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「他人に読んで貰う」文章を書きたい時にその1


前書き/このnoteを書いた理由

私が最初に小説を書いたのは中学生の時にアナログで、受験直前の息抜きとしての物でした。当時は交換日記的な物や自作の漫画を見せ合う友達がいたので自然な流れで「自分が書いた物は他人に見て貰う物」という認識が芽生えてその後、ライフスタイルの変化で途中、書く事が途絶える時期を挟みつつもかなり長い間小説を書いています。

その間「文章を書く」上で「こうやって書く」という意識の上で何度か気づきや発見があって作品の内容が変化しつつ今に至ります。「今の私」にとっては当たり前の事ですが、以前はそうではありませんでした。

私は文章を書く事で生計を立てているわけでもないし、作文指導のプロではありませんので私の書いたテキストを見た人全ての文章スキルの向上に役に立つような事ではないと思いますが気付くまでに時間を要した事もありますのでまとめる事でこれから文章を書き始める人の何人かの、何らかのショートカットに寄与する事を願って書いてみる事にしました。

「書いた文章をどうしたいのか」自分で理解していますか?

本文を読む前にまずここを考えてみて下さい。
文章を書くという行為で得られる結果に何らかのプラスを求めている人ではあればこれから先のテキストを読む価値はあるかと思います。
考えが合わなくても「私にはこういうロジックは向かないのだな」というムダに気づけると思いますので。

「他人に読ませるつもりはないし、ただ思った事を書き留めたいだけだけど、文章を書くのにルールがあるのかな?」という人であれば必要なのは私のこのnoteより「小説の書き方」を解説したハウツー本の方かと思います。
こちらについては紙媒体で出版された物をお勧めします。

というのが、Webでの解説だと踏むべきステップやカテゴリーが一覧しにくいからです。紙媒体の良い所は「読みたいページをすぐに開ける」事ともう一つ、「メソッド(ここでは手法の意)全体の構成が目次によってわかりやすく分類されている」点です。商業誌の場合、多くは目次を見た時点でやるべき事や課題が見えて来やすいので全てを読まなくても目次だけでもそれなりに得る物があるかと思います。

私がこれから書くのは「具体的な方法」よりも「他人が読んで理解できる文章を作る時の考え方」という内容ではないかなと思います。(これで合ってるか自信はないけど)
「役に立つテキストを読む」というより「この人はこういう事を考えながら小説を書いてるんだな」という風に読んでいただけると幸いです。

一番の問題は「他人に理解してもらおう」という気持ちがあるかどうか

この話、何度もしてるんですが比較的最近のポストがこれです。
何を以て「文章が上手い」というかの基準は多々ありますけど、最も基本にして最難関になるのがこれではないかと思います。
「他人が読んで理解できるか」
これについて「当たり前では?」って思うかもしれませんけど、実際に小説を書く時、私はここを意識して書くかどうかで全く仕上がりが違いました。
「他人に理解させる、してもらう気持ちがある」
「言いたい事を言いたいように言っただけ」

小説に限らず会話の上で、ここの意識があるなしで受け取り側の理解度は全く違って来ますよね?

わかりやすい例で言うと学校の先生。
「生徒が自分の言葉(説明)を理解できているか」という意識がある先生の授業は「わかりやすく」「内容が理解できる」はずです。
逆に「必要な事を説明している"だけ"」の先生の授業は「説明が理解できる生徒」にしか理解出来ません。こちらは「生徒を選んでいる」状態です。

これを小説に置き換えてみましょう。
・必要な情報が「わかりやすい表現」で書かれている話
・使っている言葉が難しく、説明が省略されている部分が多い
どちらがより多くの人に理解してもらえるかと言われればおそらく最初の方です。

小説ではどういう事になるかというと
・提示される情報の量が適切で平易な言い回し
・難解な語彙が多く、作者がもっている情報が適切に開示されていない
前者と後者ではより多くの読者に内容を理解させる事ができるのはおそらく前者です

はい。
さっそくサンプルを出して見ました。
最初の方と次に出て来た段落で私が言おうとしている事は同じです。
でも読んだ時にすばやく理解できたのは最初の方じゃないかなと思います。
人によっては後の方が情報量多いから好みってパターンもあるかもしれませんが。

私はどちらかというと後から出て来た「漢字多めで情報密度が濃いめ」の文章が手癖なのですが、解説を書く時は「しゃべっている時に使う言葉に近づける」を意識しています。

言葉は文字で入る時と声で入る時では処理の仕方が違うので「文語」と「口語」と言われるように、単語や文章の組み立てが違っていますよね。
専門家ではないので正解ではないかもしれませんが文語の方が「決まったルールで構成されている」物で口語の方が「文語より自由に組まれた物」という認識でいいかと思いますが、小説の場合では「音で素早く理解できる言葉をなるべく使う」という感じです。

音にした時「かんたん」だと普通は「easy」の意味が真っ先に出て来ると思います。「感嘆」とか「邯鄲」が第一候補になるケースは少ないですよね?
これが「へいい」になると普段からこの言葉を使っていないと「平易」という文字を思い出す→理解に繋がるのが難しいケースが出て来ると思います。

