『クラシックの迷宮』が思い起こさせる山岡重信の日本の音楽界への大きな貢献

昨日、NHK FMの『クラシックの迷宮』は、「指揮者・山岡重信の追憶〜NHKのアーカイブスから〜」と題し、昨年6月20日に91歳で逝去した山岡重信さんを追悼する特集を放送しました。

山岡さんといえばニューフィルハーモニーオーケストラ千葉(現在の千葉交響楽団)での活動がすぐに思い浮かびますし、大学の交響管弦楽の分野では早稲田大学交響楽団との関係が忘れられません。あるいは、日本大学芸術学部研究所における後進の育成も大きな功績の一つでしょう。

このように、指揮者としても教育者としても多くの取り組みを行ってきた山岡さんの事績のうち、今回はNHKの番組のために収録された尾高尚忠の弦楽のためのシンフォニエッタ(1969年9月7日放送)、石桁真礼生の嬰ヘとハを基音とする交響曲(1970年3月1日放送)、松村禎三の交響曲第1番(1983年3月10日放送)の3曲の録音が紹介されました。演奏は尾高と松村が東京フィルハーモニー交響楽団、石桁が読売日本交響楽団でした。

いずれも日本の交響管弦楽界の発展に大きく貢献した作曲家の代表的な作品を揃うことで、山岡さんが放送を通してこれらの作品の紹介に貢献したことがよく表現されています。

また、それぞれ聞き応えのある仕上がりとなっていることは、山岡さんが各作品を的確に理解し、しかも実際の演奏へとつなげる確かな手腕を備えていたことを示します。

何より、3曲はいずれも放送用に録音されてはいるもののその後市販されてはいないだけに、貴重な音源に接することが出来たのは、聴取者にとって重要な機会となりました。

司会の片山杜秀先生がお話を最小限にとどめ、3つの交響曲やシンフォニエッタの紹介を最優先したことと合わせ、この日の放送は山岡重信さんの追憶という趣旨をよく体現した構成となっていたと言えるでしょう。

<Executive Summary>
The "Labyrinth of Classical Music" Recalls Efforts and Contributions of Professor Shigenobu Yamaoka for the Development of Japanese Classical Music (Yusuke Suzumura)

A radio programme entitled "Labyrinth of Classical Music" (in Japanese Classic no Meikyu) broadcasted via NHK FM featured "Recollection of Shigenobu Yamaoka, a Conductor" on 27th May 2023. It might be a meaningful opportunity for us to recall efforts and contricutions of Professor Shigenobu Yamaoka, who had passed away at the age of 91 in 2022, for the development of Japanese classical music.

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