NHK交響楽団第1940回定期公演

去る10月22日(金)、NHK FMでNHK交響楽団の第1940回定期公演の実況中継を鑑賞しました。会場は東京芸術劇場コンサートホールでした。

今回は休憩時間を設けず、第1曲目としてグリーグの『ペール・ギュント』組曲第1番、第2曲目としてドヴォルザークの交響曲第8番が演奏されました。指揮はヘルベルト・ブロムシュテットでした。

グリーグもドヴォルザークも耳に慣れた作品であり、人々に親しまれた音楽でもあります。

それだけに、第2曲「オーセの死」において弦楽器の情感豊かな演奏によって劇的な側面を強調しつつ内省的な雰囲気を最後まで失わなかったグリーグは、『ペール・ギュント』組曲の多様な性格を聞き手に改めて印象付けるものでした。

また、旋律の扱いの巧みなドヴォルザークの手腕がいかんなく発揮された交響曲第8番に対して、短めの節回しを貫き通すことで音楽が過度に情緒的になることを避け、第4楽章の躍動感に満ちた終わりを活き活きと迎えることを可能にしたのは、指揮者と演奏者の信頼感の強さの表れと言えました。

何より、通俗的な作品であれ精神性の高い作品であれ、聞き手の注意を最後まで引き付けるのはブロムシュテットの音楽作りの妙味の一つです。

それだけに、今回の公演もそのようなブロムシュテットの手腕を堪能することができたひと時であったと言えるでしょう。

<Executive Summary>
Stage Review: NHK Symphony Orchestra the 1940th Subscription Concert (Yusuke Suzumura)

The NHK Symphony Orchestra held the 1940th Subscription Concert at the Tokyo Metropolitan Theatre on 22nd October 2021 and broadcasted via NHK FM. In this time they performed Grieg's Peer Gynt Suite No. 1 and Dvorak's 8th symphony. Conductor was Herbert Blomstedt.

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