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大腿直筋の機能解剖学

★大腿直筋の解剖学的特徴★

【起始】下前腸骨棘・寛骨臼の上縁及び股関節包

【停止】共同腱(大腿四頭筋腱)へ移行後、膝蓋骨を介して脛骨粗面

【支配神経】大腿神経(L2〜L4)

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・大腿四頭筋の中で唯一の二関節筋

・大腿直筋の浅層の線維は羽状構造をしており、速く力強い筋収縮に有利な形態をしている

・大腿四頭筋腱の近位は大腿直筋と中間広筋との間に滑り込むように侵入し、両筋に挟まれる形で結合している

★筋機能の特徴★

・股関節の屈曲、膝関節の伸展に作用する。同時に作用すれば下肢伸展挙上(straight leg raising:SLR)を遂行する。

・下肢が固定された状態では骨盤を前傾させる。

・大腿直筋は下腿の回旋や股関節の内外転にはほとんど作用しない。

★臨床との接点★

・大腿四頭筋拘縮症にみられる「尻上がり」現象は大腿直筋の拘縮をみる検査である

※尻上がり現象とは

腹臥位で膝関節屈曲することで大腿直筋を伸張し、尻上がりが生じるか否かをみる大腿直筋の短縮度を評価する検査

・大腿直筋の詳細な拘縮の把握には、骨盤最大後傾位で膝関節屈曲角度を計測すると客観性が増す

※林らによると、大腿直筋の短縮度を詳細に評価する方法として、骨盤最大後傾位での膝関節屈曲角度を計測する方法がある

・Osgood-Schlatter病の発症と大腿直筋の拘縮は関連が高い

・スプリンターに比較的多くみられる外傷に大腿直筋の肉離れがある

・立位での腰椎前弯が強い例では、腸腰筋だけでなくだいたいちょっきんの拘縮にも気をつけなければならない

引用文献

林典雄(2012) 運動療法のための機能解剖学的触診技術下肢・体幹 メジカルビュー社


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