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英語リーディングの上達法

1.短期間でリーディング力を上げる方法

 英語のリーディング力は基礎と復習をどれだけ繰り返したかという単純な事実によって、決まります。その際、細かな事項は後回しにして、重要な所を優先することが大切です。

 復習を繰り返すごとに、教材を1周するスピードが速くなっていきます。その結果、重要な所の理解は急速に深まり、細かな事項も自然と頭に入ってきます。このように、復習を柱に据えることで、短期間でリーディング力が上がります。

 大学受験でもTOEICでも何であれ、最低限必要な共通基礎力というものがあります。はじめは基礎の穴をなくすことに集中します。基礎に穴があると、後々伸び悩むことになるため、注意が必要です。

 伸び悩みには原因があります。日本語訳を読んでわかったつもりになっている。難しい教材中心の学習で、本人も気付かない意外な所に基礎の穴を抱えている。一問一答的な学習の蓄積で機械的な暗記の状態になっているなどが主なケースです。

 さらに、読めなかったところはアンダーラインを引いておき、反射的に読めるようになるまで繰り返し読むことが大切です。

2.予測リーディング法

 英語は文の骨格である主語・動詞を見抜き、文構造を把握する精読力を高めることで、自然と速読できるようになります。長く複雑な文も、5つの文型のいずれかになります。

 主節と動詞の文型を把握することで、複数の語句から構成されている文を単純化することができます。主節とは、前に接続詞・関係代名詞・関係副詞がない主語+動詞のまとまりのことです。

 英語は文構造を予測しながら把握する精読によって、伸びていきます。例文を挙げます。
If food were distributed equally,the world could support a larger population.
 まず、Ifを見た時点でIf SV,SV.の形を予測して、読み進めます。次に、具体的な食べ物の種類ではなく、「食料」という意味のfoodは数えられない名詞で単数扱いなので、wereが来ている時点で仮定法過去とわかります。were distributed equallyは「公平に分配される」と現在形で訳します。

 「もし~なら」のIfは副詞節になるので、コンマ直後のthe worldが主語になります。そして、supportは目的語をとる他動詞なので、supportを見た時点で、直後に名詞のカタマリが来ると予測します。名詞のカタマリであるa larger populationが目的語と決まります。

 仮定法の目印である助動詞の過去形couldを現在形で訳して、「世界はもっと多くの人口を支えられるだろう」となります。予測に基づいた一文一文の精読が結果的に、文章全体の速読につながります。

 英文は左から右に読み進めながら、次にどんな語句が来るかを予測すると、正確にかつ速く読むことができます。例えば、That man ~. という文は、ふつう直後に動詞(V)が来ます。一方、That a man ~.という文では、Thatがa manを修飾できないので、Thatは「~ということ」という意味の接続詞と決まります。

 そのため、That a man V V~.( a man がVするということはVだ)という形になると予測でき、動詞が2つ来るのを知った上で読み進めることができます。予測しながら左から右に読み進めることで、精読力と速読力を効率的に身に着けていくことができます。

 また、英文は基本的に、読み手が既に知っている旧情報から、読み手の知らない新情報の順に書かれています。これは文末焦点と呼ばれ、旧情報を主語にして、新情報を後に置くという英語の原則です。

 まず読み手の知っている情報から語り始め、次に読み手が知らない情報をつけ加えることで、読む側は理解しやすくなる利点があるため、こういう構成になっています。

 例えば、There is a pen on the desk. とは言えますが、There is the pen on the desk. とは言えないのは、文末焦点の原則から、theは既に読み手が知っていることだからです。(この場合は、The pen is on the desk. となります。)

 文の中で長く、複雑な語句も文末に置く傾向が強くなります。なぜなら、文の最初の方に難しい語句が来ると前半で戸惑ってしまい、文全体の意味が取れにくくなるためです。

 五文型に基づいた構文把握に加えて、次に来る語句の予測や文末焦点の原則によって、英文を読む上での視野が広がります。

 次に、1文の内容を予測するだけではなく、道しるべ語に着目して、文章全体の流れを把握していく速読力を磨くと効果的です。

 例えば、therefore(したがって)・thus(このように)・in brief(要するに)などは直後に結論が来ることが多いため、先にその1文を読んでおくと大意が素早くとれます。

 but(しかし)・nevertheless(それにもかかわらず)・on the contrary(それどころか)などは直後に反対の内容が来ることを予測して読み進めると効果的です。for example(例えば)・in particular(特に)などは具体例が続くので、さっと読み流して、時間を節約することができます。

 さらに、英文の特徴として、抽象から具体の論理展開があります。つまり、抽象的なことを述べて、その後にわかりやすく具体的な説明をする構成になっています。抽象部分と具体部分は同じ流れの文章なので、具体部分は速読できます。

 読解力は、一文一文を精読していきながら、文と文、段落と段落とのつながりを読み取っていき、文章全体の論理構造を理解する力です。

 このようなことを把握しながら英語の語順通り読み進めると、自然と速く読めるようになります。つかえずに一度で素早く読むには、次にどんな語句が来るかを予測することが必要です。具体的に予測リーディングのやり方を説明します。

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