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民間給付型奨学金について (個人的経験より)

授業料免除&給付型奨学金のすゝめ

昨今, 大学進学率は男女ともに50%を超えており, 多くの人が大学へ進学するという選択肢を選んでいます. ただ, 昔に比べると学費も上がり物価も上がりで, 大学在籍中に支払うお金を工面するのは大変な時代になっています (文科省データ参考, 国立大・私大ともに学費は上がり続けているものの, 両者の差は縮んでいることがわかります. 昭和50年は, 国立大授業料より入学料の方が高いというのは衝撃です).

そんな世知辛い世の中ですが, 大学生・大学院生に対する金銭面のサポートをする仕組み自体は存在しており, 俗に言う奨学金という制度です. 最も有名なのは日本学生支援機構 (JASSO) の奨学金でしょう.

一部の優秀な成績を収めた方は奨学金が全額・半額免除されるそうですが, その他多くの人にとって大学でかかったお金を前借しているに過ぎず, 会社に勤めてからそれなりに長い期間を返済に充てる必要があります. この仕組みを利用することにより将来的なリスクを抱えてしまうので, あんまり利用したくないというのが多くの人にとっての本音ではないでしょうか.

学生のうちに借金を作りたくない, でも大学に進学死体というそんな人向けに世の中にはとてもありがたい仕組みが存在しています. それは授業料免除制度と, 給付型奨学金です. 前者は大学毎に存在しているもので, 後者は民間の財団等から給与される奨学金で, 貸与ではなく給付ですので返済義務はありません. 私はこれら2つの仕組みをフル活用してなんとか学部~博士前期課程までをサバイブしました. 以下私個人の経験ではありますが, これらについて簡単に紹介していきたいと思います.

授業料免除&給付型奨学金の個人的経験談 (学部, 博士前期課程)

  • 授業料免除

おそらく多くの大学で授業料免除制度が存在していると思います. 大学の掲示板をよく見てみましょう. 大学によって選考基準はマチマチでしょうが, 家計状況, (縁起でもないですが) 両親の死亡, 災害等の影響があればそれらを考慮して選考が実施されていると思います. 多くの人は家計状況を理由に申請することになると思います. 私は学部~博士前期課程まで申請し続けており, ありがたいことに学費のほとんどを免除していただきました.


  • 学部

大学に入学してさっそく応募したのが以下の奨学金です. 

奨学生に選考されると, 月額3-4万円 (私がいただいていた当時) を給与型奨学金として給付していただけます. 加えて, 奨学生の間での交流も盛んにおこなわれており, それを意図したイベントも積極的に行われています. 理系・文系いずれからも選考されますので, 人によってはかなり幅広いネットワークを形成するのに役立つのではないかと思います.

  • 博士前期課程

家計状況は特段改善しているわけではなく, 博士前期課程に進学できるかもまあ怪しい状況でした*1). 学内掲示板を事細かに覗くと, かなりいい条件の給付型奨学金を見つけたので, 藁にもすがる思いで応募しました. その名は, 吉田育英会が募集している大学院生給与奨学金マスター21です.

 マスター21の選考を潜り抜けると, 月額7-8万円 (私がいただいていた当時) を給与型奨学金として給付していただけます. 加えて, 各務財団と同じく年に数回当奨学金に選考されたメンバーでの交流会 (研究交流会を含む) に参加することができます. この交流会の価値は極めて高く, 全く異なる分野の院生との情報交換が可能となる貴重な機会になります*2). また, 研究能力やモチベーションの高い人が全国より選ばれていますので, 交流を通して研究モチベーションを上げることも可能です. 唯一の弱点は, 理系の院生のみが選考対象になっているという点です (ただし, 国際派遣プログラムの方では人文・社会科学を専攻されている方もいらっしゃいます). 
ここで紹介した吉田育英会ではドクター向けや海外留学向けの奨学金も存在しますので, 興味あればサイトを覗いてみるのがおすすめです.

どうやったら給付型奨学金に選ばれるか?

給付型奨学金の応募情報は学内の掲示板に必ず掲載されていますので, それを見逃さないようにするのが一番大事です. 今回挙げた2つの財団は, 旧帝大や有名私大であれば間違いなく募集をかけていますので, 是非確認してみてください. また, 財団によっては扶養者の給与上限などが影響するかもしれないので, その点も事前に確認しておくべきでしょう*3).
選考の基準ははっきり言えば不明に近いですが, 基準の1つとして間違いなく影響しているのは学業成績です. この手の奨学金は, 大学毎もしくは学部毎に応募者の上限が存在しているため, 財団の選考の前に学内専攻が存在しています. 学内専攻での選考基準として, 最も公正に判断可能な指標は取得単位情報ぐらいしかないです. したがって, 取得単位のほとんどを最高評価でとると選考を通過する上でかなり有利になるのは間違いでしょう*4). 学内専攻通過後に財団による選考がありますが, こちらの基準は全く不明です*5). 財団による書類選考に通ると面接による選考があります. 面接選考では, 財団重役や大学より選定されている選考委員の方々*6)相手にお話しすることになります. 緊張するのは承知の上で, 選ばれたらラッキー程度に考えて臨むのがおすすめです. こいつならなんか面白いことやってくれそうだな感を出すといいかもしれません.

その他奨学金に関して (企業奨学金)

上で紹介しているのは公益財団法人のものですが, 大手企業の中には主に院生向けの奨学金が存在しています. 下記サイトによくまとまっていますので, 参考になるかと.

これらの奨学金の特徴は, 入社すると返済が免除される点でしょうか. 優秀な学生の青田買いって感じですね. 私は応募したことないですが, 私の同級生が応募してました*7).

おわりに

今回紹介した授業料免除&給付型奨学金いずれも, 応募すれば通る確率は存在するので, ぜひ応募してみるとことをお勧めします. 単位取得がボロボロの人は, まあ, ドンマイということで.


注釈

*1) それでも, 授業料免除はある程度受けれるだろうという見立てがあったのは幸運だったと思います.

*2) その機会をフルに活かせたかといえば疑問ですが, いまだにプライベートで交流するメンバーもできたので, 大変感謝しています.

*3) 今回紹介した財団では, そのような制限はなかったような気がします.

*4) 学振のように博士前期課程・後期課程の学生が対象であれば執筆論文や学会賞受賞歴が効いてくるとは思います. 今回紹介している奨学金は選考がいずれも学部生のタイミングで実施されるので, 研究成果のようなものは判断基準にはなりえません.

*5) 学業成績はかなり自信ありましたが, なぜ自分が選ばれたのかはいまだに不明です.

*6) おそらくめっちゃ偉い人々です. ほとんどの人にとって人生でかなり緊張する部類の面接になると思います.

*7) 某大手メーカーの奨学金. 私と同じく木材科学関連の研究をしていたため, そのプレゼンをしたところ全くウケなかったそうです. 企業ということもあり, ある程度その企業に関連した研究トピックしか受け入れてくれなさそうではあります.

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