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なぜFogHornを立ち上げたか - 解決したかった問題

以前の投稿(”起業ってリスクじゃないの?”)で、FogHornの立ち上げに参加しようと決めた理由の1つに、
”1) 自分が解決したい問題をFogHornは共有していた”
ということを書いたけど、今回はその”問題”とは何かについて。

言い方を変えると、FogHornの存在意義について。

そもそも起業しようとしたときに、すでに世の中にあるサービスを安価に出す、もしくはちょっと形を変えて勝負する、っていうレベルの話であれば、正直起業しなくてもいいかなって思う。それだったら、今すでにそういうことをしているところに入って貢献すればいいだけの話だから。(そういう系のビジネスをすぐにレッドオーシャンになって、価格競争になり疲弊していく)

ただレッドオーシャンではなく、まだブルーオーシャンの領域の話であれば、それは起業をしないと実現できないから、どんどんチャレンジしたらいいと思う。5年前起業したときのFogHornはまさに後者の典型例。

少し長い話になりますが、もしよければ辛抱強く読んでいただけたら幸いです。


先に結論から言うと、
FogHornで解決したかったことは、世の中の資源の大半を消費している産業界をアップデートして、せめて自分の孫の世代ぐらいまでが地球上で共栄できるような、サステイナブルな世の中を次世代に引き渡すこと。
そこから先のことはその世代の子たちがその時に出てくる新しい技術ややり方を駆使して解決してくれるはず。


なんでそんなことに危機感を覚えているか?


世界では人口が爆発的に増加の一途を辿っていて、2030年には85 億人(2015年から見て+15%増)このままで行くと2100年には110億人を突破すると言われている。そうすると何が枯渇するか?

水、食料、エネルギー、きれいな空気などの資源である。

これら資源を巡って今まさに戦争が起きているし、今後は世界規模にそのエリアを広げて起きてくる。すでに中国はきれいな水源や森林の買い占め等に動き出している。

そんな中、いくつかのイノベーションがそれら問題を解決しようとしている。例えばイーロン・マスクのSpaceXを筆頭とした様々な宇宙関連イノベーション。いわゆる外に活路を見出し、究極的には他惑星へのコロニー計画などがそれに当たる。
そういうイノベーションは一夜にしては決して起きず、静謐な努力と失敗の積み重ねの上に初めて成立するから、いまから取り組まねばならない一大事業だと思う。ただその実現にかかる年月、またそれがコモディティー化するまでにはさらに長い歳月がかかることを考えると、今、目の前にある危機に対処するにはまだ難しい。
何よりも我々は母なる地球から生まれてきたいち生物として、この地球をきちんとメンテナンスし次の世代へと繋ぐ責務がある。立つ鳥跡を濁さず。
(あるネイティブアメリカンの部族では、我々は地球を子孫から借りて住まわせてもらっているからきれいにして返すのは当然、と考えているし、その発想はとても大切だと思う。)


今、それら枯れゆくリソースの大半は産業によって消費されている。人が様々な”モノ”を渇望するために、産業界は沢山の資源を用いて生産を繰り返すので全く個人が関係がないとは言わない。ただ人間の欲望には際限がなくまた個々人の欲求に規制をかけることは出来ないので、個々人に依存して消費や無駄を減らすというのは現実的ではない。

となると、作る過程において消費するエネルギー、また資源の効率化を図ることができれば、直接的に大きく影響を与えることができる。

例えば、全世界に存在するきれいな水のうち69%は農業に使われている。日本全体の電力消費のうち製造業によって消費されている電力量は全体の42%になる。そのうちの数%でも最適化できれば争いが直接減らせる、救える命が増える。

でも製造業各社が何もしていないわけではなく、日々省エネ化の努力は続いていて、IIP(生産単位あたりの消費電力量)は徐々に減ってきているし、GDPの伸び率に対するエネルギーの消費量は横ばいもしくは若干の減少傾向にある。
しかしそれだけではまだまだ十分とは言えないし、問題は電力だけではなく水や空気、様々な素材となる資源と多岐にわたる。


ではどうしたらいいか?

その問いに対する答えは今までの延長線上には恐らくなく、むしろ今まで最善とされてきたやり方も含めて一度根底から見直さなくてはならないのではないか?(延長線上にあったら、すでに様々な事態の改善が見られているはず)


昔と今、何が大きく異なるのか?
それはデータの質と量。

昔も限定的だがデータはあった。でも質も量も乏しい上に、使われ方が何か事が起きたあとに見返されるケースがほとんどであった。
だから「ああ、あのときあーだった、こーだった」という自体に陥り、結果何も変わらず、何もセーブできていないこどがほとんど。(そして驚くことに大半の場合はデータは一切使われず捨てられている。)
もし圧倒的な質と量のデータをその場で瞬時に咀嚼して、何かが起こる前に予測し防ぐことができたら、もしくは最適化することができたら、数%どころではなく二桁の改善が可能になる。


それを実現するために、FogHornを立ち上げた。
でも言うは易し行うは難しで、圧倒的な量と変則性の塊のようなデータのリアルタイム処理を、クラウドではなく現場(エッジ)で実現するにはどうすればいいか頭を悩ませることになる...


じゃあ具体的にどうやってそれを乗り越え、自分たちの武器へと昇華させたか?なぜFogHornが業界で選ばれるようになったのか?等突っ込んだ話はまた今度。

(2020.05.03 追記: ”なぜエッジコンピューティングか? なぜFogHornか?” を書きましたので、どう実現したかご興味のある方は、ぜひそちらも読んでみてください。)


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