Mt. FUJI 100 挑戦記🗻

2024年5月1日 21:44

2023年4月に初挑戦した100マイルのトレイルラン大会「Ultra Trail Mt. FUJI」に2024年も申し込み、幸いにも０次関門(抽選)を通過した。今年は大会名称が「Mt. FUJI 100」に変更、100マイルのカテゴリーは「FUJI 100mi」となった。

コース概要

2024年の FUJI 100mi コースはこちら↓

開催日時 '24/4/26(Fri) 00:30 〜 27(Sat) 21:00
制限時間 44時間30分 (the 4th wave)

2023年コースと同じように見えるが、富士急ハイランド施設ではなく富士北麓公園を利用したり(そのため約5km続く登り坂が2回増えた)、忍野エイド後の大平山を通らなくなったり、本栖湖エイドがなくなったり。結果、累積距離・標高共に去年と異なるため、タイムの直接比較はできない。

去年は、直前に初参加した超長距離レース「小江戸大江戸200k」で左足疲労骨折の洗礼を浴び、不安しかない100マイル初挑戦だった。今年は幸いにも痛いところはない。しかし大会日が近づいてくると、やはり不安しかない。今年も「脚が動く限り、関門で止められない限りは絶対に前に進む」と決心し、受付会場の富士北麓公園へ。

前日受付〜スタート会場

前日受付

横浜駅近くのみなとみらい大橋を15時に出発する、富士北麓公園行きの直行バスを利用。渋滞はなく、予定通り2時間で到着。受付申請時刻は19〜20時だったが、することもないのですぐに受付へ。今年は必携品チェックがなく、ものの1分で受付終了。リストバンドなし、シューズに着ける計測タグ x 2個、ゼッケン x 2枚、ドロップバッグ(無料)、荷物預けバッグ(事前申し込み & 有料)、参加賞のTシャツ + スポーツタオルを受け取っただけ。去年は必携品チェックのために炎天下で1時間以上並んだので少々拍子抜けした。逆に、早く終わり過ぎてしまい、スタート会場の富士山こどもの国行きバス(受付20:00〜21:00)まで3時間以上、ボケ〜っと待つことになってしまった。仕方がないので、受付体育館の2Fで、荷物の最終仕分け(背負う / ドロップバッグに入れる / 預ける)を念入りに行なった。

スタート会場「富士山こどもの国」へ

富士北麓公園からスタート地点の富士山こどもの国へ移動するバスには20時半に乗車。着いたのは21時半過ぎ。なんと、スタートまでまだ3時間もある。既に辺りは真っ暗で、月明かりがほんのり。風はないものの周囲は冷んやり。ウロウロする場所はないのでレイン上下を着用して草むらで仮眠を試みたが、寒くて無理だった。それでも22時半過ぎまでジッとして体力消耗を避け、23時くらいから眠気覚ましのウォーキング。スタートまでまだ1時間半あったけど、トレイ待ちの列が既に長蛇になっていたので、早めに参列。並んでいたら、開会式が始まった(23時半〜)。レースプロデューサーの福田立花さん、大会会長の鏑木さん、コース上の市・町のお偉方の挨拶。そしていよいよスタート時刻を迎えた。

第1 Wave　4/26(Fri) 0時00分スタート
第2 Wave　4/26(Fri) 0時10分スタート
第3 Wave　4/26(Fri) 0時20分スタート

Wave毎に約600人のランナーがスタート。4つのWaveで合計約2,400人が出走する予定。次は自分が走る第4 Wave。166.6km / 44時間半、2回目の100マイル挑戦がいよいよ始まる。自宅を出てから約12時間、ようやく本当のスタートラインに立った。

前半戦(Start〜F4)

いよいよスタート。前半戦のエイド地点と高低差はこちら↓

FUJI 100mi 前半戦。F4エイドまでの高低差と概要。去年は試走をしていなかったのでコース状況が分かっていなかったが、今回はPeak名称やコース特徴を追記した。

事前に用意していた完走目標の自作ペース表はこちら↓

ペース表は画像としてスマホに保存しておき、すぐに確認できるようにした。去年の経験を踏まえ、エイドは滞在時間15分、ドロップバック地点は45分を確保。その上で、43時間以内での完走を目標としたスケジュールを組んだ。

