【追悼文】九里一平さんについて思い出すいくつかのこと

去る7月1日(土)、漫画家でアニメーション制作者の九里一平さんが逝去しました。享年83歳でした。

九里が漫画家を経て竜の子プロダクション(現在のタツノコプロ)に参加し、数多くのアニメ作品の製作や演出を手掛けたことは周知の通りです。

特に、『科学忍者隊ガッチャマン』(1972-1974年)はタツノコプロだけではなく、九里さんにとっても代表作の一つとして、現在も幅広い世代から支持されています。

私も再放送で視聴し、敵役であるギャラクターが首領のベルク・カッツェから戦闘員に至るまで憎めない人柄と愉快な言動によって作品をより一層魅力的にしていることを実感したものでした。

こうした特徴は九里さんの他の作品でも認められ、「タイムボカンシリーズ」では、様々に名前を変えて登場する三人組がテレビ画面狭しと動き回ることで、どちらかと言えばおとなしい主役たちと鮮やかな対比をなしている点は、大変に興味深いものでした。

あるいは、無国籍的な雰囲気と、時代が下るにつれて描線が洗練され、丸みを帯びつつしっかりとした存在感のある絵が描かれていることも、印象的でした。

その後はタツノコプロの第3代社長として経営の第一線に立つことになり、製作や演出の機会が少なくなったのは、残念なことでした。

それでも、日本のテレビアニメを代表する作品を数多く手がけた功績は大きく、その取り組みは今後も色あせることはないでしょう。

改めてご冥福をお祈り申し上げます。

<Executive Summary>
Miscellaneous Memories of Mr. Ippei Kuri (Yusuke Suzumura)

Mr. Ippei Kuri, a manga author and the President of the Tatsunoko Production, had passed away at the age of 83 on 1st July 2023. On this occasion, I remember misellaneous memories of Mr. Kuri.

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