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「見えない人間」

文学の世界では、鋭い社会批判と画期的な文学技法を両立させた小説は、めったに存在しない。

それを見事に成し遂げたのが、ラルフ・エリスンの「見えない人間」(1952年)である。

本作は、20世紀に生きるアフリカ系アメリカ人の人生を、読者を動揺させるほどに詳細に描くと同時に、英語という言語をジャズのリズムと融合させた斬新な手法を取り入れている。

これによって白人読者にも黒人読者にも衝撃を与えるという偉業をやってのけた。

白人は、語り手の怒りにうろたえ、黒人は、エリスンが白人だけではなく黒人も容赦なく非難していることにより驚愕した。

当然ながら、「見えない人間」は議論を巻き起こしながらもベストセラーとなり、全米図書賞を受賞した。

当時の衝撃、現代においての感慨深さ、一度は読んでみてはいかがでしょうか?


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