Start(富士山こどもの国)〜F1(富士宮)

第4 Waveは4/26(Fri) 0時半スタート。暗い中、月明かりでうっすらと輪郭のみの富士山が見えていた。天気は晴れ、暑くないし寒くもない。走り始めには快適な天候。焦らず飛ばさずマイペースで、下り基調の林道を進む。鉄塔下のトレイル区間入り口で最初の大渋滞発生(去年は10分程、今年は30分待ち)。且つ、トレイル途中で何度か渋滞があり、特に2箇所は危機的な待ち状態だった。この区間で合計1時間以上は立ち止まっていたように思う(去年は昼間スタート & Wave 15分間隔だったが、今年は夜中スタート & Wave 10分間隔。これだけでも去年より渋滞しやすかったことは事前に分かりそうなものだが、、、)。

鉄塔下トレイル区間の入り口手前で大渋滞発生。渋滞の先頭が見えないので、「どこまで続くんだ?、関門大丈夫か??」と皆不安がっていた。

鉄塔下のトレイル区間を走っていたら、いつの間にやら4時半を過ぎ、少しずつ明るくなってきた。F1エイドの関門まで余裕あるだろうとマイペースで進んでいたが、鉄塔下の直線区間が終わった辺りから、周りのランナーのペースが徐々に上がってきたように感じた。「もしかして関門時刻が近い? 5時だっけ??」と思い、流れに身を任せて自分も猛ダッシュ開始。そして4時54分、F1エイドに到着したが、入り口には「関門時刻 5時」と掲示されていた。危なかった、ギリギリセーフ！4時半到着目標だったので、もう30分遅れだ。エイドではトイレ・バナナ補給だけして、フラスクへの給水もそこそこに出発。この後、天子ヶ岳に続く3連山が控えてるし、序盤から余裕がなくなってしまった。さっきの猛ダッシュで脚を使い果たしてなかったらイイんだけど。

後に、トレイル区間渋滞を理由にF1エイド関門を30分延長、F2(麓エイド)関門を1時間延長とアナウンスがあったが、最終制限時刻は変更なし(〜21時)。関門2箇所だけ延長されても完走目標のランナーには何の意味もない。渋滞で止まっていた分は、先を急いで挽回するしかない。

F1〜F2(麓)

杓子山登山口に着く前に太陽がぐんぐん登ってきたと思ったら、すぐに暑くなってきた。まだ朝6時前なのに、、、。

本格的な山登りスタート。もちろん走らない。一歩一歩、足を進める。急登だし、周りは皆ゆっくり歩いている。

天子ヶ岳〜長者ヶ岳〜熊森山の稜線通過中に撮影(4/26(Fri) 7時53分)。

スタートして既に8〜9時間経過。去年はここを夜中に通ったため、登山道脇でうずくまるランナーが現れ始めたが(体調が悪いというより睡魔→仮眠)、今年はほとんど見かけなかった。明るいからだろうな。

F2 麓エイド到着は11時半前。おもてなしメニューの富士宮焼きそばと大福を2個ずついただき、コーラもがぶ飲み。フラスク2本にそれぞれ水とスポーツドリンクを給水して出発。ようやくまともな補給ができた。まだまだ元気、F1エイド直前の猛ダッシュ疲れはなさそうだ。食欲も問題なし。

F2〜F3(精進湖)

この区間は龍ヶ岳に登って降りることは覚えていたが、その龍ヶ岳登山道になかなか着かない。河川敷の大きな石ころは走りにくいため、歩きが続いた。スタートして12時間以上経過してそろそろ睡魔が、、、。歩きながらフラフラしてきたので「これはイカン」と思い、他ランナーさんが数名ゴロンと横になっていた原っぱで自分も仮眠をとることにした。スマホタイマー10分をセットしてゴロン(仮眠)。一応スッキリして、また前へ。

龍ヶ岳登山も走らず完全歩き。しかし休憩はとらず、ゆっくりでも一歩ずつ脚を進める。Peakを過ぎ、下山途中で本栖湖が見えてきた。本栖湖は2年前のチャレンジ富士五湖ウルトラマラソンで走ったことがあるので、懐かしく眺めながら下山。

