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「当たり前のことを当たり前にやった」

新型コロナウイルスが経済に与える影響は大きい中、トヨタの昨年10~12月の営業利益は9,879億円。前年同期と比較して3,478億円の増益となった。

当たり前を積み重ねる、小さな改善を行なっていくというのはやはり日本のDNAなのだなと感じ、どこからそういうマインドセットが育まれるのか

日本の製造業の歴史

日本人の「勤勉」というイメージは、戦後の高度成長期以後、日本人ビジネスマンの勤務時間の長さ、欠勤率の低さ、休暇取得率の低さ、残業の多さ、組織を優先させて自己を犠牲にして集団や企業に奉仕する姿などからさかんに言われました。
このイメージの定着には、滅私奉公というかつての封建時代に言われた主従関係や、主君への忠に命さえ捨てて殉じる「武士道」が、会社と社員の関係に重ねあわせてみられたことも影響しているかもしれません。
しかし、お雇い外国人のことばに見るように、幕末から明治にかけての時代には、日本人は決して勤勉だったわけではなかったようです。

どうも高度経済成長以前は、日本人であっても「勤勉」ではなかったようだ。それでは高度経済成長以降からの成功体験や築き上げたものが日本人の勤勉さを培っている

高度経済成長

日本の高度経済成長を語る上では、やはりジャパンアズナンバーワンの本を読むべきだと思い、初めて読んで見ました。社会学者エズラ・ヴォーゲルによる1979年の著書。エズラ・ボーゲル氏は2020年12月20日に死去している。ご冥福をお祈りしています。

古い本で学びがないかと思いましたが、アメリカと比べた日本の違いに関して、色々と学ぶことができるので、別途内容まとめたいと思う。

当たり前を積み重ねる、小さな改善を行なっていく日本の製造業の特色は本文にもある下記にあると思う。

組織が個人に帰属意識と自尊心を与え、働く人々に、自分の将来は企業が成功することによってこそ保証されるという自覚を与えているからである

この帰属意識は、「終身雇用」と「年功序列」制度が根付いていることにある。
その理由に関連づけられるものを本文から抜粋した。

・年少者の下で働くことを潔しとしない感情はアメリカうより強い
・年上の有能なものの命令ならば素直に聞ける
・自分が要職に就いた時には同期の友人たちもそれぞれの組織の要職にあり、日本は円滑に話を運ぶことができるが、アメリカは特殊技能を持った社員を雇って、ノウハウを確保もできるので、親密な人間関係を描かない
・日本の会社では肩書きと実際にする仕事がまったく切り離される。アメリカは個人であるが、課が主体であるため。課内での仕事分担は明確ではない。
・最前の決断は課の人々がなんども協議を重ねた末に出てくるのであって、上から二者択一的な形で明快に提示されるのではない
・出世できる人間は独創的な考えの持ち主ではなく、他人と協力して全ての人々に満足のいく答えを探し出せる人である。
・終身雇用制度のないアメリカは評価は地位と給料だけによって表されると考えている。日本人の考えは奉仕精神を低下させ、いたずらに葛藤を増すと見なされる。長期的な展望に立つ日本企業において社員が望む本当の意味のある報酬は同僚たちの評価
・経営者と社員の格差が少ないことが、労働者の企業との一体感を強める働きをしている

端的に言うと、「終身雇用」と「年功序列」制度の中では、評価軸がチームで円滑に仕事ができることであるためだと思っている。アメリカは個人にフォーカスし、評価は地位と給料だけによって表されると考えられている。

「終身雇用」と「年功序列」

「終身雇用」と「年功序列」が生まれた背景は下記と示されている。当時はアメリカ式経営法をモデルにしようとする動きもあったようだ。


近代化の道を歩み出すのが遅れた日本では、西欧諸国に比べてより統制の取れた計画と指導と投資が必要出会った。鉄鋼、機械、電気製造に関する大企業では、高度の技術と大規模な企業組織を必要とし、技術者と管理者の両方を同時に養成しなくてはならなかった。いずれの技術も、それまでの日本には存在しなかったものであり、彼らの要請には多くの時間と資本投下が必要であった。これらの基幹産業は政府の強力なバックアップを受け、資金の調達もしやすく、安心して長期的な雇用の保証を与えることができた。こうして多くの投資をして養成した人間をずっとその企業に引き留め、習得した技術を十分に発揮できるように終身雇用制を採用したのである
当時は、日本の企業にも、アメリカ式経営法をモデルにしようとする動きもあった。それは、労働者を簡単に解雇、あるいはレイオフ(一時帰休)できるから、働きの悪い従業員を整理し、有能な者には思いきった賞与を与え、年功序列制ではできない大抜擢も可能であると考えたからである。こうして企業は柔軟性を増す一方、労働者も一つの企業に縛られずにより多くの選択の自由を得られる。縮小撤退部門にかかるコストも少なくてすむ。しかし日本の企業が欧米の企業をしのぐようになった六〇年代後半になると、日本の経営者は年功序列制のほうが西欧式経営法よりも優れていることを認識し、以後は独自の経営哲学の確立を目指すようになった

今後の日本の製造業はどうあるべきか

現代では、「終身雇用」と「年功序列」が日本の経済の発展を止めている、と悪いものと捕らえられているが、本当に悪いものなのか、今一度考える必要があると思った。

日本が経済成長できでいたのは、島国であるからこそ、自分たちの世界では狭く、色々な事を学ばなければいけないと言う謙虚さや、全てをそのまま真似るのではなく、日本に合うようなものに変化させてきたりしてきた。

高い生活水準とかなり快適な生活を享受するようになって、かつての「ハングリー精神」を失ってしまっている。人口構成も急激に高齢化している。国際組織で活躍できる人間が少なく、中国等が代等している。奥に潜む深刻な問題があるにも関わらず、日本には危機意識がない。

今は戦後のように変わらなければいけない時にはあると思う。それが海外のモデルをそっくり真似ることではなく、日本にあった制度を作って改革していくことである。まずは謙虚に学ぶ姿勢を、ハングリー精神を。


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