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漠然とした企画なら動画より静止画の方が成功率高い


必要なのはそれじゃない

広報的なお仕事で動画を撮影するときの「あるある」ネタとして、「オーダーがすっごい漠然」ってのがあると思う。

漠然とした「ほしい何か」があるのは分かるんだけど、「良い感じに~」とか「ターゲットに刺さるように~」みたいな漠然とした「イメージ」でオーダーが降りてくるヤツ。

まあ、発注側も受注側も素人――「企業内のどっかの部署」からの依頼で「兼業広報な人」が撮影/編集する形だったりすると、曖昧なまんまなんとなく進むことが多い。

そして、関係者全員がビミョーな表情を浮かべる何かができあがる。膨大な時間をかけてできあがった何かが。

そりゃそうだ。

そこにあるのは「イメージ」であって、「具体的な企画」はどこにも存在しないんだから。

現場がほしい「決め」はそこじゃない

素材を撮る時に必要なものはいくつかあるんだけど、

  • 何のために撮るのか(目的)

  • 何を撮るのか(対象)

  • どんな状況を撮るのか(シーン)

  • どのくらい撮るのか(尺)

  • どう使うのか(成果物/用途)

あたりが「事前に」明確になっていないと非常にやりにくい。

大抵の場合、「目的」と「成果物/用途」は発注側から提供されるが、それ以外は「受注側にお任せ」というケースが基本となるだろう。

本来であれば、受注側が発注側へのヒアリングを通じて不確定部分を明確にして、シナリオやコンテといった形(あるいは関係者全員が理解できる何か)に落とし込まなきゃいけないんだけども……。

まあ、「兼業広報」な人がやるには荷が重いタスクだよね。

例えばこんなシチュエーション……

もうちょっと具体的な事例を挙げて考えてみよう。

例えば、こんな映像作品を作りたいとする。


  • 1分ほどの想定(多分YouTubeにショート動画として掲載)

  • 企業のプロモーション用動画

  • ドアを隔ててゲストとホスト(いずれも複数名)が対峙しているシーンの画がほしい

    • ドキドキ感/緊張感が読み取れる画がほしい

    • ドアが開いたとき、それらが解放される様子の画がほしい

※あくまでも仮定の話なので、細かい所が粗いのは気にしないこと


実際、撮影当日の朝(または撮影10分前)に言われたりするわけだけど……。

さて、これを発注側からオーダーされたとき、受注側としては何を考えなきゃいけないだろう?

例えば次のような疑問が湧いてくるのではないだろうか。


  • 何を目的としたプロモーションなの?

  • ホストとゲストの関係性は?

  • ホストとゲスト、全員顔出しOK?

  • 1分である必然性は?

  • 機材は何を何台用意すればいい?

  • ゲスト/ホスト、それぞれどのくらいの人数規模?

  • 収録地周辺の環境は?

  • 部外者写り込む可能性はある?

  • 部外者が写り込んでしまった場合の対応方針は?

  • どんなシーンが必要?

  • ゲスト/ホスト、どっちの視点で構成する?

  • ゲスト/ホスト、コメント取りいる?

  • インタビュアーやナレーターは必要?


受注側と発注側、どちらが・なにを・どこまで整理するのかは別として、とりあえず当日朝にいわれても――撮影開始10分前ならなおさら対応困難と言えるだろう。

もちろん準備不足なのは承知の上で、「出たとこ勝負」で進めることは可能ではあるが……。

「結果は推して知るべし」である。

静止画なら話が変わる

動画とは、「時間」という連続性に沿って記録された「瞬間」の集合体である。

だから、ある「時間」に異なる「場所」の「瞬間」を同時記録するためには、その時間のその場所でカメラを回しておかなければならない。

時間を巧みに操れる能力者がいるなら別であるが、基本的にある場面を何度も繰り返すことはできない。

撮影対象がプロの役者による演劇でもない限りは……である。

では、これが静止画だとどうか。

静止画――写真とは、ある「瞬間」の視覚情報をだけを切り出して記録したものである。

そこに連続性は存在しないので、撮影ポジションを移動したりズーム操作などにより、ある程度複数の要素を同時並行的に撮っていくことも対応しやすい。
(1台で同時に発生する一瞬の出来事を同時記録することは難しい)

「連続性」が存在し、「継続性」――例えば10秒の動画素材がほしければ10秒間録画しなければならない……という制約がないが故に得られる柔軟性なわけだ。

曖昧だったり準備に時間がかけられない企画に携わるなら、静止画を前提とした方が難易度も下がり成功率も上がると言えよう。

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