更に進んでいくと、富士山の全景が見渡せるトレイルに出た。富士山がよく見えるタイミングは日差しがきつくて暑いと思い込んでいたので、涼しく、しかも富士山が目の前に広がるコースでテンションが自然と上がる。

16時半、F3 本栖湖エイドに到着。おもてなしエイドのスープパスタを2杯平らげ、バナナとコーラ、菓子パンも頂く。次のF4 エイドに着くのは夜中の予定。まだ早いけど、ヘッドライトを装着して17時前に出発。

F3〜F4(富士北麓公園)

この区間の前半はロードを走る距離が長く続く。トレイルの上り・下りを走らない(走れない)自分は、フラットなロード区間くらいは少なくとも走らないと結果がついてこないので、歩くよりも少〜しだけ速いペースでジョグ。「トレイルの入り口までは、、、」と思い続けて数キロは進んだかな。トレイル区間に入った途端、走るのは止めてウォーキング開始。少し休もう！

トレイル区間は、緩い上りが延々と続く。木陰に入ると一気に周りが暗くなるので、ヘッドライトOn。足和田山へ登っていくにつれて河口湖周辺や富士吉田市内の夜景が眩しく光っていた。登っている途中から周囲は完全に真っ暗に。月明かりの下でのナイトトレイル開始。
山を降りてロード区間になると、またゆっくりペースで走り始める。富士北麓公園(次のエイド)に向かうコースの最後、数キロの上り区間が今回新たに加わったことを思い出す(チャレンジ富士五湖ウルトラマラソン(4湖, 5湖)コースの最後にステラシアターから延々と上っていくのを何度も体験済みであり、今回もその状況に限りなく近い)。この上り区間は予想以上に苦行だった。ロードだけどコースの両脇に店はなく、暗闇の林の中を進んでいる感じ。街灯もないので、目に見えるのは先を歩いているランナー達の赤い背面ライトのみ。実際は4km弱の上りだけど、もっともっと歩いている感じ。しかも眠くなってきて千鳥足状態(木曜朝から既に40時間起きている)。F4エイドの関門に間に合うのか?、もしかしたら23時過ぎちゃうんじゃないか??っと歩いていてずっと不安だった。緩い坂だけど、既に90km以上進んだ脚に走る力はない。我慢して歩き続けるしかない。
ようやく上り切ってフラットな区間に出ると、足のスイッチOn。エイドに向かってゆっくりだけど走り始めた。去年の経験を踏まえて、ドロップバッグにカレー味のカップ飯を忍ばせておいた。それだけを楽しみに走る走る。

F4 富士北麓公園エイドには22時半前に到着。真っ先にドロップバッグを受け取り、カップ飯を取り出し、お湯をもらいに行く。出来上がるまでにTシャツとアームカバーを着替え。汗のついた帽子、バフ、グローブも交換して気持ち一新。出来上がったカレー飯の美味しいこと！去年はこのタイミングでお腹を満たせなかったけど、今回はちゃんと準備してきた。走ること以外で100マイルの完走に近づけることは何でもやる(←これ大事)。今回も後半戦用のシューズを用意していたが、交換しないことにした。少々キツめのイメージがあり、後半足の指が耐えきれないんじゃないかと考えた。また、去年はこのタイミングで仮眠する余裕はなかったが、今回は12分だけ体育館でゴロン。スマホタイマーですぐ起きて、ドロップバッグを預けて出発。

後半戦(F4〜Finish)

F4 富士北麓公園エイドを過ぎたら、距離的には後半戦突入。しかし「キツさ」という意味での本番はF6 きららエイドを過ぎてから。つまり F6 までは体力を温存しておくべき区間。その認識でゆっくり進む。お腹もいっぱいだし、腹ごなししつつゆっくりペース。

F4〜F5(忍野)

F4を出たのは23時21分。この大会のもう一つのカテゴリー「KAI 70k」が0時ジャストに富士北麓公園をスタートする(約1,000人)。つまり、早ければ1時間後くらいに元気いっぱいのKAIランナー達が追いつき、追い越していくことになる。

