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モテ香水について

モテない。

とにかく、モテない。

私の理解によると、「モテる」というのは、恋愛対象として好意を抱かれる頻度が高い、ということを意味している。

その点でいくと、記憶にある限り、そういった経験をしたことはほとんどない。

犬と猫には大変好かれる。しかしそれは、残念ながら「モテる」に含めることはできなそうだ。

大変残念である。

Twitter上で「モテ香水」という言葉が話題になっていたようだ。どういうコンテクストで盛り上がっていたのかはよく知らないが、ネガティブなニュアンスであると理解している。

「モテ香水」という言葉が、こと香水好きから敵視される背景には、「香水を使って不特定多数の人から恋愛感情を持たれたい」という下心が感じられる、ということがあるのだと私は勝手に理解している。

こういった反感を抱いてしまうことについて、気持ちは分からなくはない。

それはさておき、「モテ香水」とはどういったものであるべきか、私なりに考えてみた。

先述の通り、「モテる」ということは、より多くの人の恋愛対象になる、ということを意味している。

であるならば、好みが分かれる香水は避けなければならない。万人受けするものを選ぶべきだ。

そうすると自動的に、ニッチフレグランスは対象外となる。キャラクターがはっきりしている香りは、誰かにとっての素晴らしい香りとなり得る一方、他の誰かにとっては耐えがたい香りとなるからだ。モテるためには、より大衆的な、好みの分かれない香りのチョイスが重要となってくる。

大手ブランドの香水は、大部分がグローバルなコンシューマーテストで一定以上の成績を収めたものである。つまり、「多くの人が好き」及び「嫌いな人が少ない」ということが保証されている。

例えばCalvin Kleinの“CK One”のように、男女問わず、グローバルで売れた香水は、モテ香水の1つの候補となってくるだろう。また、アジアの女性を中心に大ヒットしたChloéの“Chloé”も立派なモテ香水であるはずだ。

ということで、「モテ香水」が欲しいのであれば、大手ブランドのベストセラーとなった香水を買うべきだ。相手が香水マニアでない限りにおいて、間違いなく「いい匂いだね」をもらうことができる。

「そういうことじゃねぇんだよ」

という声が聞こえてくる。

わかっている。話はここから。

つい先日、大学時代の友人から、「婚活女性向けの香水選びセミナーをやって欲しい」という依頼を受けた。

婚活女性…。私には縁遠い人たちなので、彼女たちがまずどんなことを求めているのかを知る必要があった。

ヒアリングを進めていくと、どうも彼女たちが求めているものが、「自分の魅力を引き出すこと」ということがわかってきた。彼女たちは、自らの魅力が相手に伝われば、自然と自分に合う相手が見つかる、と考えているようだ。この考え方は間違ってはいないように思われた。相手を探すために、まず自分を正す、ということだろう。

つまり、私がセミナーでやるべき内容は、「自分の魅力を引き出す香水の選び方」となる。

であるならばやることは簡単だ。彼女たちに必要な香水は、「自分が心から好きだと思える香水」である。あとはどのようにして好きな香水に出会うのかを伝えてあげれば良いのだ。

私は自分が身につけるものを探すのにものすごく時間をかける。納得できないものはなるべく身につけないようにしている。

ある寒い冬、その頃は自転車によく乗っていたので、手袋が必要だった。しかし、私自身が納得できる良い手袋になかなか出会えず、手袋を買うことなく、気がついたら春になっていた、ということがあった。

なぜそこまでして身につけるものにこだわるか、というと、納得できないものを身につけると、自分を大切にしていないように感じられるからだ。

婚活中の女性が、自分の魅力を引き出したいと思っているのなら、モテ香水やモテ服等の外部情報を漁るのではなく、自分が本当に好きなものを見つけるべきだと思う。それが自身を思いやることとなり、魅力や自信につながっていくと私は考えている。

これはあくまでも身につけるものの話だが、生活の仕方や住居環境、読む本、聴く音楽、仕事…全てにおいて、納得感を持てるかどうか、ということは、非常に大切だと思う。全部にこだわるのではなく、自分が何を必要として、何は必要でないのか、ということに自覚的になる、ということだ。

これが本当の意味で「丁寧な生活」であり、個性を持った魅力へとつながっていく。

冒頭で、私はさっぱりモテない、と書いたが、最近なぜか少しずつモテているような気がしている。本当に、気がしている、という程度だが。

一緒に働いているフランス人の女の子が、様々な友達を仕事場に連れてくる。大半が女性だ。

それらの友達が後に、「ユータはかっこいい」や「ユータには雰囲気がある」ということをこっそり伝えてくるらしい。

もちろん、どの程度の色合いで「かっこいい」「雰囲気がある」という言葉を使っているのか、はたまた本当に言っているのかはよくわからない。が、今まではこういったことが一切なかったので、私の中ではモテへの大きな前進である。

私なりに、なぜこういったことを言われるようになったのかを考えてみたのだが、1つの理由は、「ようやく私がやりたかった仕事ができているから」なのではないか、と思っている。

つまり、自分が心からやりたいことができているから、それが私の魅力を引き出すことにつながっているのでは、ということだ。

もちろん1つの可能性でしかないが、そんな気がしている。

それでも彼女ができる気配は一切ないのだが…まぁそれはきっと別の話。

ということで結論は、「モテ香水」は「あなたが心から好きな香水」である。

çanomaの香水も、いつか誰かのモテ香水になってくれたら、とても嬉しい。


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