるので詳細は割愛しますが、欧州サッカーにおける移籍の自由化(とその先の商業化)の大きなきっかけとなった判決です。上記のCにあたります。

ボスマン判決(―はんけつ、英: Bosman ruling)は、1995年12月15日に欧州司法裁判所で出された判決である。 ヨーロッパ連合(EU)に加盟する国(2019年5月1日現在で28カ国)の国籍を持つプロサッカー選手は、以前所属した(前所属の)クラブとの契約を完了した場合、EU域内の他クラブへの自由移籍が保証され、その際クラブ側は選手の所有権を主張出来ず、またEU域内のクラブはEU加盟国の国籍を持つ選手を外国籍扱いに出来ない、とした。
(出典:ウィキペディアより抜粋)

あと、面白いと思ったのはCultural Exceptionと呼ばれる第151条です。
複数国の共同体であることを象徴する条文ですが、各国の文化を尊重すること、という規定があり、これが抜け道にもなり得るようです。

The Community shall contribute to the flowering of the cultures of the Member States, while respecting their national and regional diversity and at the same time bringing the common cultural heritage to the fore.

経済活動であっても、この条文を根拠に制限が認められるケースが、上記のBパターンの一例となります。

他にもDeliège(2000年)、Lehtonen(2000年)、Simutenkov(2005年)の判例が紹介されました。興味のある方は調べてみてください。

課題活動(遊び)

木曜日は日本食パーティーを開催。日本のカレー、焼きそば、餃子、日本酒を振る舞いました。
どれも好評でしたが、特に印象的だったのはインド人が焼きそば大好きだったこと。ソースの味が好きらしいです。インド人は最大派閥で5人いるので、あながち個人の好みというわけではなさそうです。

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週末は、デフフットサルの世界大会が開催されているヴィンタートゥール Winterthur という街に来ました。チューリッヒから電車で30分弱、僕が住んでいるローザンヌからは3時間半くらいです。美術館の多い、落ち着いた街という印象でした。
少し足を伸ばすと、世界遺産となっている修道院で有名なザンクトガレンや、ラインの滝があるシャフハウゼン、ボーデン湖畔のコンスタンツなどもあります。

デフフットサルの観客は選手/関係者とそのご家族がほとんどだったと思いますが、それぞれの想いを乗せた熱い戦いが繰り広げられていました
今のところ、日本代表は男子が1勝1敗、女子が1勝1分です。予選ラウンドは4チームのリーグ戦、勝ち上がった8チームで決勝トーナメントが行われ、決勝戦は16日(土)です。男子は今日の敗戦で苦しい状況になってしまいましたが、強豪ロシアに勝ってなんとか望みをつなげてほしいです。

日本では、Fリーグの共同開催名古屋ラウンドが開催されました。観客数は、地元名古屋オーシャンズとバサジィ大分の天王山が1,164人、他の試合は1,000人以下と、寂しい結果になってしまいました。
下記の記事に書いたクラウドファンディングをきっかけに、集客の取り組みをしたかったのですが力及ばず。ご期待いただいた皆さまには申し訳ありませんでした。この件については改めて想いを整理してご報告します。

来週の予定

国際バスケットボール連盟(FIBA)訪問、スイスオリンピック委員会(Swiss Olympic)やアンチドーピングの国際検査機関 ITA(International Testing Agency)によるプレゼンなど、実践的な学びが多い1週間になりそうです。

週末はイタリア人のクラスメートとミラノに行く予定です。

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スイス・ローザンヌにあるスポーツマネジメントの大学院AISTSに留学中(2019/9〜)。夢のあるフットサル界に。 https://twitter.com/yutakano_8 https://www.facebook.com/yutakano.8
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