チェレプニンの重要性と可能性を教えた『クラシックの迷宮』の特集「アレクサンドル・チェレプニン生誕125年」

今夜のNHK FMの『クラシックの迷宮』はアレクサンドル・チェレプニンが今年1月21日に生誕125周年を迎えるのを記念し、「アレクサンドル・チェレプニン生誕125年」と題して放送されました。

日本の聴衆にとって、チェレプニンは伊福部昭を指導したことでその名をとどめていると言っても過言ではないでしょう。

しかし、ロシア革命の影響で祖国ロシアを離れてグルジア(現在のジョージア)を経由してパリに亡命し、その後は長らくパリを拠点として活動したことでフランス印象主義を受容した作品を作ったり、グルジアで聞いた音楽から抽象的な作品ではなく「ストレートな民族主義」への憧れを抱いたりしたこと、さらに1934年から1937年にかけて日本と中国を訪れ、伊福部や早坂文雄ら新進の作曲家たちを指導したことなど、その活動は多岐にわたります。

また、「アジア的な響き」への憧れや、様々な5音音階を重ねることで9音音階に集約できるとしたことは、後に石桁真礼生らが試みた新たな音階への取り組みの先駆をなすものでもありました。

今回の放送は、そのようなチェレプニンの姿を具体的な作品と司会の片山杜秀先生の解説を通してより立体的に、より奥行きを持って伝えるものとなりました。

番組の冒頭で片山先生が「125周年という区切りは刻みすぎではないかという声もありましょうが、西洋では100はもちろんのこと、ハーフということで50、クォーターの25も大切にされておりまして、75や125というものも重要でございます」と特集の趣旨を説明したことは、企画の正当性だけでなく、依然として多くの聴取者にとってなじみの薄いチェレプニンを取り上げる意義を伝える者であったと言えるでしょう。

それだけに、今日の放送を通してチェレプニンの足跡と作品が体系的に検討されたことは重要で、いつにも増して貴重な回となりました。

<Executive Summary>
"Labyrinth of Classical Music" Demonstrates an Importance of Alexander Tcherepnin (Yusuke Suzumura)

A radio programme entitled "Labyrinth of Classical Music" (in Japanese Classic no Meikyu) broadcast via NHK FM featured Alexader Tcherepnin to celebrate his 125th Annibersary on 13th January 2024. It might be a meaningful opportunity for us to understand an importance of Tcherepnin as a composer of the 20th century.

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