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小笠原マガジン

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太平洋の真ん中に浮かぶ世界遺産、小笠原諸島の情報を集めてみました。
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記事一覧

小笠原諸島 11泊12日 絶景ワーケーション

久々のnote更新です。今回小笠原諸島の滞在型観光促進事業の一環で11泊12日の長期滞在ワーケーションを体験してきて動画を制作しましたので、小笠原を紹介しつつ動画にコメントしてみようと思います。 今回の旅は眼を見張る絶景と島の人々との出会い、最近色々な状況で狭くなっていた視野をも広げてくれた小笠原への旅だったので「Wide eyed world」とサブタイトル付けてみました。船旅を中心に12日間の滞在で体験したことや行った場所のダイジェスト・ムービーになっています。 まず

ワーケーションと「心のネットワーク効果」

0.日経comemo KOL就任に際してのご挨拶日経comemo読者の皆さん、こんにちは。別所隆弘と申します。2月からKOLとして、このマガジンに月2本、記事を投稿させていただくことになりました。専門は19世紀アメリカ文学(旅行記、視覚表象論)、そしてもう一つはプロのフォトグラファーという側面もあります。個人的には自分は文学研究者であるという想いが強いのですが、実質的にはフォトグラファーとして認知されているのは、自分の不勉強の結果だなあと忸怩たる思いでおります。 さて、ここ

24時間のインターネットのない船旅を経て思ったこと

【小笠原諸島 父島滞在記 Day 0】 1. 24時間ネットに繋がらない船旅「24時間ネットに繋がらない船旅、わりとよくないですか?」と言ったのは、僕のデジタルQOLを常に爆上げしてくれる市川渚さんだ。その横で、今回の旅の仕掛け人である北村穣さんが、穏やかな笑みを浮かべて、僕らの「初心者ぶり」を楽しんでいる。 ソーシャルディスタンスがしっかり保たれた空間で、僕らはちょうど夕食を終え、小さな声で仕切り越しに初日の感想を話していたとき、なぎちゃんが不意にそう言ったのだった。僕

小笠原滞在記 Day 11 「旅の終わりは『いってきます!』」

この記事を書いているのは2月10日の深夜、小笠原から本州へと向かう「おがさわら丸」の船室の中。 この滞在記、少しリアルタイムから遅れて書いていて、それは何度かこのシリーズで書いたように、書く以上に次から次へと撮影している時間の方が多かったと言うのが理由なんだけれど、それ以上に、何かを書こうというときに大事なのは、ある程度の距離感だと思っているからだ。写真と文章は似ているところがあって、というか表現全般にはある程度共通のルールがあると思っていて、何かを表現しようと言う時、近過

小笠原滞在記 Day 7 「玉座のありか」

ここにきて割とガチ目のトレッキングすることになるとは流石に予想外でして。 というわけで、小笠原のDay 7は山登りからスタート。あれだけエモい海を毎日見せつけておきながら、山に来るとしっかり山感を出してくる小笠原が愛おしい。 いやしかし、圧縮効果が多少効いてるとはいえ、割と山高いよ?聞くと片道3キロ。まじで遠いやん。ワーケーションで来てるはずなのに、毎晩の深夜撮影で睡眠不足気味の足がすでに萎えそうになる。 慄いている間も無く、トレッキングスタート。入り口では外来の種子が

小笠原滞在記 Day 6 「普通だけど特別な普通の1日」

Day5のラストあたりをエモめに締めてみた。いわく、 小笠原の普通の日々、そして多分小笠原だけではなく、自分の住んでいる街にいても、本当は普通の毎日が、いつだって特別なんだろう。小笠原にいる時みたいに本気で周りを見渡してみれば、同じように記憶が追いつかず、シャッターも追いつかないほど、いろんなことが起こっている。それを僕は、あれこれと言い訳をつけて、見えないないふり、退屈なふりをしてやり過ごしている。 エモっ!エモ助か、マジで。ちょっと針がエモに振り切れすぎてるので、オー

小笠原滞在記 Day 4 & 5 「写真家、大いに戸惑う」

小笠原に来て4日目、5日目にもなると、小さい島だから撮るものがなくなるのでは無いか?と考えている人がいたら、ちょっと待ってほしい。実はこれを書いているのはDay 9に当たる2月8日の夕刻で、1時間後には再び撮影に出る。今日は朝の3時に一度起きて夜の写真を撮り、4時に寝て7時半に再度起きてから山の頂上二つを渡り歩いてノスリを撮ってきた。そこから帰ってきて昼ごはんを慌てて食べて、データの整理をして、今これを焦りながら書いているのだが、もうすぐ夕焼けが始まるから再び撮影に出なくては

小笠原滞在記 Day 3 「過去の自分に出会う旅路」

小笠原諸島の南島は楽園だった。 父島の南にあるその島は、外来種を入れないために靴を海水で洗い、ガイドさん同伴でないと入ることができない。というよりは、ガイドさん無しでは近づくことさえ出来ない。島の周辺は激しい波が押し寄せる難所のようで、カオス理論でも予測不可能な、複雑で激しい波にその島は守られているからだ。 でも一旦そこに到達すれば、待っているのは少し現実感を失うような見たこともない光景。歩いて30分ほどで回れる小さな島の中には、白い砂浜、青い海、見たことのない緑と、それ

小笠原滞在記 Day 1 & 2 「旅とは人生である(のかもしれない)」

今回この小笠原諸島の父島への来訪は、小笠原村から頂いたご依頼で、滞在型観光促進事業に従事するために滞在している。10日間の間、小笠原を丸ごと体験して、それがどんなものであったのかを発信していくのが、今回のミッション。とはいえ、前回の「デイ0」で書いたように、しゃかりきに写真を撮りまくるような、そういうことを望まれているわけではない。 あくまでも今後長くつながっていくような、体験としての「小笠原」を、僕を含め三人のクリエイターがそれぞれの立場で経験し、それをそれぞれのやり方で