名も知らぬ土地
オフィスを出るのが遅くなる理由は、日中のミーティングや外出が多く、作業に回す時間がないからであり、さらに夜作業をしているとフランスが営業時間に入ることで、フランスから諸々のメールがくるからである。
だいたい、23時過ぎにオフィスの電気を消すことが多くなった。
オフィスを出る前、最近は、ムエット発送をするようにしている。Instagram経由で受けた依頼主に、ムエットを準備し、手書きで住所を書いてポストに投函する。
会ったこともない人に、思いを込めて手紙を送るのだ。一日を締めくくる、ちょっとした儀式。
儀式には作法がある。これは一般則であり、また本儀式においても同様。本儀式における作法は、以下の通り。
送っていただいた名前と住所から、その方がどんなところに住んでいるのかを想像する。この時に、その人を想像してはいけない。あくまでも、場所のみ。
訪れたことのない県であることも多い(都道府は全て訪れているので、未訪問は県だけだ)。仮に訪問済みの県であっても、その住所が指し示す場所がどのような空気なのかは、当然知る由もない。
名前と住所からムエットの行き先が頭の中で思い描けたら、ムエットが取り出されるところを想像する。そして、çanomaの香りを、その頭の中のイメージに重ねてみる。
これで、儀式は終了。簡単だ。
名も知らぬ土地で、çanomaの香水が香るというのは、とても不思議なことのように感じる。
そして、その香りが、名も知らぬ人の鼻腔をくすぐっているということは、もっと不思議。
そんな不思議な気持ちは、一日の疲れを、まるで灰汁取りのように丁寧に掬いとる。
実はこの儀式をするときに、よく思い描くイメージがある。
それはポルトガルはシントラのロカ岬付近で見た丘。特に、それが持つ色。
なぜだろう、儀式の最中、この景色が自然と思い浮かぶのだ。毎回ではないが、結構高い頻度で。
ムエットが届けられた先は、こんな景色ではきっとない。しかしそんなことはどうでもいい、なぜならこれは、儀式なのだから。
今日も、名も知らぬ土地に想いを馳せつつ、一日が終わる。
YouTubeに動画をアップしました。質問お待ちしています。YouTubeのコメント欄に、香水に関する疑問、çanomaに対する質問等、なんでもいいので書いてください!
【お知らせ】
1月9日(土)より、長崎県『HANAわくすい』にて、取り扱い開始です!
http://hanawakusui.com/
【çanoma取扱店】
Nose Shop 新宿/銀座/池袋/渋谷
https://noseshop.jp/?mode=cate&cbid=2681149&csid=0
ミヤシタパーク “The Editorial”
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