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「日本人のための香水」をわかりやすく説明してみた

#なぜ青色発光ダイオードがすごい発明かと言うと青いバラがないように自然界に青色が存在しないからなんだよね

と言うハッシュタグが数年前にTwitter上でバズったのをご存知の方はいるだろうか?詳しくはこちらを参考にして欲しい。
私はこの時のことを非常によく覚えている。私のタイムライン上に、このツイートがリツイートされて出てきた際に、「いやいや青、いろいろあるでしょ!」と思った。そして、リツイートした本人にそのことを伝えると、「言われてみれば確かにそうだね…」という反応をされたのだ。
このツイートがバズった背景には、お祭り的に自然界にある青の写真をアップしたこと以上に、そもそもこのツイートを真に受けた人がかなりの数いて、その人達が積極的にリツイートしたことがあるように思われる。今このようにして当該ツイートと自然界の様々な青の写真を見比べると滑稽にうつるかもしれないが、実際にこのツイートだけを見た人の中で、鵜呑みにした人はかなりいたようだ。私が指摘をした人も、指摘される前までは本気で自然界に青色が存在しないと信じていたうちの1人だったわけだ。

このツイートをした人、またはリツイートした人に云々言いたいわけではない。こういった「耳障りのいい説明」というものは、仮にそれが真実から程遠かったとしても受け入れられやすい、ということを目の当たりにした経験として、このことは非常に印象に残っている。また、実際自分にもこういったことは起こりうると考えると怖くなったこともよく覚えている。

今日は、私が考える「日本人に合う香水」というものを、洋服を例にとりながら比較的耳障りのいい説明によりしていきたいと思うのだが、あくまでこれは私個人的な考えである。耳障りのいい説明により、場合によっては鵜呑みにされてしまうかもしれないが(そもそも私がそこまでうまく説明できるのか、という問題はあるが)、私の意見はあまり気にせずに、どうか自分の鼻を信じて香水を楽しんでいただきたい。
(きっと皆さんそのようにされることと思いますが、「これが正しいんだ!」みたいな捉え方をされたくないので、念のため記載しておきました)

フランスに住んでいて困ることの一つに、服がある。どうしても身体にぴったり合う服がない。特に私は、身長164cmと、日本人男性の中でも小さい方だ。パンツは丈を直せば良いが、シャツ等はそうもいかない。一番小さいサイズを購入しても、たいてい袖と着丈が私には長すぎる。
さらに、私の足のサイズは24.5cmだ。男性用の一番小さいサイズを25cmあるいは26cmとしているブランドは多く、それらのブランドの靴を購入することすらできない。よって、私のランニングシューズは、ほぼ全てレディース用である。普段用の靴は25cmのものを買い、中敷きを入れて履いているものもある。

既存の香水は、私にとってはまさに、サイズが合わないヨーロッパのプレタポルテのように感じる。カッコいいから着てみたいとは思うが、どうしても身体にフィットしない。例えばGuerlainのAprès l'ondéeは素敵な香水だと思うが、付けてみるとどうもウエストのあたりが締め付けられるような気がする。DiorのEau sauvageはどう考えても自分には大きすぎ(特に肩まわり)、ChanelのBois des îlesに至っては着方がよくわからない。腕を通す穴が見つからないのだ。

それでは日本人は日本人らしく着物を着るべきか、というとそれもちょっと違うように思う。もちろん着物は素敵だが、現代の生活様式において、毎日着るのに適しているかと聞かれるとそんなことはないであろう。暑い日はTシャツと短パンが楽だし、寒い日はダウンジャケットが良いかもしれない。ヒートテックも便利だ。
昨今の日本の香水ブランドをみていると、洋服の生地で着物を作ろうとしているように私の目にはうつる。西洋の文化である香水を、無理に“日本風”にしているように感じられてしまうのだ。

私が作りたい、「日本人のための香水」というのは、日本人のクリエーターが作る洋服というのがイメージとしてとても近い。私は一時帰国時に、よく日本ブランドのシャツを買ってフランスに帰る。ブランドだとGraphpaperComoliが特に好きだ。こういったブランドは、洋服という西洋文化を根底に持ちながら、日本人でもきちんと着れるように作られているように感じる(彼らが日本人のためのものづくりをしているかどうかはよくわからないが、ヨーロッパのブランドと比べたときに、サイズ感もスタイル的にも安心して着ることができる)。

だからこそ、フランスの一流調香師とともに香水を作ることで、西洋文化をきちんと汲み取った作品にしつつ、私のディレクションで日本人の体型に合わせていきながら香水を作った。やはり香水はヨーロッパの文化だから、洋服のように仕立てていきたい。その上で、私のブランドも、上に挙げたブランドのように、日本人に日常的に使いやすいと思ってもらえるようになれることを目指している。そして、先述のブランドが世界でも活躍しているように、グローバルで「面白いブランド」と認識してもらえるように活動していこうと思っている。

私がブランドを通してやりたいことが少しご理解いただけただろうか?この洋服を用いた例えは、あくまで私がそのように感じているだけで、実際に既存の香水がそうであるかどうかは定かではない。また、日本人ながらヨーロッパのプレタポルテをなんの問題もなく着こなせる人もいるように、ヨーロッパの香水を抵抗なく受け入れらる人も多いのかもしれない。私の香水が日本人の体型に合っているかどうかは、ブランドがローンチされた後でないとわからないことだ。もし私の香水が、「こういうのを待ってたんだ!」というふうに皆様に受け入れられるのなら、私としては本望だ。

読んでくれてありがとうございました。次回も乞うご期待!

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