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深夜のぶらり歩き旅〜日田街道編〜

昔から地図を見るのが好きだった。

大学進学にあたり地元を出て神戸に住み始めた。
バイトをするにも大学に行くにも、日用品の買い出しにも原チャは必須だった。
進学したのは2008年。iPhone3が国内で発売された年。僕はiPhone3を持っていなかったので、原チャでどこかに行く時はフィジカルな地図帳に頼っていた。

卒業して運送会社に就職した。初任地は横浜。職業柄地図は毎日使うので、首都圏の土地勘が育まれた。かなりの網をはりめぐらせた路線図や首都高の地図を眺めるのが好きだった。首都高なんかは実際に運転して頭の中で道をつなげることを楽しんでいた。

幼少期、近所で近道を発見したとき、
中学の頃、夏休みの部活前に家から15kmくらい離れた街に自転車でいったとき、
就職して土地勘つけてドライバーさん達と対等に話せて業務がはかどり出した頃などはうれしかった記憶がある。

そしてつい先日、地図好きがこうじて福岡の旧街道を歩いてみようと思いたった。福岡を通っているのは唐津街道か日田街道。今回は日田街道を選択。ゴールは山家宿に設定。山家宿は長崎街道や薩摩街道(豊前街道)とのジャンクションとなってる場所。

そして、スマホマップ禁止というルールをかして2/23 23時に家を出た。
一通りルートには目を通してたものの、完全に覚えられるわけもなく、深夜に街を彷徨った。中盤は大きくルートを外れてしまったが目標地へは無事たどりつき感無量。

それなりに交通量の多い道路がメインルートだったが、筑紫野の針摺を超えて宝満川にさしかかった辺りから僕が想像していた街道らしい道になっていった。

休憩含め9時間くらいかけて歩いた距離は35kmくらいだと思う。想定ルートより10kmくらい余分に歩いたことになるんじゃないかな。ただ迷った先でしか見れなかった景色もあったし、お腹すいたころに幸運にも24時間やってる一蘭に遭遇して深夜豚骨ラーメンを食せたりと結果オーライだった。

そして終盤あまり見かけないブランドのコンビニがあったので、写真を撮って朝食を買いに入店。

入るや否やコンビニのおじちゃんオーナーが
『何で写真取ったと?』と大きい声で言ってきた。
怒ってるんかなと思いきや
『今歩き旅しよるんすけど、珍しいコンビ、、、』
道中声を出してないはずなのに何故か声が出ない。何で!?と一瞬思ったけど花粉症か!?と勝手に腹落ち。

聞き取りにくい声かつ耳の遠いおじちゃんの組み合わせだったので、向こうも聞くに耐えず『そんなんいいけん何でとったと?』と言われた。
一言で答えた。『珍しかったから!』と。
おじちゃんは『言ってくれればポーズとったのに』と十八番のボケをかまし、ドヤ顔をしながらロジック的にはややおかしな回答をしてきた。

少し面倒くさい人に捕まったなあと思いつつ、色々話を聞いていたら、すごい博識な人だった。
博識すぎて歩くなら世界遺産や神社仏閣、教会を歩き回ったらいいと求めてないアドバイスをしてくれたり、僕の地元の○○高校は昔かなり悪かったと教えてくれたりした。

僕に会話のターンは回ってこない。そして僕は自分の立ち位置を徐々に出口の方にずらしながら会話からフェードアウトしていこうとしたら店の外でもおじちゃんの話はつづく。少なくとも30分は話した。

その時、目に入ったのがゴールとしていた山内宿の道標だった。

おじちゃんは道標をもとに近所のことを解説してくれた。
そうか、ここがゴールかと達成感を感じつつ、この親切なおじちゃんと話してなかったからゴールに気づかず歩き続けてたかもしれないと思った。

78歳の元気なおじちゃん。本当にありがとうございました。帰り際に、一緒に写真撮れば良かったなと少し後悔した。ポーズを取りたがってたもんな。

今度立ち寄る時は時間と体力を十分に確保した状態で挨拶にいくとしよう。

旅のゴールに相応しい貴重な出会いでした。

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