【AISTS #13】 11週目 アスリートのキャリアとバルセロナでのフットボール観戦 (2019/12/2-8)
前半2日は先週に続きマーケティングの講義で、後半はアスリートのキャリアについて。現役/元アスリートのクラスメイトからのプレゼンもありました。
週末はバルセロナで、サッカーとフットサルを1試合ずつ観戦。フットサルの バルセロナ vs インテル はスペインの頂上決戦、世界最高峰と言っても過言ではないカードです。本場を体感するのは大事ですね。
スポーツマーケティングの講義
週明けに試験があるので、復習がてら、印象に残ったスポーツ特有のポイントを簡単に整理します。
消費者を取り囲むように、スポーツ(協会、リーグ/大会、クラブ、選手)、スポンサー、メディアが連携して価値を提供し、その3者の間に入るのが代理店です。(下図、出典:AISTS講義資料)
Marketing "of" Sport から Marketing "through" Sport に、更に後者も、スポーツを露出の一つのツール(Tactical Element)として使っていたものが、プラットフォーム(Strategic Element)として使われるようになってきました。
Sports Marketing の定義はこんなところでしょうか。個人的には「go beyond」というのが大事だと思ってます。顕在化していないニーズを見出して、新たな価値を提供することが求められます。
Activities to provide solutions such as products, services and experiences that have values which meet or go beyond clients’ expectations through sports.
ちょっと面白かったのはスポーツにおけるファンのセグメンテーションの例で、Player, Patriot, Appreciator, Socialite, Family, Voyeurと。Voyeurは「覗き見」などという意味で、性的な興味でのスポーツ観戦者を指します。分かりやすいのはアメリカのランジェリー・フットボールですが、どんなスポーツにも多かれ少なかれその要素はありますよね。
世界のスポンサーシップの総額の70%はスポーツが対象。重複する部分もありますが、コンセプトは大きく3+1 種類:Partnership, Linkage, Activation, (Ambushing)。
最近よく耳にするアクティベーションにかけるコストは、取得する権利料に対して北米の平均で2.2倍(出典:IEG ,WHAT SPONSORS WANT & WHERE DOLLARS WILL GO IN 2018)とのこと。スポンサーシップ関連の数字はIEGのレポートにいろいろ載っているので興味のある方は調べてみてください。
アンブッシュは一概に悪ではなく、むしろイベントを盛り上げてくれる側面もあるので、各ステークホルダーの利害をしっかりと把握してコントロールすることが重要、というお話しでした。
網羅はできていませんが、今回はこのあたりで。
アスリートのキャリア
水曜日は、心理学の側面からアスリートのキャリアを考える講義でした。Career Transition(日本で言うセカンドキャリア)に向けて、現役生活の中でどのような自己認識を持つことが重要か、という点がポイントでした。
なぜスポーツをしているのか?
スポーツから何を得ているのか?
スポーツで培われた能力は何か?
その能力は他のフィールドでどのように活かせるのか?
今年のクラスには、国際レベルで競技をしている/していたアスリートが9人います。うち2人は現役で、東京オリンピックを目指しています。
・110mハードル トリニダード・トバゴ代表(オリンピアン)※現役
・50km競歩 南アフリカ代表(オリンピアン)※現役
・スタンドアップパドルボード(SUP)アイルランド代表 ※現役
・武術(Wushu)レバノン代表 / 世界選手権優勝
・新体操 フランス代表
・フィギュアスケート イタリア代表
・アーティスティックスイミング(旧シンクロ)韓国代表
・バスケットボール スペイン代表
・オーストラリアンフットボール プロ選手 / クラブ年間MVP
こうして並べるとなかなか豪華ですね。それぞれが競技に取り組み始めたきっかけから、アスリート時代の経験で何を学び、今後にどのように活かしていくか、というプレゼンをしてくれました。
このようなプログラムに参加しているだけあって、現役時代から冷静な自己認識を持っていたというメンバーが多かったですが、スポーツに限らず何ごとも、後で振り返ったときに過去の経験をどのように評価し消化するか、という点に尽きると思っています。
競技を通して培った能力として多く挙げられて印象に残っているのは、
目標達成に向けてのコミットメント、プレッシャー下での自分自身のコントロール、組織の一員としての行動(Organizational skill)、変化する環境への適応、忍耐、
といったところでしょうか。
協会の方針と反りが合わなかったことを、引退の要因の一つとして挙げていたメンバーが2人いたのですが、どちらも競技結果が主観に左右されやすい採点競技だったのが興味深かったです。
課外活動
週末はバルセロナに行ってきました。サッカーとフットサルを1試合ずつ観戦。どちらも非常に見応えのある試合で、大満足です。
土曜日はサッカーの バルセロナ vs マジョルカ。
バルセロナは簡単そうにやってるけどみんな本当にうまい。特に4点目のスアレスのゴールは鳥肌ものでした。メッシのハットトリックには脱帽です。
一方のマジョルカは少し心配になる出来でしたが、贔屓目なしに、バルセロナ相手に一番渡り合ってるのは久保でしたね。ブーイングは予想以上にしっかりもらってました。認められている証と言ってよいかと。
翌日に訪れたミュージアムもよかったです。スタジアムツアーとセットになっているので、試合がない日に行くのがおすすめです。
日曜日はフットサルの バルセロナ vs インテルモビスター。今回のメインイベントです。
サッカーと同じく「Barça! Barça! Barça!」のイムノ Himno でキックオフを迎えましたが、この時の雰囲気は屋内ならではのもので、一気にテンションが上がりました。入場者数は4,912人。
試合は一進一退の激闘の末、5-3でバルサに軍配。インテルが1点差に迫って、残り4分でパワープレーを仕掛けるも、パワープレー返しで万事休す。
この前の親善試合で日本代表はスペイン代表に完敗しましたが、スペインの中でもトップクラスのカードとはいえ、国内リーグでこの強度でやっているのを目の当たりにすると、その結果にも納得です。
この競技レベルを目指すのであれば、選手も指導者ももっと外に出ないといけませんね。
素晴らしい試合でしたが、一方で「フットサルは世界最高峰の試合でもこれか」というのも正直な感想です。例えば、近い距離でのファンサービスは魅力の一つですが、それができてしまう現状を冷静に見る必要があります。
サッカーと同じような存在になることが全てではありませんが、フットサルはどこを目指すのか、子どもたちは何を夢見てフットサルに打ち込むのか、バルセロナで2つの試合を見て考えさせられました。アスリートのキャリアの話にも繋がりますね。
来週の予定
月曜日の朝にスポーツマーケティングの試験があり、その後はデジタルマーケティングの講義が続きます。
週末は、年明けにボランティアとして参加するユースオリンピックの研修と、スイスで初めてのサッカー観戦です。
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