FACTFULNESSを英語で読んでみよう~Chapter One~

さてさて前回はIntroduction編をお送りしました。今回はChapter Oneへと進んでいきたいと思います(今回ちょっとオープニングトークと無駄話が多いです)。

「THE GAP INSTINCT」というタイトルがついたChapter Oneですが、すでに一度読んで今このnoteを書いている時点でまだInstinctの正確な意味は知りません。

母国語でも外国語でも、スピード重視であればわからない単語がでてきたら(それもどうみても重要なキーワードであればなおさら)ちゃっと調べてしまうのもありだと思いますが、私はいけるとこまで調べずに読み進めるのが好きです。

たぶん学生時代に英語の長文問題を解いているときの気分が割と好きなことと、実利的には予測能力を鍛えるためにやっています。受験英語は結構得意だったんですけど、その時に薄々感じていたのが、

文章を読んでわからない単語が2つまでならなんとかなる説。

実際問題、全単語の意味を知っている状態で文章を読める、というのはなかなかに限定的な状況であまり役に立つ英語力とはいえないんじゃないかというのが、主な根拠です。なので厳密にいうと、役に立つ英語力にするためには

文章を読んでわからない単語が2つまでならなんとかしなきゃならない説。

文脈から類推する力をつけると応用力が高まるのでは、という考え方ですね。いま題材にしているFACTFULNESSのような科学的、論理的な文章は一般教養とロジカルシンキングを使えば比較的相手にしやすい文章だと思います。この視点からいうと推理小説よりファンタジー小説の方が難しいし、経験上一番難しいのはコメディだと思われます。

TEDとかでスピーチを聞いてみても、観客がどっと湧く瞬間に「え、どこがおもろかったの...?(苦笑)」みたいに置いてけぼりになることはもはや避けられません。理解のスピード感もですが、なによりこれを理解するには文化的なバックグラウンドがある程度共有できていないとなかなか難しいのかなと思います。逆に外国語でコメディをみて笑えるようになったら、相当の実力者かなと。

はい、脱線が止まりません。まぁでもせっかく英語で読んでいるから関係なくはないとも言えなくはないだろうか。
マシマロは関係ない。本文と関係ない。by奥田民生

それでは本文に戻ります。
THE GAP INSTINCTがなんなのかを予測しながら読んでみましょう。

筆者は縦軸に「Children surviving to age 5(子どもが5歳まで生き延びる確率)」、横軸に「Babies per woman(女性一人当たりの子どもの数)」をとって各国を円形で配置したグラフを提示してきました(ちなみに円の大きさは人口)。いかにも「世界はDeveloping(発展途上国)とDeveloped(先進国)の二つに分断されている」と言いたげなグラフです。FACTFULNESSという書名なので、当然騙されないように慎重に読んでいきます。何おかしいところはないだろうか。いやしかし前者と後者をingとedで表現できる英語は便利だなとも思いつつ。

以下のグラフはFACTFULNESSに登場するものですが、よく見るとSourceは国連のようですので、公開データだと信じてちょっと載せてしまいます。

スクリーンショット 2020-10-29 17.07.44

今読んでいるのは「FACTFULNESS」。なので、「そう思うでしょ?でも全然違うんだなこれが」って展開なのはわかっていて、文章もなんだかミスリーディングで罠に嵌めようとしてきている匂いは感じ取れましたが、かといって反証できるほどこの話題について知識があるわけではありません。

仕方ないので、読み進んでいきましょう。

するともう一つ似たようなグラフが登場します。
種明かしがこちら。

スクリーンショット 2020-10-29 17.12.08

こちらのグラフが2017年のデータ。先にみたグラフは実は1965年のデータでした!最初に50年前のデータをみせられて、感覚的に違和感があったでしょうか?そこがポイントです。

はっきり「Developing」と「Developed」が、「彼ら」と「私たち」が二分されている(いた、ではない)と思ってしまいがちなところ、最新のデータが語るのはむしろ今となっては両者に大した差がないということのようですこれだけ密集してしまうともはやBabies per womanを横軸にとる意味は乏しいとすら言えそうです(にしても国によって5~10%くらいは生存率が違うようで、それがどのくらい問題かは別途検討が必要でしょう)。

まんまと騙された読者に、筆者はこう言います。

While the world has changed, the worldview has not, at least in the heads of the "Westerners."

「世界」が変わったというのに、「世界の見方」が変わっていない。少なくとも"西洋人"の頭の中では。

そうですワダスがTHE GAP INSTINCTです。by 変なおじさん

これはほぼ間違いないでしょう。

さて、Instinctとはどういう意味なのでしょうか。話の流れから予測すると、誤解を招いてしまうようなバイアス、指向、性向というところでしょうか。THE GAP INSTINCTというからにはGAPがもたらすものなのでしょうね。2つのグラフを見比べたところからすると、GAPがあると思ってるだろうけど実際はそこまでGAPがないよね的な流れです。とすると、ものごとにはGAPがあるもんだと思いたい症状、というのが現時点での私のTHE GAP INSTINCTについての理解です。THE GAP INSTINCTこそが真実を見誤らせるのでしょうか。

文章を詳しく読んでいくと、人間にはなんでも2つに分けてしまいたい性質があるというようなことが書かれています。よく聞きますね、善悪二元論なんて。ちなみに私は小さい頃からアンパンマンすら受け入れられないほど生まれながらに善悪二元論は苦手ですが(やっぱりそれはマイノリティのようです)、流石にその話はまたの機会にしましょう。

THE GAP INSTINCTの厄介なところは、「正しいデータを提示されてもなお力を失わないこと」だと筆者は念押しします。どういうことでしょうか。

My students were dedicated, globally aware young people who wanted to make the world a better place. I was shocked by their blunt ignorance of the most basic facts about the world.

先ほどのデータでいうと、2017年のデータを突きつけられてもなお、国際問題に関心の強い熱心な学生でさえ、びっくりするほど素直に納得することが難しいと筆者は述べています。皆さんはどうでしょうか。

筆者はその様子をBlunt ignoranceと呼んでいます。

正直に言って、本日2つ目のわからない単語です。リーチです。

とは言え希望はあります。Ignoranceが無視するという意味のIgnoreの名詞形であることは知っているからです。しかしBluntという形容詞がわからない。思い浮かぶのはジェームス・ブラントのYou’re Beautifulばかり。

話を戻して、文脈的にBlunt ignoranceの意味を類推すると、しっくりくるのは「露骨な無視」とか「意識的な無視」とかそんな感じかなぁ。

この後にも所得による分類をテーマに2つ目の例が展開されていきますが、私たちのChapter Oneはこのくらいで終わりにしたいと思います。

なんとなく実験的に文章を読んでいるときの頭の中を実況する雰囲気に変えて突散らかした文章にしてみましたが、いかがだったでしょうか。

最後に答え合わせをしてみます(予測するにしても、答え合わせは大事)。

Instinct: 本能、直観、直感、勘

Blunt: 鈍い、なまくらの、無遠慮な、無愛想な、鈍感な、ぶっきらぼうな、率直すぎる

Ignorance: 無知、無学、(…を)知らないこと、不案内

Ignoranceが「無視」じゃなくて「無知」と訳されているのがちょっとふに落ちませんが(これもBlunt ignoranceなのだろうか)、わざとじゃない単に見えてないのがignoreのニュアンスなのかな。だとしたらわからなくもない。「無視」にはあえて見ないというニュアンスがあるから避けた?

今回の類推の精度は3語ともまぁ大体の意味を理解する上では許せる範囲でしょうかね。

それではまたー。

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