【開催報告】第10回石橋湛山研究学会(2023年12月16日開催)

昨日、早稲田大学早稲田キャンパス3号館602教室において、第10回石橋湛山研究学会が開催されました。

まず、会員総会が行われ、任期満了に伴う世話人の改選が行われ、2名の退任と3名の新任ならびにその他の世話人の重任が提案されるとともの、会長が猪木武徳先生(大阪大学)から小室正紀先生(慶應義塾大学)に交替する議案がいずれも満場一致で承認されました。

次に第1部の研究報告では、布施豪嗣先生(慶應義塾大学)と塚原浩太郎先生(東京大学)が登壇されました。司会進行は小室正紀先生でした。

布施先生は「石橋湛山と連邦準備制度」と題して1920年代に石橋湛山が組織した金融制度研究会における米国の連邦準備制度に関する研究と石橋の思想に与えた影響が分析されました。

また、塚原先生の報告「選挙区の中の石橋湛山」は、石橋湛山の選挙区であった静岡県第2区における石橋の政治活動と支持基盤のあり方を後援団体である湛山会に注目して検討するとともに、1963年の総選挙での落選の原因についても議論されました。

第2部のシンポジウム「石橋湛山と中国」では、都倉武之先生(慶應義塾大学)と武藤秀太郎先生(新潟大学)が登壇されました。司会は上田美和先生(共立女子大学)でした。

都倉先生の講演「石橋湛山と中国——福沢諭吉との比較の視座から——」では、石橋湛山による福沢諭吉の評価を手掛かりとし、両者の中国論のあり方と政治的な態度の類似性とが考察されました。

武藤先生の講演「石橋湛山と周恩来」は、中国の核開発問題を巡る石橋湛山の対応と、中国に対する石橋の期待、そして石橋が第一次訪中時に周恩来に提起したいわゆる「日中米ソ平和同盟」を巡る両者の思惑の違いが検討されました。

研究報告においては従来の石橋湛山研究において着目される機会の少なかった話題が取り上げられ、石橋湛山研究の広がりの可能性が示されました。

そして、シンポジウムでは、石橋湛山の言論人と政治家としての活動を考える上で欠かせない存在である中国が、石橋にとってどのような意味と役割を持っていたかが改めて示されました。

石橋湛山の没後50年、そして学会の10回目の大会という節目の年にふさわしい、例年にも増して充実した会となりました。

<Executive Summary>
The 10th Conference of the Ishibashi Tanzan Society (Yusuke Suzumura)

The Ishibashi Tanzan Society held the 10th Conference at Waseda University on 16th December 2023. In this time there were two presentations and public symposium.

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