知財業界での大ピンチ

結論からいうと色々なことがあったけれども、大ピンチなんてことはほとんど経験してきませんでした。事務体制がしっかりしている事務所ならピンチにはなりにくい。

以下の企画に乗りましたが、ネタがないのがピンチというほどネタがありません!

弁理士の日記念ブログ企画2022
https://benrishikoza.com/blog/benrishinohi2022/

とはいえ、何も書かないとつまらないので、少し大変だった記憶を3つほど挙げておきます。

一つ目は、英国での権利化。英国にダイレクトに出願すると優先日から48ヶ月以内に特許査定を得なければなりません。インドも似たような期限がありますね。

審査請求して審査結果が来ると残り時間があと1年とか半年しかない状況になるのですが、応答を2回ほどすると残り1ヶ月とかになる。珍しい分野で審査官もこちらもクレームをにらめっこしながら、残り1ヶ月の間に拒絶応答が集中してきます。1週間後が期限で延長不可、3日後が期限で延長不可といった拒絶理由が矢継ぎ早に来て対応する。期限ギリギリで、段々と時間がなくなり、追い詰められて、応答をしていく感覚。その件は、無事に特許になったのですが、大変だった記憶があります。

やれることをやれるようにしか人間はできないので、基本的に精神的な追い込まれ状況に依存してピンチを「感じる」ことはあるかも知れないが、そういう状況で熱するタイプ、戦いに転じるタイプはピンチを感じない。

2つ目。医薬品の特許である会社さんの特許出願がありました。医薬品の特許は、延長登録で5年を限度に延長をすることができます。特許成立後に、臨床試験などで特許権を実施できない期間を延長できるという考え方なのですが、その出願の医薬品は既に臨床試験入りをしていました。つまり、1日でも早く登録しないと、延長できる期間が1日減るという具合です。

医薬品の売上は国内だけでも1日億単位になる可能性がありますので、かなりシビヤな案件管理を要求されますし、一発特許査定を求められました。PCT出願と同日にスーパー早期審査を行い、このクレームで一発査定は問題無いかを問われつつ手続し、結局その案件は、一発査定。査定当日に登録料納付までできるように準備して。。。。1つも間違えられないし、1日も遅れることができない権利化。緊張感溢れる権利化でした。

3つ目。1泊2日の旅行の初日午前中に出願依頼がきて、2日後に出願したいという緊急出願があったことがあります。鬼怒川で、宿とガストに籠もって完成させた記憶があります。割とそれのみに集中して綿密にやってしまいまして、完成度がそこそこ高かったという不思議現象が起こりました(早目にご連絡いただいてありがとうございます。初日午前でよかった😂)。こういう場合に仮出願に逃げるという手もあるのですが、自分の信念として、完成した明細書をどんなに大変でも作るというものがあるので、対応。これも良い思い出になっちゃいました。

3つ目のおまけ。似たような状況は他にもあり、木曜日朝に打ち合わせし、発表が翌週月曜と分かり、そこから猛烈に間に合わせつつ、月曜の公開を強引にずらして対応したケースもありました。

その他:
あと細かいのだと、延長不可の期限の夜20時くらいに内外の指示がくるお客さんが昔いらっしゃいまして、当日がんばって書面をつくってその日のうちに外国に送ると、外国では時差があるので対応できる(!?)ということで、対応していた時期があります。毎回だと慣れるのが人間です(黒確定

終わりに
修羅場をくぐり抜けるごとに知財専門家は強くなれます。修羅場をたくさんくぐり抜けて多少のことでは動じないようになれれば、クライアントを安心感の中で支援できます。他人にはお勧めするかはさておき、自分はどうするのか、どうしたいのかの中で生きてゆけばよいですね。できることしかできないけど、できることはやってみようという精神でこれからも進みます。





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