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服飾資材専門商社から見た服飾資材業界とは?

 世の中には「そんな仕事もあるんだ!」と驚くような、さまざまな仕事があります。就職活動をすると色々な会社や職種の存在を知ることができて、楽しいと思います。日常的に目につくBtoCの会社の後にある、無数のBtoBの会社。無名の会社が、あの有名な会社を支えているのです。今回はそんな存在があまり知られていない業界の一つ、服飾資材業界について紹介します。広義で考えると、ファッション業界や専門商社業界の一部ですが、ファッション業界でも製造側ではなく、販売側の人はその存在を知らない人も多いマイナーな業界です。

 服飾資材のメーカーと専門商社

 私は服飾資材業界の中でも、メーカーではなく、専門商社の営業として勤務していました。メーカーで有名な会社といえばYKKです。ファスナーなどの金属の資材を中心に取り扱っています。その他にもYシャツに使われているボタンやズボンのウエスト部分にある金属ホック、ポケットの内側にある布、ジーンズの中央にある金属ホック、アウトドアの服の袖口にあるマジックテープなど、さまざまな服のパーツがあり、そのパーツを作っているメーカーがあります。専門商社は、その服飾資材のメーカーから服のパーツを買って、服を作るアパレルメーカーに売っています。

服飾専門商社の役割

服飾資材のメーカーは、もの作りをしているということで、役割は分かりやすいと思います。では専門商社はなにをやっているのでしょうか?簡単に言うと、服飾資材のマッチングサービスのようなものです。服のパーツが欲しいアパレルメーカーと服パーツを作っている資材メーカーを繋ぐ役割をしています。また1着の服を作るには、その他に服を縫製する縫製工場や、その縫製工場を管理している総合商社など複数の会社が関わっているため、それらの会社ともやりとりをする必要があります。専門商社の仕事内容は、意外と多岐に渡っており複雑です。

服飾専門商社の営業職

服飾資材の営業は、複数のアパレルメーカーを担当し、その客先に対して、服のパーツを提案します。その後、そのパーツを使ってみたいということであれば、そのパーツを使って、服のサンプルが作成されます。何回かサンプルを作成するうちに、違う形状にしたいとか、違う色にしたいなどの要望があり、その要望に対応をします。同時にその資材の品質を確かめ、価格も調整していきます。その後、パーツの採用が正式に決まると、量産に向けて準備をします。いつまでに、何個必要で、どこに送ったらいいのかということまで把握する必要があります。また例えば金属のホックなど、取り付けに機械が必要であれば、その機械の手配をしたり、ちゃんと稼働するかメンテナンスを手配したり、さまざまに気を配る必要があります。資材を出荷した後も、生産中に問題が起きたり、製品ができて店頭で問題が起きたり、その資材のアフターフォローまでを担当します。まとめると営業とプロジェクト進捗管理、アフターフォローまで1人で行うため、服飾専門商社の営業は、多岐な知識が必要になります。

服飾資材業界の将来性

個人的な見解ですが、なだらかに縮小していくと思います。理由は安く服を生産するため、服はアジアで縫製され、その流れで服飾資材も海外で生産、調達されていくからです。もちろん日本の資材は高品質で素晴らしいと思いますが、単純な資材であれば、海外でも生産でき、品質も年々上がっているからです。わざわざ日本で資材を作って、輸出すると、余計に費用も時間もかかります。なかなか海外で作るのは難しい資材もありますが、大抵は出来てしまうため、服飾資材業界全体としては、なだらかに縮小していくと思います。

今後の服飾業界に必要なこと

日本の服飾業界は縮小していくなか、今後必要なことは、独自性と効率化です。まず独自性とは、その資材を使うメリットを押し出していくことです。海外では表現できないデザインであったり、環境への配慮であったり、価格以外での強みを押し出していくことが必要だと思います。縫製が海外の時点で、価格や生産スピードでは勝負できないため、その他の要素で、独自性を出す必要があります。2つ目に効率化です。服飾資材の業界は、とても歴史があります。そのためシステムも現代的というよりかは、古典的。デジタルではなくアナログです。必要以上に時間がかかる、非効率的なこともたくさんあります。これはこの業界だけではなく、全体的に言えることだとは思いますが、効率化、スリム化ということを、経営者だけでなく、現場の社員一人一人が考えていかないと、今後世界で立ち行かなくなる可能性があります。目の前の仕事だけではなく、テクノロジーを使って効率化できないか常に考えながら仕事をする必要がある時代です。

まとめ

今回は知らない人も多い、服飾資材業界について紹介しました。主に服飾資材の専門商社から見た内容にはなりますが、服飾資材について興味がある人も、ない人も、知るきっかけになれば幸いです。厳しい内容で書きましたが、物づくりに広く携われる、また学びも多いやりがいある仕事だと思います。今後必要なことに書いた内容は、服飾資材業界だけではなく、全ての業界に共通して言えることで、決してこの業界のみを否定している訳ではありませんよ。

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