『クラシック音楽館』の「日本のオーケストラ特集」が持つ大きな意義

昨夜は、21時から23時までNHK教育テレビで『クラシック音楽館』を視聴しました。

今回は、「日本のオーケストラ特集」と題し2週連続で東京都以外の地域で活動する楽団を取り上げ、第1週となる昨日は、札幌交響楽団、名古屋フィルハーモニー交響楽団、関西フィルハーモニー管弦楽団、広島交響楽団、仙台フィルハーモニー管弦楽団、山形交響楽団の演奏の様子が放送されました。

各団体の演奏の寸評は、以下の通りです。

最初に取り上げられたのは札幌交響楽団とラドミル・エリシュカによる演奏で、ブラームスの交響曲第2番の第4楽章は端正でみずみずしさに溢れるものでした。

次に登場した名古屋フィルハーモニー交響楽団の演奏はティエリー・フィッシャーの指揮によるベルリーズの幻想交響曲の第2、4、5楽章で、きめの細かい、なめらかな仕上がりとなっていました。また、外山雄三と金管楽器の団員による1982年のナゴヤ球場での応援の風景を収録した映像も、交響管弦楽と野球という地域を代表する2つの専門団体の協働という観点から、興味深く思われました。

3番目の関西フィルハーモニー管弦楽団は、飯守泰次郎の指揮とオーギュスタン・デュメイのバイオリン独奏によるラヴェルの「ツィガーヌ」の様子が放映され、デュメイの妙技を堪能できる、後味の良いものでした。

広島交響楽団の演奏は秋山和慶の指揮によるシベリウスの交響曲第2番の第3楽章と第4楽章で、「この人なら任せて安心」と言うべき秋山の明晰な指揮による音楽は、悠揚迫らざる懐の深さを持っていました。

最後に放送されたのは、仙台フィルハーモニー管弦楽団及び山形交響楽団が東日本大震災から1年が経った2012年に行った合同演奏会の模様でした。東北地方の交響管弦楽を牽引する両楽団によるマーラーの交響曲第2番「復活」の第5楽章の演奏は、飯森範親の指揮のもと、番組の掉尾を飾るにふさわしい泰然自若とした音楽となっていました。

首都圏の楽団も特定の団体以外は定期的にテレビやラジオに出演する機会がなく、各地の団体も地域の枠を超えて活動の様子が伝えられる機会は必ずしも多くはありません。

その意味で、かつての『芸術劇場』や現在の『クラシック音楽館』のような、放送時間にゆとりのある番組が各都市の交響管弦楽団の演奏の模様を定期的に取り上げることは、音楽文化の裾野を拡大させるという点からも、重要な取り組みであると言えるでしょう。

<Executive Summary>
A TV Programme "Classical Music Hall" Has an Important Meaning to Promote Activities of Local Orchestras (Yusuke Suzumura)


A TV programme Classical Music Hall broadcasted by NHK Educational featured selected concerts of local cities in Japan on 19th July 2020. It is remarkable efforts for each local orchestra, since they do not have enough opportunity to show their performance to the nationwide.

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