これは全ての小説で「使う言葉は簡単な物の方がいい」という話ではなく、文章を書く時に「どういう言葉、書き方をすれば相手はスムーズに理解できるかという意識があるかどうか」という話の実例です。

「わかりにくい話」とは「作者だけがわかっている」話

「他人に理解してもらう」上で大切なのは「言葉の選び方」や「文章構成」などの技術もありますが、もっと基本的な問題として「作者以外の人間は話の内容を知らない」という認識があるかないかです。

「そんなの当たり前では?」と思うかも知れませんが「自分の書いた物を読んだ他人が100%内容を理解してくれる」という自信がある人はいるでしょうか?多分そうはいないと思います。
他人に読んで貰う小説を書くというのは「読んでくれた人が1%でも高く理解してくれるように書く」という事だと私は思っています。

同じ文章を読んでイメージする光景は人それぞれですが「どうしてこのキャラクターはこの行動を取ったのか」「どうして殺そうと思ったのか」「どうして好きになったのか」という前提は正しく伝えて理解してもらわないと読んでいる人が「なんでいきなりこんな事したんだろう?」という引っかかりにあって物語を楽しめない事態が起き得ます。

私が今説明したい話で最もわかりやすい例が「メアリー・スー」です。

要するに「チート能力その他で、他キャラにちやほやされる展開」に対して「読者が納得出来ない」パターンです。
これが起きる原因は複雑ですが、根本的な理由は「読者が納得できるだけの説明、説得力がない」ではないかと思います。
2次創作で「ちやほやされるオリキャラ出すのはいいけれど、読み手がその展開に納得できるだけの説明が欲しい」と言われる状況に陥ってしまうパターンですね。

2次でも1次でも「理由がよくわからないけどひたすらに特定キャラがちやほやされている話」って多分おもしろくないです。リアルでひたすら他人が依怙贔屓されているのを見ているのが楽しいという人はあまりいないと思います。「恋が叶って良かったね」と祝福してもらえるのはそこに至るまでの過程があるからの話なわけですね。

これについて厄介なのは「文章力があれば納得させられる」ではない所です。作者が「ここを書きたい」と急ぐ余り「自分はわかっている」ために「AがBに対して惹かれた理由」をすっ飛ばしてしまうんですよね。

「書きたい所だけ書いた」が起きると読み手は置いてきぼり

今めちゃめちゃ適当に粗筋を考えたんですが
「俺様ヒーローがツンデレヒロインを好きになる」パターンで王道の一つが「おもしれー女」展開だと思うんですが、あれって
・ヒーローがヒロインに対してちょっかいをかけるなどする
・ヒロインがヒーローに靡かない
・それに対してヒーローが「おもしれー女」って言う
これの流れで読者は「アッ、ヒーローがヒロインを恋愛対象にするフラグが建った」と理解するわけですよね。

これが
「ヒーローがヒロインにちょっかいをかける(興味を持った)」という描写が十分にない状態で「ヒロインがヒーローに冷たく当たる」エピソードだけが出て来て「ヒロインに対するヒーローの意識が変化したフラグ」もなく「いきなりヒーローがヒロインを追いかけ回す」という展開だと読者はおいてきぼりです。
これ、書き手は「ヒロインは簡単に靡いたりしないしむしろヒーローに恋愛感情はないんだけどヒーローはヒロインにぞっこんでアタックする」展開がヘキだから、そこの「自分が読んでいて気持ち良いシーンしか書いてない」パターンなんですけど、書き手はそれでもいいんですよね。だって読みたいのそこだけだもん。
「ここが読みたいから書いたんだよ文句ある?」
というスタイルです。

それはそれでいいんですよね、自分が読みたいから書いてるわけだから。
ただ「他人にも読んで欲しい、ヒーローがヒロインを好きになった事に賛同して欲しい」んだったらこれはアウトです。
ちなみに夢小説で、書き手が夢主のパターンの場合で相互さんとか友達が読むなら別にこれは気にする必要はないです。だって相手が夢主好きなのは説明するまでもない当然の話なので。
キャラクターが「読み手にとって他人」の場合は説明がないと読者は置いてきぼりになるよ、というパターンの説明です。

メアリー・スーはキャラクターの場合ですけど、物語の設定がきちんと説明されていない場合も読者はおいてきぼりです。現代物だと世界観の説明は必要ないでしょ、と思うかもしれませんが学校のルールや仕事の内容は違う学校、別の仕事をしている人にはわかりません。
「えっでも事務員なんて説明いらないでしょ?」と思う人もいるかもしれません。けれど事務員でも業種や会社によって運営方法は違って来ますし読者が接客業、製造業しか経験がないなら事務の仕事はぼんやりしたイメージしかないかもしれません。

「こんなの常識/誰でも知ってるから説明いらないよね」という意識は捨てて下さい。少なくとも貴方の頭の中にある世界を知っている人は誰もいません。

昔の歌で「めっちゃ好きなのに1/3も伝わらない」みたいな歌詞がありますけど「何も考えずに書きたい事だけ書いた状態だと読み手には1/3くらい伝わっていたらいい方」くらいの意識が持てるといいんじゃないかなと思ったりしています。

まあ、まとめるとこんな感じですかね。
とりあえず「他人にわかるように書け」を延々書いたらこの文字数ですよ。長くなったのでとりあえず本日はここまで。

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