予想通り、日付が変わった00時半過ぎにKAIのトップランナー達が後ろから駆けてきた。場所は小倉山トレイルの入り口付近。邪魔にならないよう傍に避けて、トップ4選手が団子状態でトレイルに入っていくのを見送った。トレイル上り区間だけど、トップ選手は走っていた。やっぱりそうだよなぁ、、、と感心。その後も続々と元気なKAIランナー達がやってくるので、その都度道を譲り、声援・拍手を送る。KAIランナーも一部声を返してくれるのが嬉しい。しかし彼ら・彼女らのペースに惑わされて自分もついていったら後で大変なことになるのは想像に難くない。あくまでマイペースを守る。

忍野のトレイル区間を上っている途中、KAI初参戦のラン友 K山さんが後ろからの追い越し様、見つけて声をかけてくれた。「暗い中、よく見つけてくれましたね〜」と話をすると「ゼッケンを覚えてましたよ！」っと。まだまだ元気な彼女はそのまま颯爽と前へ。自分はゆっくりペースで一歩ずつ前へ。

F5 忍野エイドには4/27(Sat) 2時半過ぎに到着。スタートから26時間経過。ここでは甘めのスティックコーヒーをミニ水筒に入れて、いつでも飲めるようにした。もちろんお湯で。量は180ccと少ないが、暖かいコーヒーをいつでも飲めるという安心感は、コーヒー好きには捨て難い。ストーブに温まりながら身支度を整えていると、向かいに座っていたおっちゃんランナーが「ここでリタイヤする、胃腸の具合が悪い」と話しかけてきた。関門に間に合わないケースは多々あるけど、体調不良でやむなくレースを終了するランナーも少なからずいる。44時間、2昼夜もかける100マイルの大会なので、体調不良を起こしても全然不思議ではない(平然と走ってる方がおかしいのかもしれない)。ここまで100キロ以上走ってきたけど終了せざるをえない状況。悔しさの程は計り知れない。自分も、いつそういう状況になってもおかしくない。改めてそう認識し、無理せず・怪我せずを貫くことを再認識して、3時前に忍野エイドを出発。

F5〜F6(山中湖きらら)

眠気がないうちにスタスタ進む。「きららからがFUJIの本番」なので、100km超えているとはいえ、ウォーミングアップの意識で。

そして、とうとう山中湖きららエイドに5時過ぎ到着。完走目標ペースでは8時過ぎまでに着けばOKだったので、ここまでで3時間の余裕ができたことになる。だから、エイドを食べるよりもまずは仮眠を取ることにした(エイド→仮眠だと胃腸の活動が活発になって寝にくいかな、と)。きららエイドの仮眠スペースは大きなテントで、毛布を一人一枚支給してくれる。スマホタイマーを30分にセットしてゴロン。あっという間にタイマーが鳴ったが、スクっと起きて身支度。小降りだけと雨がちらつき始めていたので上下レインウェアを着用。もう朝日は上っている時間帯だったのでヘッドライトはバッグへ。

身支度を終えたらエイドスペースへ。ここのおもてなしエイドは豚汁とおにぎり。両方ともいただき、おにぎりを豚汁に投入。おにぎりが温かくなるし、食べやすい。一石二鳥。

おにぎりは一人一個までだったので、豚汁だけお代わり。ここでもスティックコーヒーをミニ水筒へ。コーヒーを複数本持っておいて良かった。腹ごしらえと雨対策バッチリで、エイドを6時11分に出発。予定よりも2時間ほど早め。序盤の渋滞でどうなることかと思ったけど、ようやくきららまで辿り着いた。ここまできたらもちろん完走を狙うけど、去年は杓子山登山中に岩場渋滞があり、計画が狂って最後に焦った。今年も要注意だ。山中湖きららエイドからの残り約40kmがFUJIの本番!

