「不確実な先行き」を見通すために求められるのは何か

すでに起きた出来事としての歴史を学び、あるいは講じると、しばしば目にするのが「間もなく事態が解決するのに、その直前に多大な犠牲を伴う出来事が起きる」という事例です。

事柄の結果を知っている者からすれば、そうした出来事は多くの場合大勢に影響を与えず、むしろ無用な事態であるかのようです。

一方で、当の事柄に関わる人々は、今、まさに自分の目の前で繰り広げられる出来事がいかなる展開を見せるかについて、推測できる部分もあれば、今後の展望を見通せない場合もあります。

そのために、後世の視点からは不要の努力のように思われる事柄に多くの力が割かれることは、決して珍しくないのです。

今、世界各地で起きている様々な事象についても、結果から遡れば、避けるべきであったこと、あるいは意義に乏しい措置があることでしょう。

しかし、結果を確認してから時を遡って対象に取り組むことが出来ない以上、われわれには、可能な限り多様な視点から目の前の出来事に臨むことが重要になります。

不確実な先行きを見通すためにも、知性が果たす役割は決して小さくないと言えるのです。

<Executive Summary>

What Is a Meaning of the Power of Knowledge? (Yusuke Suzumura)

When we estimate the future changes of something, we have to enact the power of knowledge. Since we cannot go to the future and back to the past, our knowledge might be beneficial for us to forecast the future.


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?