『ベストオブクラシック』が再放送した角野隼斗の公演について思ういくつかのこと

去る12月19日(月)、NHK FMの番組『ベストオブクラシック』は、2021年10月26日(火)に放送した角野隼斗の演奏会を再放送しました。

公演は2021年3月9日(火)に武蔵野市民文化会館大ホールで行われ、ベートーヴェンのピアノソナタ第21番『ワルトシュタイン』、ショパンの小品が5曲、角野の自作『大猫のワルツ』という構成でした。

初回の放送時も今回も、最も印象的であったのはベートーヴェンで、正確な鍵盤捌きを背景としつつ繊細で情感豊かなな音楽を作り上げる様子は、いつ耳にしても大変聞き応えのあるものです。

また、ショパンは角野が得意とする作曲家だけあり、作品の細部までよく目配りし、時に穏やかで、時に悲しみの表情を湛える音楽を違和感なく作り上げた点は、大変に魅力的でした。

さらに、『犬猫のワルツ』はショパンの『小犬のワルツ』の本歌取りというべき1曲で、犬や猫への視線の温かさがよく表れた、微笑ましい作品です。

こうした、持ち味の異なる作曲家の彩り豊かな作品を洗練された演奏によって堪能できたことは1年の締めくくりの時期にふさわしく、番組の制作者側の心配りのほどが実感された次第です。

<Executive Summary>
Miscellaneous Impressions of Hayato Sumino's Performance at the "Best of Classic" (Yusuke Suzumura)

On 19th December 2022, NHK FM's programme the "Best of Classic" broadcasted Hayato Sumino's piano concert of 9th March 2021. We could enjoy listening remarkable performance of Sumino wit Beethoven and Chopin's works.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?