F6〜F7(二重曲峠)

きららエイドを出てすぐに山登り開始。去年は真っ暗だったけど、今年は午前中で明るい。周囲が良く見渡せる。そんな中、黙々と登る、登る、登る。延々と登る。二重曲峠エイドまで、何度も登り・降りを繰り返す。しつこいくらいに繰り返される。

二重曲峠エイドには10時半ごろ到着。ここはおもてなしメニューがないので、バナナを丸ごと食す。途中、ポツポツと小雨は降ったが、ザーザー降りではなかった。この後の天候もさほど変わらないだろう判断し、上下のレインウェアを脱ぐことにした(暑かったので)。この後は杓子山登山だし、歩いていてもきっと身体は温かくなるだろう、と。

二重曲峠エイドで、リタイヤランナーから写真を撮ってほしいと話しかけられた。「全然食べられない、ずっと食べてない、この状態で杓子山・霜山は行けない」とのこと。ここまで来て悔しいだろうけど、体調が回復しないことにはどうしようもない。苦渋の決断だっと思う。2,400人の100マイル挑戦者それぞれにドラマ・想いがあることを改めて痛感。

この時点で完走目標ペースから1時間の余裕あり。この調子なら完走は死守できるだろうと思いつつ、10時45分に二重曲峠エイドを出発。そしてこの後、今年も去年同様、いや、去年以上に希望を打ち砕かれることになる。

二重曲峠エイドのホワイトボード。次の富士吉田エイドまでに上って降りる標高差が半端ない。

F7〜F8(富士吉田)

FUJI 100mi 最大の山場「杓子山」へ。この区間は、遅い完走ランナーペースでも4時間でClear可との事前情報があるので、意気揚々と山登り開始。そして、杓子山名物(!?)の岩場登り到着。なんと今年も渋滞してた、、、しかも長い、、、。

杓子山岩場手前で渋滞発生中。30分かっかって10m進むくらいの遅さ。止まると冷えるので防寒具を着たり、補給食を食べたり。立っているよりはしゃがんだ方が寒くないので、多くのランナーが座り込んでいる。

列に並んだのが11時55分。最初の岩場を通過したのが13時26分。なんとここで1時間半も立ち往生していたことになる。この渋滞は去年の比ではない。長過ぎる。考えるに、以下の2点がランナー集中と渋滞重症化の原因ではないか。

KAI 70kの制限時刻をFUJI 100mi と合わせて21時にしたことで、両カテゴリーの選手が岩場に集中した(去年まではフィニッシュ時刻が違っていた)。
FUJI 100miのWaveスタート間隔が15分から10分に短縮された。これも、短い間隔でランナーが集中することにつながったと思う。

ほっとしたのも束の間、渋滞はまだあった。最初の岩場を通った後、本場(!?)の岩場も渋滞していた。ここは専属スタッフが岩場の上から「この部分は岩がぐらついているので足を乗せないで下さい！」と叫び続けるほどの難所。ここを通過したのが14時過ぎ。岩場2箇所で計2時間以上もロスしたことになる。自分より後にいるランナー達はもっとかかるだろう。スタート直後の鉄塔下トレイル区間渋滞と合わせたら、計3時間以上のロスだ。これは、本来の制限時刻(21時)に間に合わない選手が続出するなと思った。

2箇所の岩場を抜けたら渋滞はもうなかった。あっさりしたもんだった。杓子山山頂に着いた時、スタッフに「岩場で2時間以上でひっかっかった。Facebookに対応検討中と投稿がありましたが、方針は決まったんでしょうか?」と聞いたところ、「吉田エイドの関門を伸ばすと聞いている。しかし制限時刻(〜21時)は変えないようだ」とのコメント。「それは意味ないでしょう。ここで文句を言っても仕方がないのは重々承知していますが、他に言えるところがないので」と本音をチラリ。スタッフさんも「そうですよね、意味ないですよね」と共感してくださった。関門ファイターの辛さを分かってくれていることだけが救い。

岩場渋滞に対して実際にどういう判断がされるのかはその時点で分からなかったので、とにかく「21時が制限だと想定して、このあとどうすれば間に合う?」を、杓子山下山中に寝ぼけた頭で自問自答開始。捻り出した結論が「次の吉田エイドを16時半に出発できればギリギリ行ける、17時だと厳しい」。その内訳は、去年は3時間で吉田エイドからフィニッシュまで行けたこと、それに今回加わったラストの上り区間約5キロを完全歩きで1.5時間かかるとすると、合計4.5時間。16時半に吉田エイドを出られればギリギリ21時に間に合う、という算段。

