「政治とカネ」の問題はわれわれにとっていかなる意味を持つか

昨日、柿沢未途全盲踏む副大臣と秘書4人が拘束選挙法違反容疑で逮捕されました。

柿澤氏などは東京都江東区長選挙を巡り、区議らに現金約200万円を配り、有料のインターネット広告の配信に関与した疑いがあり、今回の逮捕に至りました[1]。

今月に入り、自民党安倍派の閣僚が政治資金問題で辞任したり、同派及び二階派が同様の問題で当局の家宅捜査を受けたりするなど、政界では政治家と金銭を巡る問題が大きな関心事となっています。

もとより、政治活動を行うために金銭が必要となることは、例えば選挙時に作成するちらしや政治活動を選挙区の有権者に報告するための冊子などを印刷する費用を考えるだけでも明らかです。

そのため、どれほど金銭に清廉な政治家であるとしても、金銭からは無縁ではいられません。

一方、政治資金規正法が1948年に議員立法によって成立したことは、支出された金銭の使途に対する規制が不十分であるなどの問題点を含むものの、政治家に対して政治資金の取り扱いについて入念な注意をもって臨むよう求めていることを示唆します。

その意味において、政治資金を巡る現在の状況は、たとえその行為が政治資金規正法に抵触せず、公職選挙法や他の法令の既成の対象であるとしても、政治家に無際限の金銭の使用を認めるものではありません。

ましてや、しばしば情報料の非対称性を利用して何らかの脱法的な行為を行うならば、そのような行為には弁解の余地はありません。

今回の様々な出来事も、やがて政治史上の出来事の一つとして機会があれば思い出されるといった程度の事柄として取り扱われることでしょう。

それでも、まさに事柄が起き、今後の推移が見守られている時だからこそ、改めて政治家と金銭、あるいは政治と金銭の関わりについて、改めて注意したいものです。

[1]柿沢議員ら5人逮捕. 日本経済新聞, 2023年12月29日朝刊1面.

<Executive Summary>
What Is the Meaning of the Political Fund Issues for Us? (Yusuke Suzumura)

Former Deputy Minister of Justice Mito Kakizawa was arrested in violation of the Election Law on 28th December 2023. On this occasion, we examine the meaning of the political fund issues for us.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?