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詩「玄関」

わたしは靴を取り出すため
目の前の下駄箱を開いた
玄関という空間は不思議なところだ
およそ長い間この空間が
大きな変化を遂げたことはない
誰もがここで靴を脱ぎ
ここで靴を履くのだ
故に何十年も経ってから下駄箱を開くとき
昔の思い出が蘇ることがある
取っ手に触れて開くとき
靴を取り出し土間の上に置くとき
扉を閉めてそこに座り靴ひもに触るとき
数々の記憶がわたしの頭に浮かんでくる
そうして玄関の戸をくぐり
外に一歩踏み出すとき
わたしは現代に帰る
そうして得た心の安堵を一緒に連れ出す

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