ということで、フィニッシュを是が非でも勝ち取るために杓子山下山を猛ダッシュすることにした。眠気も吹っ飛んだ。ここまで約140km進んできて、下りに足を使うことはほとんどなかった(膝を温存するため)。しかしそうは言っていられない状況になってしまった。走って下るしかない。下りトレイル区間はもちろんのこと、その後の下り林道も(ゆっくりだけど)走り通した。その甲斐あって、なんと15時47分に吉田エイドに着くことができた。少々無理をしたけど、ここでできた余裕は大きい、幸い膝も痛くない。

吉田エイドでは、おもてなしメニュー「吉田のうどん」をいただいた。塩分補給目的で汁も全部。バナナも食べ、水・スポドリをフラスクに給水してすぐに出発。時刻は16時ジャスト。シミュレーションでは16時半に出られれば御の字だったので、ここでできた30分の余裕は大きい。21時前完走に大きく近づいた瞬間だった。

F8〜Finish(富士山の銘水スタジアム)

吉田エイドを出てから霜山登山口までのロード区間をゆっくり走る(歩かない)。そして登山開始とともにウォーキング。息を整えると共に、もうじき必要となるヘッドライトも装着。少しでも作業時間のロスを無くすため、歩きながらのセッティング。去年同様、今年も途中で立ち止まらず一歩一歩進み、霜山Peakまで登り切った！

霜山登山中、制限時刻が22時に延長となったことを大会本部からのメッセージで知った。問題把握が12時前、対応発表が17時前。対応検討から発表まで5時間弱。遅すぎる、、、。しかも2時間以上の渋滞で1時間の追加のみとは。悲しい。

しかし悲しんでばかりいられない。最後の下り開始だ。ここまで頑張ったんだから、(延長前の)制限時間内Finishを目指そう。霜山を下りてロードに出たあと、まだ足は残ってそうだったのでゆっくりJOGで進む。そして、トレイル上り区間に入ったところでウォーキングに切り替え。気持ち足早に、真っ暗なトレイル区間をスタスタ歩く。そしていよいよ、フィニッシュ地点(富士山の銘水スタジアム)の灯りが見えてきた。

4/27(Sat) 20時15分09秒 Finish !
→ 43時間45分09秒 (公式Gross time)
→ I am a hundred miler, again !

今年最大の挑戦は無事終了。目標43時間よりも遅かったが、渋滞で合計3時間以上足止めを食らったことを差し引くと、41時間台で走りきれていた可能性がある。参考値だけど、自分にとってはそれで十分。完走ジャケット2024を受け取り、2回目の「100マイル完走」を実感。何人もリタイアしていくのを見ているので、今回も大崩れなくFinishできたことが素直に嬉しい。

今年は、Finish直後にプロのカメラマンが撮影してくれるサービスがあった。100マイル完走なんてもうないかもしれないと思い、撮ってもらうことにした。

所感

スタート時刻の変更に伴い、従来もあった鉄塔下トレイルと杓子山岩場の渋滞が想定を超えて長くなり、関門や制限時刻延長を余儀なくされたことはとても残念だった。簡単なシミュレーションを行うことでどの程度の渋滞が起こりそうか、回避するにはどうしたら良いのかを事前検討できると思う。来年の大会は、渋滞立ち往生を可能な限りなくす検討を是非ともしてほしい。

二日間通して暑過ぎることも凍えることもなく、常に富士山が見えるという、とても天気に恵まれた二日間だった。エイドも充実していたし、コース上のスタッフさん・ボランティアさん・警備・交通整理のおっちゃん達も、ランナーファーストのおもてなしをしてくださっていた。あのホスピタリティには感謝しかない。ありがとうございました！

胃腸も体調も大崩れすることなく、２年連続でトレイル100マイル完走。50過ぎのおっちゃんランナーにしては上出来だ。しばらくゆっくりしてから次の挑戦を考えることにしよう。