お降りの際は網棚の手荷物などお忘れにならないようお気をつけ下さい

時代は電車に似ている

各駅につけば
降りる人
乗ってくる人
降りない人
降りた人の席に移動する人

目の前の状況が
若干変化して
次の駅に向かう

人生の登場人物を
レストランの客に見立てた
映画もあったけど
似たようなものだと思う

目的地まで
揺られる
ウトウトと時代をまどろむ

網棚に置き捨てられた
新聞や雑誌を
久しく見ていない
電車の中で
新聞や雑誌を読んでいる人も
見かけなくなった
それもまた時代

ふとみると
向いの網棚に
忘れられた荷物を見つけた

誰れかが
降りるときに
忘れていったのだろう

さしずめ時代の落し子だろうか

電車は
目的地の駅に滑り込んでいく

時代を降りるように
電車を降りる

忘れられた網棚の荷物は
ガタゴトと電車に揺られ
終点まで辿り着くのだろうか

今日電車に乗って
そんなことを
考えた

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